ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(1/26/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

千世子「あんちん、悠のあんちん」

悠「なんだ?」

千世子「あんちんは毎日新宿で茶屋ムグッ?!」

悠「ヒソヒソ(ぴよこ、その話はないしょだ。いいな)」

千世子「コクコク」

摩耶「悠くん、そんな露骨に襲うのはちょっと…」

花描「ピエロリくんになっちまうぜ」

悠「足すな足すな」

千世子「えと…気を取り直して、じゅぎょーを始めるのだ」

神姫「……(新宿?)」

【メリュジーヌ】
生息地域:フランス
出典:フランスの民間伝承
千世子「前にイギリスの紋章によく描かれるドラゴンとしてワイヴァーンを紹介したのだ。同様にフランスにも紋章に好んで描かれる「メリュジーヌ」がいるのだ。紋章では、メリュジーヌは尻尾が二つある人魚(マーメイド)として描かれるのだ」

花描「人魚なら竜人じゃなく魚じゃないか?」

千世子「そう、だけど本来のメリュジーヌは、蛇の尻尾と翼を持った竜人なのだ。メリュジーヌは、上半身は美しい女性だが、腰から下が蛇で、腰もしくは背中にドラゴンの翼が生えているのだ。」

悠「ラーミアのバージョンアップ版みたいだな」

千世子「この姿がヴィーヴルと似ていることから、メリュジーヌはヴィーヴルと同じドラゴンだと考えることもあるようなのだ。メリュジーヌの正体は、イギリスの北部に位置する国…はい、何処なのだ?」

神姫「スコットランドね」

千世子「正解なのだ。そのスコットランドの王と妖精とのあいだにつくった子供なのだ。妖精は王に「自分が出産しているところをみてはいけない」というが、王はその約束を破ってしまうのだ。このせいで妖精と子供たちは妖精の世界へと帰ることになってしまうのだが、メリュジーヌは王を恨み、姉妹と結託して王を洞窟へ閉じ込めてしまったのだ。」

悠「因果応報だな」

摩耶「ダメと言われてやるのは人間の心理なのかな」

千世子「するとこんどは妖精である母が怒り、メリュジーヌにこんな呪いをかけたのだ」

・人間の愛を得られるまで週に一度、下半身がヘビになる

・ヘビになった姿を見られたら、一生醜いヘビの姿でいなければいけない

花描「恨みあいだな…」

悠「まったく、恨みってこわいなぁ…くわばらくわばら」

千世子「この後メリュジーヌはフランスの貴族と結婚し、たくさんの子供をうける。しかし、下半身がヘビの姿に変身しているところを貴族の男性に見られて、メリュジーヌは貴族の前から姿を消してしまったのだ。この伝承によればメリュジーヌの子供たちのほとんどは、人間離れした姿を持つ怪物として生まれたが、最後に生まれたふたりの子供だけは正常だったのだ。このふたりは成長して、フランス王家の先祖になったというのだ。以上、メリュジーヌのじゅぎょーは終わりなのだ。」

悠「おつかれさん、さぁて…(新宿いくか)」

神姫「……」
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