ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(1/25/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「神姫って、ホットカーペットと炬燵どっち派?」

神姫「なによ」

悠「いや、何となく気になった。」

神姫「……私は布団で寝てるからホットカーペットね」

悠「そっか。」

神姫「……」

悠「いや、本当にそれだけ。」

神姫「意味わからないわね。」

千世子「それじゃ昨日の続きなのだ。このころペトレアは、べつの森の中で見つけた館で「イレアナ」という美しい娘と出会い、毎日彼女のもとを訪れるようになっていたのだ。」

摩耶「このまま終わればベストだね。」

花描「そうはいかないんだよな」

千世子「聡明な女性だったイレアナはペトレアの母の企みを見抜き、ペトレアに薬を取りにいかないように進めるが、母を愛するペトレアは聞き入れなかったのだ。そこでイレアナは、ペトレアが母親から指示を受け取ってくるたびに助言して、ペトレアの探索を成功に導いたのだ」

摩耶「奥さんは賢い人に限るね」

悠「頭が良すぎるのも考えもんだぜ。」

千世子「どんな試練を与えても成功して帰ってくるペトレアを、母親とズメウはさらに恐れ、もっと直接的な罠でペトレアを抹殺しようと決意するのだ」

摩耶「考えがずれてるね」
花描「女の欲は歪むと洒落にならないな」

摩耶「悠くん気を付けてね」

悠「俺は別に平気だよ。恨まれる女がいない」

千世子「その方法とはペトレアに力試しという口実で、三本の糸を引きちぎらせるというものなのだ。実は三本めの糸は絶体に切れないようになっていて、強く引っ張ると手の方が切れてしまうのだ。ズメウは両手首を失ったペトレアをバラバラに切り刻んで殺し、死体を袋にいれると馬の背にのせてどこかへ追いやってしまったのだ。」

悠「えぐいやり方だな。」

神姫「バラバラにしたら埋めたらいいのにね」

千世子「ペトレアの死体を乗せた馬は、いつもの習慣でイレアナの住む屋敷に到着したのだ。イレアナはペトレアの死体が届いたのを知ると、慌てた様子もなく蘇生の儀式にとりかかったのだ。」

摩耶「こんなこともあろうかとだね」

悠「なんという孔明の罠」

千世子「ペトレアは元通りの姿に復活して、母親の真意をようやく理解したペトレアは、イレアナの指示にしたがってズメウと母親を誘きだし、まずズメウをバラバラに切り刻んで恨みを晴らしたのだ

摩耶「華麗なる復讐だね」

千世子「母親については親殺しをきらったからか、ペトレアは自分で手にかけず、その判断を神に委ねることにしたのだ。ズメウの心臓を日であぶって、悪い方の目をつぶせと祈ると、心臓は母親の顔面に飛び込んで爆発したのだ。自分勝手な理由で息子を殺そうとした母親は視力を失う天罰を受け、母を愛した勇者は、賢く美しいイレアナと一緒に、幸せにくらしたというそうなのだ。これで勇士ペトレアのズメウは終わりなのだ」

摩耶「悠くんならどうする?」

悠「俺なら…母さんが幸せならバラバラになるのも辞さないな。なんせ俺は真性のマザコンだからな。いっひっひ」
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