ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「さっきおれだけ紅王症候群にかかってなかった?」

亘理『なにそのかっこいいの!』

摩耶「キングクリムゾン」

悠「時間を吹き飛ばしたぁ!!」

千世子「あんちん、じゅぎょーするから静かにしてくださいなのだ」

悠「はい、すいません」

【ラジエル】

千世子「天使ラジエルの名前は「神の天使」「神秘の天使」を意味しているのだ。その名の通りラジエルは、宇宙すべての秘密を知る天使なのだ。その階級は9つある天使の階級8番目「大天使」で、階級3番目の「座天使(スローンズ)」を指揮する役割があるのだ。」

悠「どのタイミングで叫んだらいいんだろうか」

神姫「死ぬ間際でいいんじゃない?」

悠「最後の悲鳴みたいでヤダな……」

摩耶「なんじゃこりゃーって?」

悠「えっ、おれ撃たれて殉職?」

千世子「ラジエルは神と面会する事を許された「御前の七天使」のひとりであり、ふだんは神の玉を囲むカーテンの中に居るのだ。そこでラジエルは宇宙のあらゆる情報を手に入れて、それを記憶、記録していくのだ。その知識は誰にとっても大変有用なものだが、神の許可がない限り誰にも教えてはいけないのだ。なぜなら、それら膨大な知識を守るのが、ラジエルの本来の役目だからなのだ。」

亘理『でも、悠ちゃんって撃たれたくらいじゃ死なないでしょ?』

悠「高確率で死んじゃうかな」

摩耶「本体が無事なら平気平気」

悠「何度もいうけどおれの本体は股間じゃないからな?いや、そりゃ股間撃たれたら死ぬだろうけど、色んな意味で」

摩耶「別に本体が股間ていってないのに」

悠「違うのか?」

摩耶「棒が本体」

悠「ひっくるめて股間でしょ!」

千世子「ラジエルはその膨大な知識を1冊の本「ラジエル書」にまとめたというのだ。聖書によれば、これは歴史上で初めての書物だというのだ。」

神姫「股間だの棒だのうるさいわね。モゲなさい」

悠「やめてよ!まだこの子は現役なのよ」

神姫「別に使わないでしょ」

悠「使うよ!バンバンつかうよ!」

雨「めちゃくちゃ最低なこと言ってるわね」

千世子「ラジエルの書には、神の名前を表す72の文字や、1500の知恵、他の天使が知らない宇宙の秘密などが書かれているのだ。しかしこの本はラジエルにしか読めない文字で書かれており、許可を得た者だけが本の記述を理解することができたのだ。」

摩耶「火葬してもそこだけ残りそうだよね」

悠「おれのジュニアは耐火性あるのかよ…」

摩耶「っていうか、そっちが本体?」

悠「なんだ、今日の摩耶は随分と下ネタに走るな」

摩耶「そういう日もあるでしょ」

悠「おれなんか毎日だ」

千世子「ラジエルの書は、聖書に登場する様々な人間の手に渡っているのだ。まず最初にラジエルの書はラジエルから世界で最初の人間である「アダム」の手に渡ったのだ。この本によってアダムは、自分の姿が神と似ていることに気づくのだ。ユダヤ教の予言者「エノク」は、この本の影響を受けて旧約聖書の外典「エノク書」を書いたというのだ。箱舟伝説で有名な「ノア」は、ラジエルの書で得た知識で有名な「ノアの箱舟」をつくり、洪水を逃れたのだ。そして古代イスラエルの王「ソロモン」は、この本を使って悪魔召喚の知識を会得し、72柱の悪魔を自在に使役したというのだ。」

神姫「悠のバイキンが摩耶についたのかしら……」

悠「バイキンなんか持ってないやい!」

亘理『悠ちゃんエッチなのはいけないと思います』

悠「え、だめ?」

亘理『……す、少しなら可』

雨「可じゃないでしょ…」

千世子「このように神話の世界で大活躍したラジエルの書だが、現実世界にもその一部が残っているという主張があるのだ。これは13世紀にエリアザルという人物が書いたものを基本にしており、その後複数の人物によって加筆され、18世紀にヘブライ語版、2000年に英語版が実際に出版されているのだ。しかし、この本が本当に聖書に登場するラジエルの書と同じ物なのかは不明なのだ。以上ラジエルのじゅぎょーだったのだ」
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