ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「摩耶。」

摩耶「ん?なーに?」

悠「腹筋てどう思う?」

摩耶「内臓を穿つ」

悠「いやいや、攻略法とかじゃなくて……腹筋の割れた女の腹とか……どう思う?」

摩耶「んー、いいんじゃない?」

悠「だよなぁー!」

【サンジェルマン伯爵】

千世子「妙なテンションのあんちんはおいといてじゅぎょーしますなのだ。18世紀のヨーロッパで活躍した怪人物「サンジェルマン伯爵」は、1978年の小説で初めて吸血鬼という役柄を与えられており、「実在した吸血鬼」のなかではかなりの新顔なのだ。だが、その経歴は謎というより神秘に包まれており、むしろ在命中から吸血鬼という噂が立たなかったのが不思議なほどなのだ。」

悠「最近、筋肉がブームなんだよ」

摩耶「金剛君」

悠「性別は女で」

亘理『ちょっと厚着し過ぎたかなぁ……』
脱ぎ、チラッチラッ

雨「めっちゃアピールしてる…」

悠「ナイス腹筋!」

千世子「サンジェルマンは、黒い髪と黒い瞳を持つ年齢不詳の男性なのだ。いかにもさえない小男といった雰囲気なのだが、服装は宮廷に出ても恥ずかしくないほど立派で高価な宝石でその身を飾り、いかにも育ちのよさそうな身なりをしていたのだ。さらに医学、音楽、美術に錬金術といった幅広い知識と、たくみな話術、英語やフランス語、アラビア語に中国語など10ヵ国語の言葉をあやつる言語能力を身につけて、フランス国王ルイ15世のお気に入りとしてヨーロッパの宮廷を闊歩していたというのだ。」

亘理『えへへ~。そ、そぉー?』

摩耶「亘理ちゃんは腹筋バッチリだよね。」

亘理『伊達にぶら下がってないよ!』

神姫「腹筋鍛えるにはぶら下がるのが効果的なのかしら」

悠「神姫も割っちゃう?割れたら見せてね。そして出来れば指をはわさせて」

千世子「このサンジェルマンという人物、生まれや育ち、経歴など、本人の過去についてのプロフィールが全く知られていないのだ。そもそもサンジェルマンという名前自体を、当の本人が堂々と「偽名」と言っているくらいで、その正体がまったくつかめないのだ。サンジェルマンがおもに活躍したフランス宮廷では、東欧の国ハンガリー出身だとか、スペインの皇后が愛人との間に作った隠し子だという噂がささやかれていたのだ。」

悠「痛だだだ!」

神姫「この指が邪魔なのよね。」
めききっ!
悠「触っても無いのに折ろうとしないでください!」

神姫「触ってからだと遅いし。」
めききっ!
悠「神姫さん何か怒ってます?!」

神姫「……」
メキッ…
悠「なにかいってよぉぉ!」

千世子「なぜ、サンジェルマンのようなうんくさい人物が、過去を隠してヨーロッパの宮廷で活動していたのだろうか?もっとも有名な推論は「サンジェルマン」はスパイだったというものなのだ。一番指示されているのは、サンジェルマンはドイツのスパイで、フランスの動向を探るために、おもにフランスの宮廷で活動していたというものなのだ。だが逆にフランスのスパイだとする説や、二重スパイだったという説もあり、正体は全く不明なのだ。」

亘理『悠ちゃん、神姫さんに何かしたのかな』

摩耶「さぁー。でも、悠君の場合何もしてないってことが無いし」

亘理『あー、確かにねー。あはは』

摩耶「あははっ」

雨「その通りだけどアンタら酷いわね…」

千世子「ただひとつ確実なのは、サンジェルマンはいわゆる「秘密結社」に所属していたということなのだ。ただし「薔薇十字軍」や「イルミナティ」など無数にある秘密結社のうち、どの団体の構成員だったかは分かっていないのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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