ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(1/24/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

摩耶「ちょこちゃんて暗いの怖くないの?」

千世子「千世子は大人だから平気なのだ。」

花描「じゃあ、夜のトイレも平気か」

千世子「もちろんなのだ。」

悠「凄いな。俺なんか暗いのは怖くて仕方ない」

神姫「闇討ちされるから?」

悠「まだ二回くらいしかねぇよ!」

千世子「怖いのだ…。さて、じゃあ昨日の続きをはじめるのだー。」

摩耶「勇士ペトレアのズメウだったよね」

千世子「そうなのだ「勇士ペトレア」の物語は、若き勇士ペトレアとその母、美形のズメウ、そしてヒロインであるイレアナの四人を軸に展開するのだ。勇士ペトレアは、妊娠したまま夫を亡くした未亡人から生まれたのだ。七歳になるまで乳離れせずにすくすくと育ったペトレアは並ぶもののない勇士となり、あちらこちらに腕試しにでかけるようになったのだ。」

悠「なんでこの手の強者は腕試しに行きたかるんだろうな。俺みたいに無血主義ばかりなら世界はどれだけ平和になることやら」

神姫「……」
花描「……」

悠「ゴミをみるめ!?」

摩耶「ソウダネ」

悠「摩耶もカタコト!?」
千世子「あるときペトレアは、森の中に立派な館を見つけたのだ。この館には七体のズメウが住み着いていたが、ペトレアは屋敷に乗り込んでまず六体目まで殺したのだ。だけど七体目のズメウがあまりに美しかったため殺すのが忍びなくなり、七つ目の部屋に閉じ込めて鍵をかけたのだ。」

悠「えげつないなぁ」

千世子「ペトレアは洋館に母親を呼び寄せると、新しい暮らしを始めたのだ。母親はペトレアから「七つ目の部屋は開けてはいけない」と言われていたが、それを無視して鍵を開けてしまったのだ」

摩耶「悲劇の始まりだね~」

神姫「ダメと言われたらやるのが人間の心理なのかしら」

千世子「美しいズメウに出会った母親はあっというまに恋に落ちてしまったのだ。最初はペトレアの目を盗んでズメウと密会を繰り返していた母親だったが、だんだんペトレアが邪魔になってくるのだ。母親はズメウと結託して実の息子であるペトレアを殺すために策略を巡らせるようになったのだ。」

摩耶「恋は盲目だね」

花描「愛の前には子も親もなしか」

千世子「母親とズメウの策略とは「病気の母親のために特別な薬が必要」という口実で、ペトレアを危険な場所に送り込み、ペトレアが死ぬのを待つという方法なのだ。……っと、時間なので続きはまた明日なのだ。」

悠「はいよ、お疲れさん」
70/100ページ
スキ