ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「ムシムシするのだ」

悠「春ってこんなに温かかったかな」

摩耶「冬が長かったのかもね。」

悠「わー、おれよく冬越せたなぁ」

亘理『それほど?!』

【ウピオル】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。東欧の民間伝承に登場する吸血鬼は、人間の首筋ではなく、胸から血を吸うとされているのだ。しかも東欧の吸血鬼にき「牙」がないのだ。具体的に想像してみると、人間の胸から血を吸うというのが、いかにやりにくいことかが分かるだろうなのだ。」

神姫「私は悠が寒がりなのが不思議なのよね。」

悠「なんで?」

神姫「だってバカじゃない。」

悠「ストレートにバカと言われた」

神姫「バカだから熱いの寒いのとか……感じないでしょ?」

悠「熱いのも寒いのも痛いのもつらいのも気持いいのも感じるよ!」

神姫「ああそう」

悠「わー、興味なしだよ…」

千世子「この「胸から血を吸う」という難しい行為を、簡単にやってのける吸血鬼がいるのだ。ドイツ東にある国ポーランドの吸血鬼「ウピオル」は、下の先に鋭いとげが付いているのだ。これを犠牲者の胸に刺して穴をあけ、血を吸うのだ。」

摩耶「まぁ、痛みを感じれなくなったらダメだよね。」

悠「お、おう…。」

摩耶「僕は痛みを感じるのも苦しむのも御免だけどね」

悠「だよな。おーい、誰か摩耶君の肩揉んであげて」

亘理『は、はーい』
揉み揉み
摩耶「わー、亘理ちゃん肩揉み上手だね。」

亘理『へへっー。マッサージには自信あるんだよね』

千世子「ウピオルは、吸血鬼の中でも珍しい、昼間だけ活動する吸血鬼なのだ。夜の大部分は寝ていて、正午から動き出し、真夜中になると眠りに付くのだ。ウピオルは東欧の吸血鬼の中でも特に吸血行為にこだわりを持っていてウピオルが眠りにつく棺桶の中は血液で満たされているという言い伝えがあるのだ。ウピオルに杭を指して滅ぼそうとすると、身体の中に詰まっていた血液が噴水のように吹きだすというのだ。」

悠「ふぅ…よかった。摩耶のダークが薄れた」

神姫「イイじゃないの。別に被害が出るのは悠だけなんだし」

悠「おれに被害が出るのはいいと?」

神姫「何か問題ある?」

雨「いいえ、まったく。」

悠「そんなこといっておれが好きなんだろ」

神姫「……」

雨「……」

千世子「ポーランドに伝わるウピオルの伝説は非常にバリエーション豊富で、蟹は同じ種類の吸血鬼とは思えない物もあるのだ。例えばこんな感じなのだ。」

・ウピオルは誰かが死ぬと3回続けて現れる。好物は死者の心臓。十字架は苦手としており、突きつければ立ち去る。

・馬の鞍にウピオルが触ると、そこから桶二杯分のミルクが流れ出した。

・墓の中で自分の肉を噛んで呪いをかけ、親族を死なせる。

・ウピオルは夜に鐘を鳴らす。死んだときウピオルと同年齢者は、この鐘の音を聞くと死ぬ。

雨「スパイダーネット」
しゅるる!
悠「なっ?!」

神姫「超弾針剄!」

ドドドドド!ギャゴォォォ!
悠「ぎゃあああぁっ!」

摩耶「糸の結界+特濃龍剄気孔。シンプルで高威力ベストだね」

亘理『悠ちゃんが糸に巻かれつつ吹っ飛んでいったね…』

千世子「今日はここまでで続きは次回なのだ。あと、あんちんは壊したものを直しとくのだ!」

悠「お、おごっ……」
35/100ページ
スキ