ー奇談ー學校へ行こう8

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「夜中に食うカレーってなんで美味いんだろうな」

摩耶「焼きそばは?」

悠「美味いな」

神姫「ラーメン」

悠「美味しいね」

亘理『結局何でも美味しいってこと?』

悠「おれが作るからな!」

神姫「あら、強気ね」

悠「たまにはね」

千世子「でも、夜中に何か食べるとよくないのだ」

悠「その背徳感がいいスパイスになるんだよ」

千世子「そうなのだ?」

神姫「そうなんでしょ。悠の中ではね」

悠「これは手厳しい」

千世子「はーい、お話ばっかりしてないでじゅぎょーはじめますなのだ。この前の続きからなのだ。モンスの天使の話しは瞬く間に広がり一般大衆の広い関心を集めることになったのだ。いくつもの目撃例が、新聞や雑誌に乗ったのだ。」

雨「っていうか、夜中に何か食べるのは夜中まで起きてるってことよね。」

悠「夜中だから起きてる」

雨「吸血鬼か」

悠「そんなイケメンだなんて」

雨「いってない」

亘理『私はその良いと思う。うん。いいはず。』

千世子「これらの記事にはいくつかの傾向があるのだ。ひとつはモンスの兵士の中に有名な人物や天使がいた、というものなのだ。」

摩耶「よかったね。」

悠「なんか頑張って認めようとしてる感があるんだけど」

神姫「まず髪型から駄目だもんね」

悠「この艶髪が駄目と申すか!!」

千世子「ある報告によるとモンスの兵士を指揮していたのはイングランドの守護聖人である聖ジョージであったというのだ。」

神姫「髪が駄目じゃなくて髪型が駄目と言ってるのよ。ひとの話をちゃんと聞きなさいよ」

悠「ふひひ、サーセン」

神姫「……」

ドゴキャッ!
悠「うぎぃっ」

摩耶「ただ純粋なストレート。これが効くのです」

雨「まっ、でしょうねぇ」

亘理『今、拳がめり込んでた……』

千世子「そのほかにも、フランスの守護聖人ジャンヌ・ダルクを見たという兵士や、怪我を負った兵士を手当てする聖母マリアを見たという兵士もいたのだ。さらに、甲冑を着て白馬にまたがった大天使ミカエルを見た、という報告まであったのだ。」

悠「あぶぶっ」

摩耶「喜んでるね」

悠「よろこんでねぇべ!痛がってるっぺ!」

亘理『なんで訛りだしたの?!』

摩耶「鉛の中枢器官を穿ったからかな」

亘理『鉛の中枢器官なにそれ?!』

摩耶「……なんだろう」

雨「おいっ」

千世子「もうひとつの傾向は、不思議な雲が空に浮かび、光とともに天使が現れた、というものなのだ。ある雑誌には「連合軍とドイツ軍のあいだに、もうもうとした雲が出現しそのなかから天使たちが現れた」と証言する兵士たちのインタビューが載ったのだ。この証言と似たようなものとしては「上空を漂う光輝く三つの影を見た」というものや「光り輝く天使たちが降りてきて、ドイツ軍の陣地を上空を飛んでいた」という報告もあるのだ。」

悠「摩耶だってボケる時くらいあるさ」

神姫「正直言えば……珍しくないわよね。」

摩耶「大丈夫、僕のボケは「計算した天然ボケ」だから」

亘理『それって天然って言わないんじゃ…』

神姫「計算された天然ってことよ」

摩耶「相手を油断させるにはこういうキャラを作ってるほうが便利だからね」

亘理『く、黒い…』

悠「黒摩耶も素敵です。」

千世子「モンスの天使の存在を否定する意見もあるのだ。事実目撃報告の中には、明らかなウソとわかったものがいくつもあったのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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