ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「それじゃあ、じゅぎょーしますのだ」

摩耶「今日って子供の日だっけ?」

悠「子ど…」

Q子『ショタの日だと聞いて!』

悠「いってねーよ」

【サリエル】

千世子「以前じゅぎょーしたラグエルのほかにも、天使の堕落を監視する役割を持つ天使は複数いるのだ。大天使サリエルもそのひとりなのだ。ただし、その監視の対象はラグエルよりも広くなっているのだ。サリエルは天使だけでなく、人間の霊魂が罪を犯さないように監視する役目も与えられているのだ。ときには大鎌を持って死者の魂を刈りとるとさえいわれていて「死をつかさどる天使」として有名なのだ。」

Q子『えー、ロリショタ祭りじゃないの?』

悠「ちげーよ。奇祭を勝手に祭るな」

Q子『もしかしてお姉ショタ祭り?!』

悠「どっちでもねーけど、どっちも好きです」

亘理『がぶりっ!』

千世子「一方でサリエルは「癒す者」という異名を持つくらい医術にたけた天使でもあるのだ。その医療の腕が認められ、同じように癒しをつかさどる四大天使「ラファエル」の右腕として働いているとも言われているのだ。」

悠「事あるごとに噛むのやめないか?」

亘理『なんとなく噛まなきゃいけない気がした』

神姫「あんまりバッチイもの噛んでると死ぬわよ?」

悠「おれは毒キノコか」

摩耶「毒々しいキノコもってんじゃん」

悠「毒々しくないよ。立派なキノコさんだよ。」

神姫「腐り落ちたらいいのに」

千世子「また、旧約聖書の外典で、多くの天使が登場する「エノクの書」では、サリエルは月の運行をつかさどる天使なのだ。ところがこの本には、サリエルは月の軌道に関する禁断の知識を人間に教えたため、自ら堕天したという記述があるのだ。天使を監視する立場にありながら、自分の責任で堕天したため、サリエルは後の神学者に「天国と地獄の二重スパイのような存在だ」とまでいわれてしまっているのだ。」

悠「いま股間がひゅんってなった」

Q子『それは大変見て触って確認しないと!』

悠「黙ってろ変態」

Q子『イエス!変態!』

摩耶「全然認めてるって言うか、誇りを持ってるみたいだよ?」

悠「性質が悪いなんてもんじゃないな……」

千世子「サリエルの階級は、天使の九階級のうち第一位の「熾天使」だという説と、第八位の「大天使」だという説があるのだ。その別名は「スリエル」「サラカエル」などで、神と直接面会する事を許された「御前の七天使」の候補のひとりなのだ。」

Q子『でも、ただ単にいやらしいのが好きなんじゃないのよ?』

亘理『違うの?』

Q子『違わないこともないわ』

神姫「底なしの変態ね」

Q子『……にこっ』

摩耶「静かにけど達成しているような笑顔だ」

千世子「サリエルの目は「邪視(イビルアイ)」の能力を持っているという説があるのだ。「邪視」は世界中で信じられている超能力で、睨みつけた相手に様々な呪いをかける視線のことなのだ。もちろんサリエル達の本拠地であるキリスト教社会でも邪視の存在は信じられていたのだ。人々は、邪視の能力を持つサリエルの名前が書かれたお守りを持っていれば、ほかの「邪視」を避けられると信じていたようなのだ。」

悠「邪気眼と言えば中二病だよな」

神姫「話題を無理やり変えたようだけど、そこにいる変態はそのままよ?」

Q子『だってさ、悠』

悠「おれの事じゃなくおまえのことだから!」

雨「同レベルでしょ」

悠「ここまで酷くないやい!」

千世子「邪視に対するお守りは他の宗教の世界にも有るのだ。ユダヤ教では、手の中に目を書いたデザインの魔よけ「ミリアムの手」が有名なのだ。またイスラム教世界では、同様のデザインを「ファーティマの目」または「ファーティマの手」と呼ぶのだ。これは邪視を無効化にするものと、禍ヤ病魔を防ぐ効果があると言われていたのだ。以上、サリエルのじゅぎょーだったのだ。」
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