ー奇談ー學校へ行こう8

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「いい感じの嵐だったな」

亘理『いい感じ嵐って何?』

悠「クシャルダオラが暴れてそうな嵐」

摩耶「大災害だよねソレ。」

悠「ゴグマジオスよりはマシだ。遥かにな」

【ティシュトリヤ】

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。ティシュトリヤは、地上に雨を降らせる天使なのだ。乾燥地帯のペルシア(現在のイラン)では、めったに雨が降らないため、草木を育てる雨はとくに重要なものだったのだ。その雨を降らせるティシュトリヤは、位の高い天使なのだ。」

悠「ティシュトリア……」

亘理『どうかした?』

悠「ちょっとそこのティッシュとりーや」

神姫「はい、ティッシュ」

ズドスッ!
悠「顔面にティッシュ箱が突き刺さる!?」

千世子「地上に雨を降らせる時期になると、ティシュトリヤは一か月間で次々と姿を変えるのだ。まず最初の十日は、ティシュトリヤは15才の男性として過ごすのだ。次は牝牛に変身して十日間を過ごし、最後は白馬に変身するのだ。白馬となったティシュトリヤは、地上に降りていき、雨を降らせて草木を育てるのだ。」

亘理『テッシュ箱の角って結構硬いんだよね。』

摩耶「大丈夫、悠君の顔はもっと固い」

悠「固いものに硬いものがぶつかると大変なことになるから!顔が変形したらどうする!」

神姫「対して今と変わらないでしょ」

悠「どういう意味じゃい!」

千世子「しかし、ティシュトリヤはかならず雨を降らせることができるわけではないのだ。人間にとって歓迎すべき雨季の到来を邪魔する悪魔が存在するのだ。それは旱魃を起こす悪魔「アパオシャ」なのだ。アパオシャは日照りや耐えられない暑さで草木を枯らし、動物を苦しめるのだ。」

摩耶「元よりいい感じになるかもしれないよ!」

悠「今でも最高なのに?」

神姫「ジャガイモみたいな形にしてあげましょうか?」

悠「ボコボコってことですかぁぁ!?」

神姫「YES、YES、YES。」

ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!

千世子「ゾロアスター教には「善の天使たちは必ず悪魔に勝つ」という考えがかあが、ティシュトリヤは非情に珍しい悪魔に負ける可能性がある天使なのだ。彼が悪魔アパオシャに勝てるかどうかは、信仰の力にかかっているのだ。信者たちの信仰心が薄ければ、ティシュトリヤは悪魔に負け雨も降らないというわけなのだ。」

悠「……」
チーン

摩耶「顔だけじゃなくてまんべんなく殴られてたね。」

亘理『悠ちゃんはときどき殴られたくてふざけてるようにしか思えない』

摩耶「もちろんそうだよ」

悠「勝手なこと言わないで!」

千世子「ティシュトリアは、夜空に輝く恒星「シリウス」の化身なのだ。シリウスは太陽系以外でもっとも強く輝いて見える恒星であり、日本では「冬の大三角形」を構成している星のひとつとして、また「おおいぬ座のシリウス」として知られているのだ。」

摩耶「あれ、違ってた?」

悠「違うし。おれは痛みを伴うプレイはアウトオブ眼中だ」

神姫「一方的な暴力なら良いと?」

悠「なにがいいのか分からない」

亘理『じゃあ、悠ちゃんは結局なにがいe
の?』

悠「ハーレム」

千世子「ティシュトリアが信仰されたペルシャ地方は乾燥地帯なのだ。一年のほとんどは雨の降らない乾季であり、年に一度だけ雨が降り注ぐ雨季がやってくるのだ。そのため雨季がいつ来るかを知ることは、農業をする上で非常に重要なのだ。」

亘理『ガジッ!』

悠「殴られたうえに噛まれるって何なんだろうか」

摩耶「モテモテだね」

悠「違うよね?折れの知ってるモテルってこーいうんじゃないよ?」

神姫「がりゅーでも呼ぶ?」

悠「(゜.゜)」

摩耶「呼ぼうか」

悠「元気なときにしてくれ……」

千世子「農民たちは、シリウスが日の出より早く見えることが、雨季が来る前ぶれだと知っていたのだ。そのためシリウスは、雨をもたらし、人々に収穫を保証する神として神格化されたのだ。のちにティシュトリアがゾロアスター教に組み込まれるとティシュトリアの雨季を知らせる役割が強調され、雨の天使として見られるようになったのだ。以上、ティシュトリアのじゅぎょーだったのだ。」
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