ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(2/7/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

摩耶「食べ過ぎたかも…ちょっとねむたぃかも」

悠「寝たら膝かしてやるよ」

摩耶「やった」

千世子「寝ちゃダメなのだ!」

神姫「そうよ。悠の膝なんかで寝たら夢見悪いわよ」

花描「そういう問題?」

千世子「なら寝ちゃわないようにじゅぎょーするのだ。日本の神話観では、水の神を蛇神、すなわち龍神と考える傾向があったのだ。つまり水と川の神であるサラスヴァティや弁才天には、もともと龍神と見られやすい要素があったということになるのだ」

悠「摩耶は属性水だから実は龍神じゃないのか?」

摩耶「それ蛇みたいに執念深いって意味?」

悠「違う。違う。」

花描「水属性なんだ…」

千世子「もちろんこれだけじゃ、弁才天が龍神になった理由としては物足りないのだ。弁才天が龍になった経緯には、日本土着の神々が大きく関係しているのだ。仏教が日本に伝わったのは、聖徳太子の誕生より、100年前、五世紀半ばの古墳時代だと言われているのだ。はじめのころ日本人は、日本の神々と仏教の仏は同列の存在と考えられてるのだ。」

神姫「神仏習合ね」

花描「しんぶつしゅうごう?」

悠「仏教に対する理解が深まるにつれて、仏と神とがかなり違うことと、個々を見たら性質のにた神仏がいることがわかって、日本人は性質の似た神と仏を結びつけて「この仏と神は、名前が違うだけで同じ存在」と説明して、仏教と日本神道をわかりやすく両立させる活動の事だ。」

千世子「はいそこー!勝手にじゅぎょーしない。弁才天が「神仏習合」したに神は多数あるのだ。そのなかで弁才天の龍神化に一役買った神が二柱いるのだ。「イチキシマヒメ」と「宇賀神」なのだ」

花描「イチキシマヒメって市杵嶋姫命か?」

摩耶「なにそれ?」

花描「スサノオ神の剣から生まれた女神だ。」

千世子「そうなのだ。彼女は水の女神であり、すなわち日本では龍神として理解されているのだ。「龍神イチキシマヒメと同じ神だということは、弁才天も龍神だ」という理屈によって、弁才天は龍神になったのだ。」

摩耶「なるほど…じゃあ宇賀神っていうのは?」

千世子「穀物の神様として信仰されていたのだ。宇賀神は水神ではないのだけど土地神という性質から地表にすむ動物と結び付き、蛇神、狐神となっていたのだ。弁才天はこの神と神仏習合したことで蛇神=龍神の性格を強化しただけでなく、狐の神である「稲荷神」とも結び付いたのだ。じゃあ今日はここまでなのだ」

悠「なら揺光も神に近いのか…?」

摩耶「間違いなく超越者ではあるだろうね。」
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