ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「WRYYY~!」

亘理「背伸びのため息すらソレなんだ」

摩耶「大分、吸血鬼化してるんだね」

千世子「千世子と同じなのだ」

悠「お前は吸血鬼よりトイレの花子さんよりだろ」

千世子「全然違うのだ!」

亘理『どこでトイレの花子さんと兆通天が有ったんだろ?』

【ライラ】

千世子「じゅぎょーしますなのだ。ライらは妊娠、出産をつかさどるユダヤ教の天使なのだ。これから生まれる人間の魂を母体へ運び、出産を見守るのがライラの役割なのだ。またユダヤ人のあいだでは、妊婦や赤ん坊は悪魔「りりす」に攻撃されると信じていたのだ。リリスの魔の手から胎児や赤ん坊を守るのも、ライラの大事な仕事なのだ。」

悠「揺り籠から墓場まで」

摩耶「悠君の守備範囲?」

亘理『広?!』

悠「まだ、そこまでではない。」

神姫「まだってことはいつかはなるの?」

悠「……」

千世子「ライラの仕事は、女性が身ごもったところから始まるのだ。最初にまず、子供の父親の精液が神のもとに持ち込まれるのだ。神はライラが差し出した精液を見ると、その子供にふさわしい魂を選び出し、ライラに渡すのだ。神が選んだ魂の特性によって、生まれてくる赤ん坊の性別や容姿、性格や将来などが決定されるのだ。ただし、この魂の選別は、神ではなくライラ自身が行っているという説もあるのだ。」

Q子『いやらしワードを聴きつけてQ子推参!』
ぬっ!
亘理『なんで100発100中で私の足下から出てくるんですか///!』

悠「Q子だからだろ」

摩耶「分かりやすく、完璧な答えだね」

亘理『意味が分からないっ!!』

千世子「こうして生まれることが決まった魂は、ライラの手で子宮に運ばれるのだ。このとき魂はたいてい肉体を持つことを嫌がって逃げ出そうとするのだ。だが、ライラがしっかりと魂を監視しているので、結局は子宮へといれられてしまうのだ。」

Q子『みあげたら下着が覗ける。そう決まっているなら……普通にここからしか現れないでしょ?』

悠「なるほどなー」

亘理『納得しないで!』

Q子『ちなみに黒のレースだったわ』

悠「おっとなー!」

亘理『ガブッ!』

千世子「さらに一部の伝承では、ライラには胎児を教育する役割まで与えられているのだ。魂が母親の子宮に入ると、ライラが魂に、彼らがこれからどのような人生を歩むかを教えるのだ。しかし出産直前になると、ライラは胎児の鼻を弾いてすべてを忘れさせるのだ。赤ん坊が表面的にはなんの知識も持たずに生まれてくるのはそのためなのだ。」

神姫「毎回飽きないのかしら」

摩耶「楽しんでるんだよきっと」

雨「咬まれるのを?」

摩耶「セクハラと咬まれること」

雨「ただの変態ね。」

千世子「ちなみにライラの名前は、ヘブライ語で「夜」を意味する単語「ライル」が由来なのだ。そのためか、ライラは夜を支配する天使と考えられているのだ。彼はライラエル、レリエルという別名で呼ばれることもあるのだ。」

Q子『私も咬みたいし咬まれたいわ!』

悠「おれは咬まれたくない」

亘理『がじがじ!』

雨「咬まれてるけど?」

悠「そのうち脳髄をすすられるんだと最近覚悟してきた」

摩耶「バタリアンだ」

千世子「ユダヤ教徒のあいだでは出産の天使として知られるライラだが、その他の伝承ではまったく違う役割を与えられているのだ。旧約聖書に収録された世界創造の「創世記」では、ライラはユダヤ人の先祖であるアブラハムが、誘拐された甥を助けるために手を貸しているのだ。そして、ユダヤの民間伝承では、ライラは天使ですらないのだ。ここではライラは、夜に眠っている人間に攻撃したり、女を欲情させる悪魔だと考えられているのだ。以上、ライラのじゅぎょーだったのだ。」
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