ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「温泉卵っておいしいのだ」

悠「酒が欲しくなる」

揺光【飲むかえ?】

悠「ふつーの酒か?」

揺光【……】

悠「黙るなよ!」

揺光【こんこん♪】

千世子「コホン、ヘルシングのじゅぎょーの続きなのだ。ヘルシング博士が作中で見せる、対吸血鬼の基本戦略は三段構えになっているのだ。まず吸血鬼に狙われている女性に「吸血鬼を近づけない」ことを最優先するのだ。その間に「吸血鬼が眠る場所を探し出し」、最後に「寝ている吸血鬼を滅ぼす」という手順なのだ。」

義鷹「妙な匂いがすると思ったら……お前か」

揺光【高貴な香りの間違いじゃろ】

悠「エロい匂いじゃね?」

摩耶「悠くんのこと?」

悠「何でやねん」

千世子「吸血鬼を近づけない手順としてはまず戸締りを厳重にし、寝ている女性のところに見張りを立てるのだ。ドラキュラが何らかの方法で密室に侵入できることを知った後は、部屋中ににんにくの花を飾りたて、女性の首にニンニクの花飾りをつけることでドラキュラが近寄れないようにしたのだ。」

揺光【妾に言わせれば義鷹、お前の方が獣臭い】

義鷹「俺は獣だ」

摩耶「悠くんはケダモノ」

悠「がおー」

神姫「チッ」

悠「ご、ごめんなさい…」

千世子「これは実際に効果があったのだが、事情を知らない女性の母親が花飾りを片づけてしまったので、ルーシーはドラキュラに血を吸われて命を落してしまうのだ。」

亘理『悠ちゃん…』

悠「だって怖いんだもん」

神姫「何が……かしら?」

悠「……へへっ」

摩耶「微妙な笑いでごまかした」

雨「ウザいわ」

千世子「吸血鬼が眠る場所を探し出すには特別な方法は使われていないのだ。ルーシーが吸血鬼として復活したときは彼女の墓に行き、墓を掘り返して柩の状態を確かめるのだ。」

揺光【まぁ、お主も卵を食うか?】

義鷹「何で卵…」

揺光【温泉卵じゃ。いくつでも産地直通で出せるぞ】

悠「やっぱりゲート的何かで繋げてるのか…」

義鷹「……貰う」

揺光【こんこん♪】

千世子「ドラキュラ伯爵の場合は、彼が地元から持ち込んだ「泥の入った箱」がドラキュラの寝床で有ることを看破し、イギリス各所に運び込まれた50個の棺を神聖なアイテム「聖餅」で浄化してドラキュラを追い詰めたのだ。」

摩耶「よっちゃんて割と食べるの好きだよね。」

亘理『義鷹のくせに…』

雨「いや、その言葉の使い方はおかしい」

神姫「私も卵くださる?」

揺光【いくらでも食うが善いぞ。】
ドザザッ

千世子「ドラキュラがロンドンから逃げたあとは、血を吸われてドラキュラと精神がリンクしているヒロインのミナに催眠術を掛け(ヘルシングは精神医学の権威なのだ)、ドラキュラの旅程を聞きだして先回りし、見事待ち伏せに成功しているのだ。」

摩耶「ホントに幾らでも出るね。」

悠「便利っちゃ便利だけど卵オンリーってのもな」

揺光「温泉まんじゅうもだせるぞ」

悠「お、おれのまんじゅうの方が美味いし!」

神姫「なにに張り合ってるのよ」

千世子「寝ている吸血鬼を滅ぼすときは、心臓に杭を打ち込み、ノコギリで首を切り離すという、民間伝承の吸血鬼対策と全く同じ方法をとっているのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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