ー奇談ー學校へ行こう8

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「大きいけど形のいびつな明太子と、形が綺麗だけど小さい明太子があったらどっちくう?」

摩耶「小さくて綺麗かな」

神姫「大きくて綺麗」

悠「二択で聞いてるのに第三の選択を選んだ神姫さんは勇者です。おめでとう」

神姫「勇者って器用貧乏で終わるから良い気がしないわよね。」

千世子「じゅぎょーしますなのだ。モンスの天使の続きで否定派の意見の中で、興味深いものは挙げるふたつなのだ。」

摩耶「回復と補助魔法が使えてそこそこ素早さがある。完全にサポートだよね。」

悠「勇者って攻撃力が一番高いっとか、防御力が一番高いってならないんだよな。大概攻撃特化、もしくは防御特化キャラがいる」

亘理『でも、勇者ポジションってステータスはバランス取れてるじゃん』

千世子「ひとつは「モンスの天使は小説から出た空想物語である」。これは「モンスの天使が出現した話しが、小説のストーリーから広まったまったくのでっちあげである」という説なのだ。戦場に甲冑を着た天使が現れたという話しは、アーサーマッケンという作家の書いた小説「弓手たち」のあらすじと、非常によく似ているのだ。」

摩耶「バランス取れてるからこそ遊撃という名のサポーターになるんだよ。」

悠「魔法なら魔法特化キャラが必ずいるしな」

神姫「勇者の価値ってあれでしょ、イベント起こすのに必須。フラグ建築家」

摩耶「言い得て妙だね」

千世子「「弓手たち」のストーリーはこうなのだ。モンスでドイツ軍の襲撃を受け、絶望したイギリス軍の兵士が、守護天使ジョージに助けを求めるのだ。すると遥か昔に死んだ弓手たちがあらわれ、ドイツ軍を攻撃し始めるというものなのだ。マッケンはこの話しの出所は自分の小説であり、モンスの天使は空想のものであると主張したのだ。」

悠「そういうことだったら、アメリカのゲームだと異常に強キャラ過ぎるサムライとニンジャ」

神姫「ニンジャとかサムライの首切り即死パターンね」

摩耶「首切り=即死ってわりと多いよね。まぁ、実際に即死なんだけど」

亘理『首切りで即死にならないのって……ゾンビ?』

悠「ゾンビは既に死んでるしな。」

千世子「ただ、この説を疑問視する声もあったのだ。この小説が新聞に掲載されたのは1914年の9月のこと。それに対してモンス天使の目撃情報は、1914年の8月には新聞に載っていたのだ。つまり、モンスの天使の話が広まったのは、マッケンの小説が発表されるよりも3週間以上早いののだ。」

摩耶「でも、ゾンビも頭パーンしたら死ぬよね」

神姫「惑星からの物体Xとかは頭パーンしても生えてくるから死なないわよ」

悠「なんでボクを見るの?頭パーンしちゃったら死んじゃうよ?」

摩耶「生える生える」

悠「無理無理無理無理、無理Wryyyy!!」

千世子「1930年2月17日、ロンドンの新聞に載ったモンスの天使に関する記事が載るのだ。その記事は、モンスの連合軍と闘ったドイツ軍士官の証言だったのだ。」

雨「アホか」

神姫「阿保よ」

悠「アホじゃない愛すべきバカだ!」

亘理『うんうん』

神姫「バカは滅べばいいと思うのよ。常々」

悠「真顔で言うの勘弁してください」

千世子「証言によれば、モンスの天使の正体は「雲に映し出された巨大な映像」なのだというのだ。コレは、空に映像を映し出すことで敵兵士に集団ヒステリーを起させ、恐怖心を煽るという、ドイツ軍の作戦だったのだ。」

摩耶「冗談口調で言われて本気なパターンも怖いよね」

悠「そういう奴は大抵頭のネジが何本か抜けてる」

神姫「……確かに」

悠「だからなんでボクの方をみゆの!」

神姫「……」

シュツ!ガッ!
悠「鼻っ!?」

千世子「しかし、この作戦は裏目に出てしまうのだ。雲に映し出された映像を見た連合軍は、、神の加護を得られたと思い、恐怖を感じるどころか逆にやる気を出してしまったのだ。」

亘理『大丈夫……じゃないよね』

悠「ここ最近、鼻からの出血が増えてる気がする」

摩耶「お赤飯炊く?」

悠「真桜のが来たら炊いてやってくれ、もしくは白巳」

亘理『ガジッ!』

悠「殴られるし噛まれるしなんて日だ!」

千世子「ただ、この説は嘘である可能性が高いのだ。ドイツ軍上層部のひとりが、この記事に書かれたドイツ軍士官の名前は聞いたことがない、この話しはでっち上げだ、と記事を一刀両断したのだ。以上、モンスの天使のじゅぎょーだったのだ。」
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