ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「普通に暑いよな」

千世子「暑いのだぁ…」

摩耶「悠くんの話し聞いたらきっと涼しくなるよ」

悠「どういう意味?!」

神姫「そのままの意味でしょ」

悠「ああ、面白過ぎて暑さも忘れると。さすがおれ」

神姫「……」
ベキッ!!

摩耶「神姫さん、ボールペンが握り潰れてるよ」

【吸血スイカ/吸血カボチャ】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。吸血鬼とは、墓からよみがえり、家畜や人間の血を吸う死者のことなのだ。だが場合によっては、人間以外のものが吸血鬼になることがあるのだ。それは人間でも動物でもなく、植物なのだ。ヨーロッパの放浪民族ジプシーの伝承によれば、スイカやカボチャも吸血鬼になるのだ。」

悠「植物が吸血鬼……触手プレイはまだですか?」

神姫「どっかで蔦とか茨を調達して締めてあげましょうか?」

悠「触手プレイはされる側でなく見る側でオナシャス」

摩耶「触手9999」

悠「や、やめてくれぇぇ!」

亘理『悠ちゃん?!』

千世子「この吸血鬼は、ヨーロッパ全土に広がるジプシーたちの中でも、特にセルビアやクロアチアなど、かつてユーゴスラビアと呼ばれていた国のジプシーたちが語り継いでいるものなのだ。いわくクリスマスを10日過ぎるか、収穫せずに長い間放置していたスイカは吸血鬼になってしまうらしいのだ。吸血鬼になる植物はスイカだけではなくメロンやカボチャなど、大きな実をつけるウリ科の植物はみな吸血鬼になる可能性があるのだ。」

悠「ふ、ふぅ……落ち着いた」

摩耶「触手9999はみんなのトラウマ」

悠「ガードしたやん、ベアがガードしましたやん…」

神姫「ベアは死ぬ運命なのよ」

亘理『わかんないよぉ』

千世子「吸血鬼化したスイカやカボチャは、どんな危険な能力を身につけているのか……結論から言うと吸血スイカや吸血カボチャには、ほとんど危険性が無いのだ。」

悠「危険が無い触手……だと?」

亘理『誰も触手っていってないよね…』

悠「植物は触手がデフォ。あと、好都合に服だけ溶かす消化液と媚薬効果。」

神姫「教育上良くない本ばかり読んでるって丸分かりね。」

悠「あざっす!」

千世子「カボチャが吸血鬼化したしたものと聞けば多くの人が「ハロウィン」のカボチャのように表面に目や口があるお化けを想像することだろうなのだ。だがスラブの吸血カボチャや吸血スイカには、眼も鼻も口もなければ、手足が生える事もないのだ。普通の果実と違う外見をあげるなら、果実の表面に血管のような赤い模様が現れ、赤い液体が滲みだすことだけなのだ。」

亘理『今褒められてた?』

摩耶「ほら、Mって罵声で喜ぶし」

悠「Mじゃないよ!ノーマルだよ!」

雨「変態はノーマルって言わないのよ。」

悠「尻から糸を出して縛りあげたりする娘は変態ですか?」

雨「ブッ殺す!!」
シャキン!

千世子「口が無ければ血を吸う事も出来ないのだ。彼らが迷惑な点と言えば、夜中に奇妙な音を立てたりごろごろ転げ回って人間を困らせる程度なのだ。」

悠「まぁまぁ、落ち着けよ。縛り好き」
ググッ!
雨「変なあだ名やめろォォ!」

亘理『すごい……雨ちゃんの全部の足をひとまとめに掴んでる』

摩耶「悠くん、女の子の生足どう?」

悠「生足っちゃ生足だけどなぁ。まぁ、普通にエロ対象とみることもできる」

雨「ひぃっ?!」

神姫「悠にとっては性別雌だったら全部性対象なのね。」

千世子「ジプシーの伝承によれば、吸血鬼になるのは動植物だけではないのだ。農具や家具など無機物も吸血鬼になることがあるのだ。実例をあげると、地面を耕す道具「鋤」の柄の部分や麦などの穀物から殻を外す道具「から竿」は、三年間放置すると吸血鬼になるというのだ。また、イギリスウェールズ地方には、吸血鬼になった椅子の伝承があるのだ。この椅子は座った老人から血を吸い、その老人を吸血鬼にしてしまったというのだ。以上、吸血スイカ、吸血カボチャのじゅぎょーだったのだ。」
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