ー奇談ー學校へ行こう8

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なんか生ぬるいな」

摩耶「雨降って熱気がこもってるのかな。カビに注意しないとね」

悠「おれはカビが生える系の生ものではございませんよ?」

神姫「でも、脳みそは傷んでるでしょ?」

悠「綺麗なピンク色でつるつるだよ!」

亘理『つるつるはダメだと思う』

【アナーヒター&アシ】

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。ゾロアスターの天使は3階級に分かれるのだ。最上位は七大天使「聖なる不死者」、二番目が「ヤザタ」、三番目が守護天使である「フラワシ」なのだ。今回じゅぎょーするアナーヒターとアシは、どちらも「ヤザタ」に属する女性天使なのだ。」

悠「でも、ピンクってエロいよな」

摩耶「悠君の脳内ピンク」

亘理『エロいってなにさ、エロいって』

悠「……乳首とか」

亘理『そういうの良くないと思いますっ!』

悠「サーモンピンクって言うとさらにエロさがアップ!」

亘理『ガジッ!』

千世子「アナーヒターは水をつかさどる天使なのだ。世界が創られたとき、世界中を水で満たしたのは彼女なのだ。海や川など、ありとあらゆる水は、アナーヒターが持っている水がめから流れ出したものなのだ。もともとアナーヒターは、古代からペルシアで信仰されていた水と幸運の女神だったのだ。」

悠「何が駄目だったんだろう」

神姫「ソレが分からないところでしょ」

悠「……ちなみに下着はピンクでも縞がはいればさらに色気アップだと思いませんか?」

神姫「子供っぽい」

悠「じゃあ、黒の縞」

亘理『縞から離れられないなんかなの?』

千世子「アシは、最高神アフラ・マズダの娘であり、黄金の美女として描かれているのだ。彼女は幸運をつかさどる天使なので、ペルシアの戦士たちは武運を願ってアシに祈りを捧げるのだ。また、アシには女性の守護者という役割もあるのだ。」

悠「縞パンが……好きなんですよ」

神姫「マーブルチョコでも齧ってなさい」

悠「チョコ嫌ーい」

神姫「ウザいわ」

亘理『……あの、黒オンリーはアリですか無しですか?』

悠「アダルティックで有りです」

千世子「「ヤザタ」とは「信仰するに足りる存在」という意味の単語なのだ。ゾロアスター教ができる前の古代ペルシアでは、「ヤザタ」とは神々すべての総称だったのだ。つまり、この時点ではアフラ・マズダも「ヤザタ」と呼ばれていたのだ。」

摩耶「まぁ、ぶっちゃけ何でもいいんだよね」

悠「美人or可愛い子の下着ならね。」

亘理『……』

ゴスッ!ゴスッ!
悠「おっと、亘理さん踵を落としてくるのは必殺技の部類ですよ?」

神姫「首が狙い目よ」

悠「らめぇ~」

千世子「ゾロアスター教ができると、それまで神として信仰されてきた「ヤザタ」たちは、中級天使としてゾロアスター教の教義に組み込まれていたのだ。それにともなって、ヤザタという単語も「ゾロアスター教の中級天使」という意味に変わったのだ。アナーヒターなどは、もともと神だったものが天使に変わった典型的な例といえるのだ。」

悠「あっ、聞くまでもないだろうけど雨は穿いてないよな?」

雨「聞くまでもないって何よ」

悠「着物だし」

雨「着物=穿いてないって思うんじゃない!」

摩耶「じゃあ、穿いてるの?」

雨「……」

神姫「ノーパンスパイダー」

雨「やめてっ!」

千世子「時代が進んで中世にはいると、最高神アフラ・マズダや、ヤザタより偉い「聖なる不死者」よりも、むしろヤザタのほうを深く信仰する人々が増えていったのだ。なぜなら、アフラ・マズダや「聖なる不死者」たちが、ゾロアスター教の戒律など、あくまで宗教的な善を体現する存在であるのに対し、ヤザタたちは「幸運」「水の恵み」「安産」「豊作」「子孫繁栄」といった、生活の向上に直結した身近なものをつかさどっていたからなのだ。人々は堅苦しい宗教概念より、実利を与えてくれる身近な天使を選んだのだ。以上、アナーヒター&アシのじゅぎょーだったのだ」
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