ー奇談ー學校へ行こう9

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「さーむーいーよー」
ぎゅー
千世子「あんちん十分温かいのだ」

亘理『がるるっ!』

摩耶「亘理ちゃんの温度も上昇している。」

神姫「嫉妬って怖いわね。」

摩耶「亘理ちゃんのは可愛いでしょ」

神姫「「まだ」ね」

【ジル・ド・レイ】

千世子「神の啓示を受けて軍人たちを導き、イギリス軍を追いだして祖国を解放したフランスの英雄、聖女ジャンヌ・ダルク。清らかさの象徴のような彼女を崇拝した男たちのなかに、のちに吸血鬼と呼ばれる騎士が居たのだ。その名前はジル・ド・レイ。かつては英雄と呼ばれていた人物なのだ。」

悠「ところで今日って節分じゃん」

摩耶「そだね。」

悠「皆は絵方巻きとか食う派?」

神姫「ウチはそういう行事はわりとやるわよ。」

摩耶「僕は絵方巻きって知らなかったんだけどね。悠君に教えてもらった」

千世子「ジル・ド・レイはフランス大貴族で、24の若さで軍隊の最高位「元帥」に上がりつめた優秀な軍人だったのだ。背が高くてハンサム、信仰心が厚く、武術にも優れた騎士の鏡のような好人物だったのだ。ジルはイギリス軍がフランスに攻め込んだ百年戦争でジャンヌ・ダルクに協力し、戦争を終わらせたことで救国の英雄と呼ばれたのだ。」

亘理『絵方巻きって知らないとかあるの?』

悠「大阪地方中心で行われてたんだよ。東京で知られ出したのは実は最近だ」

亘理『そうなんだ』

摩耶「悠君はあれでしょ?おれの太巻きを頬張れよっていうんでしょ?」

悠「いいませんよ?!けど、そういうネタ嫌いじゃない」

神姫「ゲスが」

雨「ゴミが」

悠「あれ、おれだけ集中砲火?」

千世子「だがジャンヌがフランス王家に見捨てられイギリス軍に殺されたころから、ジルの行動は狂気の匂いが漂い始めるのだ。戦争が終わって領地に帰ったジルは、、さまざまな奇行を始めたのだ。」

・錬金術や黒魔術に傾倒し、湯水のように金を消費する。

・気にいった少年を誘拐してきて性向、惨殺、吸血行為などを行う

・領地をめぐって争いになった聖職者を拉致監禁する

摩耶「あはは」

亘理『天使のような悪魔の笑顔』

悠「ただ、おれ太巻きは嫌いなんだよな。しいたけはいってるし。だからネギトロかカッパ巻きがいいな」

雨「なんでカッパ巻き…」

悠「キュウリが好きなんだよ」

千世子「これらの悪事が発覚したことで、ジルは厳しい拷問と裁判にかけられだのだ。罪を認めたジルは絞首刑になり、その目を疑うような悪事から「悪魔」と呼ばれるようになったのだ。その後、吸血鬼という怪物が東欧にいることが知られるようになると、ジルは「実在した吸血鬼」と呼ばれるようになったのだ。」

摩耶「僕は細巻きでいいかな。桜デンブの細巻き」

神姫「マニアックね…」

亘理『私はフツーにサーモンとかがいいな』

悠「現代っ子か!」

亘理『サーモンで?!』

雨「っていうか、なんで巻物の話しになってるの?」

悠「何となくだよ」

千世子「フランスの詩人シャルル・ペローの童話「青ひげ」は、青い髭の金持ちと結婚した女性が、屋敷の中で前妻の遺体を見つけ、夫に命を狙われる恐ろしい内容で有名な作品なのだ。この敵役である青髭は作品発表当時、ジル・ド・レイをモデルにしていると読者に信じられていたのだ。そう断言できる証拠はないのだが、皆がそう連想するほど、吸血鬼ジル・ド・レイの知名度は高かったのだ。以上、ジル・ド・レイのじゅぎょーだったのだ。」

悠「よし、じゃあ、豆まきっすか」

千世子「わーいなのだ!」

摩耶「じゃあ、悠君鬼ね」

悠「うんって頷いたら穴だらけになるから嫌だ」

神姫「チッ」
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