ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「んー、ちょっと足りなかったな。変則お団子までしか出来なかった」

千世子「首の辺りがスースーするのだ」

摩耶「あ、でも可愛いね。」

亘理『あれって中国お団子っていうの?』

神姫「シニヨンよ。」

【ハニエル】

千世子「コホン。じゃあ、じゅぎょーしますなのだ。ハニエルは、非常に別名の多い天使なのだ。本来、学者のあいだではハニエルの別名である「アナエル」のほうが有名なのだが、近年ではハニエルの名前で創作物に登場する事が増えたため、今回はハニエルを中心にじゅぎょーしていくのだ。」

亘理『しによんってなに?』

悠「だから束ねた髪をサイドや後頭部でまとめたヘアスタイルのことだよ。簡単に言えば、ポニーテールを丸くまとめたものだけど。一般的にはお団子ヘア」

亘理『お団子ヘアってシニヨンっていうんだ……』

神姫「シニヨンはフランス語だけどね」

悠「触ったらしにょんって感触だからシニヨンだ」

亘理『あぁ!』

神姫「いっておくけど、大ウソよ?」

亘理『……がぶり!』

千世子「ハニエルは、愛の象徴と考えられた金星を支配しており、自身も愛をつかさどる天使なのだ。またハニエルは、数多い天使の中でも7人しかいない、神と同席する事を許された「御前の七天使」のひとりでもあるのだ。その名前は「神の栄光」「神を見るもの」を意味するのだ。」

亘理『ガジガジガジガジ』

悠「なんでもひとのいう事を鵜呑みにしちゃダメだってことだ」

摩耶「今悠君は亘理呑みになりかかってるけどね」

神姫「呑みって言うか齧りだけどね」

雨「悠も悠だけど亘理も亘理よね…」

千世子「民間の魔術でも、ハニエルは愛の天使とされているのだ。ハニエルを呼び出せれば、呼びだした人間が望むどのような相手からでも、特別な愛情を注いでもらえるのだと信じられたのだ。別の説では、その名前は魔よけになると考えられたのだ。」

亘理『ソレっぽいこと言われたら信じちゃうでしょ!』

神姫「悠の口から出た時点で話し半分と嘘半分で聞いておくべきだとも思うけど?」

悠「それだと真実が一切ないんですけど」

神姫「あるの?」

悠「真実はいつもひとつ!」

千世子「一説によるとハニエルはバビロン神話に登場する愛の女神「イシュタル」がユダヤ教に取り入れられた姿だというのだ。イシュタルは、世界各地の神話に影響を与えた大女神で、キリスト教では悪魔「アスタロト」とされているのだ。この説が本当ならば、イシュタルは天使と悪魔、両方の姿を持っていることになるのだ。」

神姫「……」

摩耶「……」

亘理『……』

雨「……」

悠「あの、全員で無視はやめてください。心が、心が痛いです」

千世子「ハニエルには多くの別名があって、中でも有名なアナエルは「金星の支配者」「性愛をつかさどる」と、ハニエルと似た部分を多く持つ天使なのだ。しかし、なかにはハニエルとかなり違う性格でありながら、ハニエルと同一存在だとされている天使もいるのだ。「オノエル」「シミエル」がその典型なのだ。」

摩耶「今のは全力で悠君の発言が白けさせたね。ソウルフリーズレベルで」

悠「冷気属性に麻痺の状態異常。いつの間におれは月術を体得したんだろうか」

摩耶「最終的にはシャドウサーバントしか使わなくなるだろうけど」

悠「っていうか、シャドウサーバントとベルセルク合わせ掛けで必殺技連打しか必要ない」

千世子「オノエルは、キリスト教グノーシス主義の偉大な天使だとされているが、説によっては、ロバの姿をした悪魔といわれているのだ。いっぽうのシミエルは、ハニエルと同じく御前の七天使のひとりに数えられることもある天使なのだ。ただしシミエルは、745年にローマ教会から、大天使ウリエルやラグエルとともに悪魔とされてしまった天使でもあるのだ。」

亘理『っで、私への謝罪は?』

悠「騙される方が悪いという名言が有ってな」

亘理『……』

神姫「一回チョークスリーパー決めて地面にたたきつけるといいわよ」

悠「多分それは首の骨とかが曲がっちゃいけない方に歪んだり神経的なものがブッ千切れるな」

摩耶「でも、難しいよね。チョーク決めての叩きつけって。首絞めつつ足払いのがいいかも。」

悠「即死技の研究会やめてくださいませんか?」

千世子「両方とも「天使の中では偉い」ということ以外は、ハニエルとあまり接点のない天使であり、なぜハニエルと同一存在とされるのかは定かではないのだ。以上、ハニエルのじゅぎょーだったのだ。」
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