ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「この前ろくろっく娘に会ったよ」

摩耶「ロクロック娘……ロックなの?」

悠「あ、クがおおかった。ろくろっ娘だ」

神姫「陶芸家か何か?轆轤って」

悠「あー、そっちじゃなくてろくろっ首の女の子」

亘理『女?』
ずるんっ…

悠「背後を取られた!!」

千世子「今の動きは本当に妖怪っぽかったのだ!」

神姫「首とか締めて吊りあげたら殺れてたわね。」

義鷹「それよりろくろっ首ってなんだ。どこでそんな妙なのとあった?何かされたのか?」

悠「なんか足くじいて迷子になってたから薬塗ってあげたぐらいかな。」

摩耶「それだけ?」

悠「あとは首噛んだり舐めたり巻きつかれたりキスマークつけられたり」

亘理『がぶっ!がぶがぶっ!』
悠「いつもより多く噛まれてる気がする。」

義鷹「……お前の心配はこれからしないでおくか」

摩耶「今更だよ。それ」

神姫「むしろ、一度妖怪に本気で痛い目に会うべき」

悠「なんでやっ!」
亘理『がりがり!』

千世子「あんちん、痛くないのだ?」

悠「うん、相当痛いよ」
亘理『ごりごり!』

摩耶「取り憑き、固定ダメージってところかな」

神姫「スリップ、もしくは毒じゃない?」

悠「ドレインかもしれない」
亘理『ぼりぼり!』

義鷹「女妖に好かれる性質なのはよっくわかった」

悠「おれが好かれるっていうより福ちゃんが妖怪とのエンカウント率が高いってことな気がするんだよな」
亘理『がりりっ!』

摩耶「そろそろ頭に穴空いた?」

悠「まだまだぁ!」
亘理『カッカッ!』

千世子「ついには削り出したのだ」

神姫「昔飼ってたハムスターからこんな音が聞こえてきたことあった」

摩耶「共食い率の高いハムスター」

千世子「あれ、本当に怖いのだ…」

摩耶「子供のころに見るトラウマのひとつだね。」

悠「おれなんてガキの頃テグー飼ってて逃げ出そうとしたところを尻尾掴んだらズルって尻尾の皮がむけたトラウマがあるぞ」

神姫「尻尾が抜けたんじゃないの?」

悠「その方がマシだった。皮だけが剥けたんだよ……。尻尾は赤白いものがマルダシ」

千世子「あーあー、聞きたくないのだ」

悠「それ以来、おれは鼠系の動物はカピバラしか飼いたくなくなったな。カピバラサイズなら問題ないだろうし」

摩耶「水鼠っていうのはどう?」

悠「そんな汚そうなのいらないな」

亘理『ふー、ちょっとすっきりした』

神姫「沢山噛んでたわね。お腹壊すか、変な毒を受けるわよ」

摩耶「悠毒」

悠「唾液を飲ませてやろうか」

亘理『それって……キス?!やーんもー///!』
ベシッ!
悠「ぐぶぁっ!」

千世子「打撃が一番効いてるのだ」