ー奇談ー學校へ行こう8

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「知覚過敏かな。」

摩耶「冷たいもので歯がキンってなるの?」

悠「そうなんだよ」

亘理『ちゃんと歯磨いてる?』

悠「失礼な歯磨きは欠かしたことないかんな!いつでもキスOKだよ!」

亘理『……きゅん!』

雨「おい…」

千世子「はい、カーミラのじゅぎょーの続きしますなのだ。物語終盤ににって登場する吸血鬼専門家によれば、カーミラをはじめとする吸血鬼達には以下の特徴があるのだ。」

・人間の血を吸って数日で殺すが、特定の獲物に執着し、長期にわたって血を吸い続ける事がある。

・鍵のかかっている扉などを抜けられる。(方法は不明)

・吸血鬼に握られた部位は、痺れて麻痺し、なかなか治らない。

・最初吸血鬼になるのは、悪事をはたらいて自殺したもの。

・吸血鬼に襲われた人間も、死後吸血鬼となる。

摩耶「悠君はどんな特徴があるの?」

悠「イケメンとトーク上手と床上手と……」

神姫「ひとをイラつかせる才能」

悠「さ、サバイバーのスタンドなんて持ってないよ?!」

千世子「物語終盤にカーミラが滅ぼされるシーンでは、カーミラの肉体は呼吸も鼓動もあり、棺の中には血液がたまっていたのだ。カーミラはまず、心臓に杭を打ち込まれて断末魔の悲鳴をあげ、そのあと首を切り落とされたうえで火葬され、灰を川に流されたのだ。これらの退治法は、かつて東ヨーロッパで実際に行われていた吸血鬼退治法とほとんど同じものなのだ。」

神姫「悠もそこまでしたら逝くのかしら」

悠「一般人は心臓に杭を刺された時点でアウトです」

摩耶「じゃ、悠君は平気だね!」

悠「おっとと?まるでおれが一般人じゃないようないい方ですこと」

雨「変態でしょ」

悠「変態するのはお前だろ」

雨「ギーー!」

千世子「小説「カーミラ」は、主人公の少女ローラが、不思議な少女カーミラと過ごす甘い生活と、その裏で起きている陰惨な事件が同時に進む物語なのだ。知らない間にカーミラに血を吸われて衰弱していくローラだが、ローラの親戚の将軍が、可愛がっていた冥を吸血鬼に殺されたことからカーミラの正体が明らかとなるのだ。ローラの父親は将軍とともにカーミラの謎を解き、その墓を暴いて滅ぼすのだ。」

神姫「テラフォーマーよね」

雨「誰がよ!」

悠「あれもパンパン人死ぬんだよな。雨……」

雨「だから、テラホじゃない!」

悠「まさか……ゴキブリ側?!」

雨「逆さ吊りにして動脈裂いてやろうか……」

千世子「この物語の中には三人の重要な女性が登場するのだ。ひとりはカーミラ、もうひとりは将軍の姪を殺した吸血鬼「ミラーカ」、そして100年以上前に死んだという伯爵夫人「マーカラ」なのだ。じつはこの三人は同一人物なのだ。三人の名前をアルファベットで書くと、カーミラ(carmilla)、ミラーカ(Millarca)、マーカラ(Mircalla)となるのだ。この三人の名前に使われている文字はすべて同じで、順番を入れ替えただけのアナグラムになっているのだ。」

摩耶「今のは凶悪妖怪っぽいね」

悠「頭齧る妖怪もいますけどね」

亘理『……私違うよ?!』

摩耶「じやあ、どういう妖怪?」

亘理『えっと……つ、尽くすタイプです!』

神姫「それは違うでしょ」

千世子「すべての始まりである伯爵夫人マーカラは、吸血鬼に襲われて死んでいたのだ。ところがその夫は、彼女に吸血鬼予防の儀式をする前に死んでしまい、マーカラ伯爵夫人は吸血鬼としてよみがえったのだるそして将軍の姪を殺したあとにローラを襲おうとしていたというわけなのだ。以上、カーミラのじゅぎょーだったのだ。」
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