ー奇談ー學校へ行こう8

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

亘理『悠ちゃん』

悠「あ?」

亘理『悠ちゃんが作ったミッションステージが一切攻略できないんだけど』

悠「そんなことないだろ」

亘理『いやいや、だって罠踏まないし!』

悠「普通にひっかけようとするから駄目なんだ」

亘理『じゃあ、どうしろと?』

悠「プレイヤーの後ろに罠仕掛けて自分諸共コンボ決める」

亘理『なにそのマゾいやり口?!』

【イズライール】

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。イズライールはイスラム教の死の天使であり、書記係なのだ。イズライールはイスラム教の四大天使のひとりなのだ。名前には「神が助ける者」という意味があるのだ。また、そのなまえは「アズラエル」と発音されることもあるのだ。」

亘理『悠ちゃんの考えるミッションは歪んでるよぉ』

悠「そんなことは…」

摩耶「悠君は難しさを追求すると歪んだ思想に辿りつくんだよ」

神姫「めんどくさいタイプね」

悠「めんどくさいとか言われた?!」

千世子「死の天使であるイズライールは、この世の人間すべての名前が載った、巨大な本を持ってるのだ。そして人間が生まれるたびにこの本に名前を書きこみ、人間が死ぬたび本から名前を消していくのだ。書記の天使と言われるのはこの話しが原因なのだ。」

亘理『確かに、悠ちゃんはたまにめんどくさい……』

悠「どこが!ねぇ、どこが!」

雨「そういうところでしょ」

悠「うるさいヒヨケムシ!」

雨「誰が三大奇虫のひとりよ!」

神姫「でも、ヒヨケムシも蜘蛛でしょ」

雨「だとしてもあんなのじゃない!」

千世子「イズライールは今後死ぬことになる人間の名前をイスラム教の唯一神「アッラー」から受け取ると、死ぬべき人間の元に登場するのだ。彼は人間の肉体と魂を引き離すことで肉体に死を与え、魂をアッラーの元に連れていくのだ。魂はアッラーの元で裁きと許しを受けると、さらに高貴な存在に引き上げられるのだる」

悠「こら、虫差別はダメだろ」

雨「うっさい!バカ野郎!」

悠「バカって言われた」

摩耶「脳内で色っぽく言われたと変換したらいいんじゃないかな」

悠「……悪くない」

雨「妄想で私を汚すな!」

千世子「このためイスラム教徒はイズライールが死の天使であるにも関わらず、その来訪を歓迎すべき出来事だと考えているようなのだ。」

亘理『ヒヨケムシって……蜘蛛?毛虫?』

神姫「画像検索したら一発で出るわよ」

摩耶「よかったら僕のアイパッド使っていいよ」

亘理『ありがとう…………キモッ?!』

悠「産卵中のウデムシの方がキモイぞ」

亘理『いい!いいよ!見たくないから!』

千世子「イズライールの外見は、死ぬべき人間に受け入れられやすいように、親しみやすい姿になっているというのだ。しかしその記述は、現代人からすれば怪奇そのものだ。」

悠「ちなみにヒヨケムシはペットショップでも売ってる」

亘理『虫はいいよぉ……』

摩耶「じゃあ、リトルパンプキンとかどう?」

亘理『小さいかぼちゃ?』

悠「馬の事だ。」

神姫「世界一小さい馬。 成体で体高35cm、体重9kgぐらいの。」

亘理『ちっちゃい?!ヘタな犬より小さい!』

千世子「イズライールは天使の中でも最も大きな身体を持ち、4つの顔と7万の足、4000枚とも4万ともいわれる無数の羽をもっているのだ。また、空を飛ぶときは100万枚のヴェールで身体を包み、ヴェールの下には無数の目玉と舌が並ぶというのだ。この目玉は一個一個が人間ひとりと対応しており、目玉が瞬きすると、その人間が生死の境をさまよっていることを意味しているのだ。」

悠「虫じゃないけどグラスフロッグを飼ってみたいと思った時があったな」

亘理『フロッグだから……カエル?』

悠「内臓が見えてる蛙」

亘理『はい?』

悠「スケルトン仕様のカエルなんだよ。内臓とか普通に見えてる」

亘理『普通の生き物は選べないの?』

悠「透けてるだけで普通だよ」

千世子「イズライールは、四大天使中もっとも職務に忠実な天使だと言われているのだ。かつてアッラーが最初の人間「アーダム」を作ろうとしたとき、アッラーは天使たちに材料となる土を取りに行かせたのだ。だが天使たちは土の持ち主である大地に騙され、土を持って帰ることができなかったのだ。だがイズライールだけは大地の脅しに耳をかさず、見事土を持ち帰ったのだ。イズライールはこの功績によってアッラーに信頼され、人間に死を与える役割を任されることになったのだ。以上、イズライールのじゅぎょーだったのだ。」
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