ー奇談ー學校へ行こう8

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「何か知らない人が居たのだ」

悠「……え?」

神姫「……どこに?」

千世子「廊下ですれ違ったのだ」

摩耶「まぁ、落ちつこう。それは男のだった?女だった?ついでに妖怪だった?」

千世子「男のおじさんだったのだ」

摩耶「だってさ。」

悠「……よし、とっ捕まえてグラウンド引きずりまわしの刑にしよう」

摩耶「まだ、どういうひとか分からないのに」

神姫「でも、ここでうろうろしているなら普通のひとじゃないんじゃない?」

千世子「顔色は悪かったのだ」

摩耶「じゃあ、人間じゃないんじゃないかな」

悠「顔色が悪い奴なんてごまんといるだろ。むしろそういう奴が危ない」

雨「アンタが他人を妖しいとかいう?」

悠「うるせぇ蜘蛛っ娘!コーヒー飲まして酔わすぞ!」

雨「キチキチキチキ!」

神姫「ちょっと写メっていい?なんかそれ、久しぶりに見たし、改めてみたら面白いわ」

雨「やめなさい!」

亘理『あ、悠ちゃん』

悠「どうした?ドアから入ってくるなんて珍しいな」

亘理『メフィ先生とこの人が話したいって』

悠「あ?」

メフィスト「ハーイ。小鳥遊さん少しいいデスか?」

頬のこけた男「……」

悠「イヤです」

メフィスト「ワッツ?!」

悠「もうダメっていうか嫌な予感しかしない」

メフィスト「彼の名前は愛野創(あいのつくる)さんデス。」

頬のこけた男「?」

悠「めっちゃ小首かしげてるぞ、そのおっちゃん」

メフィスト「それデお願いがあるんデスが。」

悠「どうしよう会話になってない」

神姫「ちゃんと説明聞きなさいよ。どうせ、断れないけど意図は伝えてくれるわよ」

悠「断れないって言葉がついてる自体でいやです。」

頬のこけた男「寒い、眠い、寒い、眠い…。」

摩耶「こちらのひと、何故か弱ってますけど」

メフィスト「そうなんデスよねー。ところでアリスは元気デスか?」

悠「毎日一回はおれを驚かして楽しんでるよ。」

アリス『最近の楽しみはね。寝むる寸前に枕を蹴飛ばすの。すっごく面白いの』

悠「えげつないだろ?」

神姫「直接顔を蹴られないだけいいじゃない。」

悠「寝ているところに顔面蹴られたら洒落にならない。」

摩耶「じゃあ、踏まれるなら?」

悠「……いやいやいやいや。」

亘理『ちょっと今迷わなかった?』

千世子「あんちん、あんちん」

悠「なんだ?」

千世子「あのひとついに床に倒れて膝を抱えちゃったのだ」

愛野(?)「48、49…」

悠「……何してるんだ、この人」

亘理『何かを数えてる?』

愛野(?)「木目を数えている……」

悠「……おい、この人大丈夫か?なんだっけ、ラヴ作るさんだっけ?」

メフィスト「惜しい!もう少し、もう少しデ辿りつく!」

悠「辿りつく?」

亘理『愛を作るひと?』

摩耶「ラヴクラフト」

クラフト「何か?」

悠「え?」

クラフト「ん?」

悠「ラヴクラフトさん?」

クラフト「そうだが」

悠「……旧支配者?クトゥルフ?」

クラフト「その名を呼ばれるのは久しいね。」

悠「これ以上、このひとに関わるのは駄目だ。やめよう」

メフィスト「クラフトさんを預かってください」

悠「嫌だ!!」

メフィスト「そういわずにどうかひとつお願いシマースよ。」

悠「なんでうちで旧支配者を預からないといけない!」

メフィスト「害はないデスから」

悠「信用ならねー!」

千世子「クラフトさん、床に伏せてたら服が汚れるから椅子に座ってた方がいいのだ」

クラフト「では、そうしよう。」

千世子「じやあ、あんちんとメフィストさんは置いといてじゅぎょーしましょうなのだ。」
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