ー奇談ー學校へ行こう8

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「摩耶はデッキ組むとしたら……」

摩耶「アンデットデッキ」

悠「早かったな…」

摩耶「アンデットでしょ。腐肉を撒き散らす」

亘理『黒の割合が高いのかな…』

神姫「最近はさっちが本質だと思えてきてるわ」

【エリザベート・バートリー】

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。吸血鬼とは空想上の存在だが、ヨーロッパでは、血液に関する異常な行動を取った、実在する殺人者ことElizabethvampires、歴史上の吸血鬼と呼ぶことがあるのだ。歴史上数多くの死体愛好家、血液嗜好症、大量殺人鬼などのなかで、もっとも多くの人を殺し、もっとも広く恐れられたのは、東欧の国で大貴族の当主として権力を振るった女性だったのだ。彼女の名前はエリザベート・バートリー。人呼んで「血の伯爵夫人」なのだ。」

悠「……多分、探せば吸血鬼もいるんだろうな」

神姫「いるでしょうね」

悠「だよな。」

神姫「っていうか、蜘蛛だって吸血生物の一種よね。正確には吸液生物だけど」

悠「蜘蛛なぁ」

摩耶「蜘蛛ねぇ」

雨「私を見るんじゃない!」

千世子「エリザベートが吸血鬼と呼ばれるようになった理由は、美を追い求め、老化を防ごうとする女性の本能を根ざしているのだ。彼女は処女の血液を「美容と若返りの効果がある化粧品」と考えており、年端もいかない少女を殺しては、生き血をその肌に塗りたくっていたのだ。まさに「事実は小説よりも奇なり」。人間の生き血で若返るドラキュラ伯爵も真っ青の吸血鬼ぷりだったのだ。」

悠「少女のもったいない使い方だな」

摩耶「そのいい方が犯罪者臭い」

亘理『悠ちゃん!』

悠「いやいや、いやいや……」

神姫「なにがいやいや何だか」

雨「クズが!」

悠「なんか若干一名からの風当たりがきついぞ」

千世子「エリザベートはのちにドラキュラ伝説で有名になる「トランシルヴァニア公国」の大貴族バートリー家に生まれ、隣国ハンガリーの伯爵家に嫁いだ女性なのだ。結婚相手よりもバートリー家の方が家の格が高かったので、彼女は結婚後もバートリーの性を名乗り続けたのだ。」

亘理『でも、若返りの効果なんてあるの?』

悠「保湿効果はあるかもな」

摩耶「あと鉄分は豊富かもね。」

雨「いやな、鉄分の取り方ね。」

悠「鉄分なんてフライパン舐めりゃいいのにな」

神姫「それは無い」

千世子「エリザベートが生きていた16~17世紀の東欧では、トルコを本拠地とするイスラム教国家「オスマン帝国」と、キリスト教を信じる諸国家の戦争が続いていて、エリザベートの夫はいつも城を留守にしていたのだ。夫の母がエリザベートを抑えようとしていたが、わがままでサディストなエリザベートが独裁者、暴君としてふるまう下地は十分に整っていたのだ。」

悠「そうか?おれはたまにやるけどな」

摩耶「妖怪だね。」

亘理『やった!』

悠「妖怪じゃないし、喜ぶなし!」

亘理『あかなめ亜種みたいな感じじゃ?』

悠「雑だなぁ」

千世子「そして、1604年、エリザベートが44歳のとき夫が亡くなると、彼女は目障りな義母を毒殺、名実とも城の支配者になったのだ。そして領地から次々と少女を攫い、欲望のままに虐殺し始めたのだ。」

摩耶「っていうか、その舐めた後のフライパンは?」

悠「洗うけど」

神姫「洗ってなかったら汚染フライパンよね」

悠「汚染て…」

雨「毒物が…」

悠「おいおい、蜘蛛に毒物っていわれちゃったよ」

千世子「6年後の1610年に事件が発覚するまでのあいだ、エリザベートに殺された少女の人数は2ケタを軽く越えていたのだ。裁判によって正式に認定された数値は80人だが、おそらく300人以上が殺されており、エリザベートによれば600人を超えるというのだ。本日はここまでで続きは次回なのだ。」
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