ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(2/6/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

神姫「……」

千世子「じ~」

神姫「……なに?」

千世子「神姫ねーちんの髪はどうなってるのだ?」

神姫「どうって…これただの三つ編みよ。」

千世子「すっごい束なのだ」

神姫「九本よ。けど、髪の量なら悠も大概よ?」

悠「あー?」

摩耶「さらさらさらさら~」

花描「わさわさわさわさ~」

悠「でえい、なにしとるんだ!」

千世子「悠のあんちんが騒ぎ出す前にじゅぎょーを開始するのだ。今日はこれ…」

【弁才天】
生息地域:―
出展:仏教、神道

悠「今騒ぎ出すとかいわれたよ?」

摩耶「悠くんの扱い方がわかってきた証拠だね」

千世子「仏教の女神であり、日本では七福神のひとりとして進行されている弁才天。弁才天といえば琵琶を持ってあぐらをかいている女性の姿が思い浮かぶが、じつは弁才天は龍神と見られることもあるのだ。」

悠「龍神姫ならここにもいるけどな」

神姫「私は、龍であり神であり姫だから。私の方が上ね。」

千世子「日本には弁才天を「白龍大弁才天」と呼んで祀っている神社もあるし、弁才天を蛇頭の女性として描いた掛け軸もあるのだ。」

摩耶「今流行りの擬人化だね」

花描「いろんな人に怒られそうな発言だな」

千世子「美しい女性神であるはずの弁才天がなぜ龍扱いされているのか?それを理解するためには、弁才天という神の成り立ちを最初から追いかける必要があるのだ。」

悠「コホン、弁才天は中国から、仏教とともに日本に渡ってきた。その源流はインドの宗教ヒンドゥー教の女神、サラスヴァティだ。」

摩耶「流石だね。けど、そろそろお口チャックノリスしないとチョコせんせーが泣くよ?」

千世子「泣かないのだ!サラスヴァティは一般的に四本の腕を持つ女神で、手に琵琶のような楽器を持った姿で描かれるのだ。サラスヴァティという名前には水という意味があり、水の女神として進行を集めていたのだ。また、言葉や知識、音楽の神としても有名なのだ。」

花描「つまり、インドじゃ女神で日本じゃ龍神か」

千世子「中国から仏教とともに日本に渡った弁才天は、はじめはサラスヴァティと同じように水と音楽の神として信仰されていたのだ。そのため川辺などには弁才天のほこらや石像が作られることが多かったのだ。また民間では、蛇のような形の石を弁才天として信仰したこともあったようなのだ。続きのじゅぎょーは明日なのだ。」

悠「うーす。おちかれさん。さて…新宿いくか…」

摩耶「新宿三丁目?」

悠「お姉さん方に引っ張りだこ!って、ちゃうわ!」
神姫「へっ!」

悠「鼻で笑われたし。」
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