ー奇談ー學校へ行こう
ー教室(2/5/夜)ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。
悠「うーん……」
花描「どした?」
悠「これ、本当に捻挫なのかな。」
摩耶「というと?」
悠「めっさ痛いんだ。しかも腫れがひかない」
摩耶「折れてるってこと?」
悠「そんな気がする。だってこれ手首びたーってなってたからな。」
摩耶「けど、柳せんせーが捻挫診断したんだよね?」
悠「そうだ」
摩耶「なら捻挫だよ。」
悠「摩耶は柳を信頼してんなぁ」
神姫「痛いなら漢方とかどう?」
悠「苦いのヤッ」
神姫「キモいわ」
千世子「じゅぎょーをはじめるのだ!今日はこれなのだ」
【吉弔】
生息地域:中国
出展:中国の民間伝承
悠「吉弔(きっちょうか)」
千世子「中国にはさまざまなものを薬として利用する「漢方」という医療文化があるのだ。そのなかには龍を材料として利用するものも多いのだ。こんかいじゅぎょーする異形の龍「吉弔」からは、なんと二種類も、有名な漢方材料が取れると言われてるのだ。」
悠「見計らったようなじゅぎょーだな」
摩耶「悠くん、授業がうつってるよ」
千世子「薬について書かれた中国の書物「本草網目」によれば、吉弔は中国の南東部、現在の広東省や広西チワン族自治区にあたる地域に生息しているというのだ。この龍はヘビの頭に甲羅を背負うという、亀によく似た姿をしているのだ。住む場所はおもに水辺や、木の上などなのだ。吉弔は性欲の強い動物で、鹿と遊んでるうちに欲情して…………のだ」
悠「なに?」
千世子「だから、その…せっ…えきを…漏らしてしまうことがあるのだ。」
悠「え、なに?はっきりといい…」
ガスッ!
神姫「……」
摩耶「見えた?」
花描「左手首に肘鉄砲」
千世子「コホン、吉弔の外見は龍より亀に近く、なぜ空も飛ばない亀が龍扱いされるのか疑問に思えるのだ。吉弔が龍である最大の理由は、龍の子供として生まれるからなのだ。本草網目によれば、龍は卵をふたつ産み、片方は龍に、もう片方は吉弔に育つというのだ」
悠「っ~~」
摩耶「大丈夫?」
悠「プルプルプルプルダラダラダラダラ」
花描「脂汗すごっ…」
千世子「中国の伝承には、ほかにも龍が亀のような子供を産む例があるのだ。一般に中国の龍は九種類の子供を産むとされているけど、その一体は「贔屓」といって、亀のような姿の龍なのだ。贔屓は非常に力持ちなので、建物や柱や石碑などの土台を装飾するとき、贔屓の形に掘ることがあったのだ。ちなみに「気に入った人を特別に引き立てる」意味の言葉「ひいき」は、一説では龍の贔屓が語源になっているとも言われてるのだ」
悠「はぁはぁ…また、手首逝たかとおもた…」
摩耶「カタコトになってるよ」
千世子「吉弔からとれる二種類の漢方材料は、弔脂(ちょうし)と紫橡花(ししょうか)なのだ。まず弔脂は、吉弔からとれる脂肪分で、毒によってできた腫れ物に抜群の効き目があったのだ。紫橡花は……吉弔が漏らした…せぇ…えき…が水中で固まったものだと考えられているのだ。」
悠「なに?何液って!」
神姫「……」
ゴンッ!
悠「!?」
花描「見えたか?」
摩耶「悠君の左手首、膝と肘でプレスしたね。てゆーか、悠くん反省しないね。」
千世子「う~吉弔のじゅぎょーはもう終わりなのだ!」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。
悠「うーん……」
花描「どした?」
悠「これ、本当に捻挫なのかな。」
摩耶「というと?」
悠「めっさ痛いんだ。しかも腫れがひかない」
摩耶「折れてるってこと?」
悠「そんな気がする。だってこれ手首びたーってなってたからな。」
摩耶「けど、柳せんせーが捻挫診断したんだよね?」
悠「そうだ」
摩耶「なら捻挫だよ。」
悠「摩耶は柳を信頼してんなぁ」
神姫「痛いなら漢方とかどう?」
悠「苦いのヤッ」
神姫「キモいわ」
千世子「じゅぎょーをはじめるのだ!今日はこれなのだ」
【吉弔】
生息地域:中国
出展:中国の民間伝承
悠「吉弔(きっちょうか)」
千世子「中国にはさまざまなものを薬として利用する「漢方」という医療文化があるのだ。そのなかには龍を材料として利用するものも多いのだ。こんかいじゅぎょーする異形の龍「吉弔」からは、なんと二種類も、有名な漢方材料が取れると言われてるのだ。」
悠「見計らったようなじゅぎょーだな」
摩耶「悠くん、授業がうつってるよ」
千世子「薬について書かれた中国の書物「本草網目」によれば、吉弔は中国の南東部、現在の広東省や広西チワン族自治区にあたる地域に生息しているというのだ。この龍はヘビの頭に甲羅を背負うという、亀によく似た姿をしているのだ。住む場所はおもに水辺や、木の上などなのだ。吉弔は性欲の強い動物で、鹿と遊んでるうちに欲情して…………のだ」
悠「なに?」
千世子「だから、その…せっ…えきを…漏らしてしまうことがあるのだ。」
悠「え、なに?はっきりといい…」
ガスッ!
神姫「……」
摩耶「見えた?」
花描「左手首に肘鉄砲」
千世子「コホン、吉弔の外見は龍より亀に近く、なぜ空も飛ばない亀が龍扱いされるのか疑問に思えるのだ。吉弔が龍である最大の理由は、龍の子供として生まれるからなのだ。本草網目によれば、龍は卵をふたつ産み、片方は龍に、もう片方は吉弔に育つというのだ」
悠「っ~~」
摩耶「大丈夫?」
悠「プルプルプルプルダラダラダラダラ」
花描「脂汗すごっ…」
千世子「中国の伝承には、ほかにも龍が亀のような子供を産む例があるのだ。一般に中国の龍は九種類の子供を産むとされているけど、その一体は「贔屓」といって、亀のような姿の龍なのだ。贔屓は非常に力持ちなので、建物や柱や石碑などの土台を装飾するとき、贔屓の形に掘ることがあったのだ。ちなみに「気に入った人を特別に引き立てる」意味の言葉「ひいき」は、一説では龍の贔屓が語源になっているとも言われてるのだ」
悠「はぁはぁ…また、手首逝たかとおもた…」
摩耶「カタコトになってるよ」
千世子「吉弔からとれる二種類の漢方材料は、弔脂(ちょうし)と紫橡花(ししょうか)なのだ。まず弔脂は、吉弔からとれる脂肪分で、毒によってできた腫れ物に抜群の効き目があったのだ。紫橡花は……吉弔が漏らした…せぇ…えき…が水中で固まったものだと考えられているのだ。」
悠「なに?何液って!」
神姫「……」
ゴンッ!
悠「!?」
花描「見えたか?」
摩耶「悠君の左手首、膝と肘でプレスしたね。てゆーか、悠くん反省しないね。」
千世子「う~吉弔のじゅぎょーはもう終わりなのだ!」