ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「はい、久々な気がするじゅぎょーしますのだ。」

悠「いえーい、ぴぃーぴぃー!」

千世子「あんちん、うるさいのだ」

摩耶「春だからねぇ」

神姫「なんでもかんでも春だからってことで誤魔化すのはよくないと思うわ」

【サンダルフォン】

千世子「サンダルフォンはユダヤ教の天使なのだ。同じくユダヤ教で、もっとも偉大な天使とされている「メタトロン」は、サンダルフォンの双子の兄弟なのだ。その名前は「共通する兄弟」を意味し、サンダルフォンもまた、兄弟と同じく天界を支配する偉大な天使のひとりとされているのだ。一説によれば、サンダルフォンは、メタトロンの別の姿であるというのだ。」

悠「っか、亘理さあ。近くない?」

亘理『気のせいさ』

悠「めっちゃ肩と肩触れてるけど?」

亘理『嫌なのか!嫌なのかー!』

悠「別に嫌とは言ってないだろ……なんでそんな目がまじなんだよ」

千世子「サンダルフォンは巨大な天使として有名なのだ。その背の高さは、数いる天使の中で、一番と言われているのだ。その身長は「歩いて500年かかるほどの身長」とも「地上に立つと頭が天界に届く」ともいわれているのだ。ユダヤ教の最大の予言者であるモーセは、サンダルフォンと会ったとき、そのあまりの大きさに恐怖を感じたというのだ。そしてサンダルフォンの事を「丈高き天使」と呼んだのだ。」

摩耶「つまり金剛君並の大きさか」

神姫「あの人って本来の姿か何かを留めてるの?」

摩耶「うん、力をかいほーしたら天を覆う筋肉があふれ出るの」

神姫「率直にいって気持ち悪いわ。」

摩耶「だね、いってて僕もそう思った」

千世子「ユダヤ教の文章の中で、聖書におさめられなかった書物「エノクの書」では、サンダルフォンは七つあるとされている天界のうち、第六の天界を統治している天使なのだ。」

悠「おれも第二、第三の形態があってだな」

神姫「……」

悠「……超無視されてるよ。超ムシだよ。超むーしー」

雨「わたしにムシムシ言うんじゃないわよ」

悠「やっぱりお腹押さえたら呼吸止まるのか?」

雨「黙れ。」

千世子「聖書には、サンダルフォンの性別はとくに書かれていないのだ。しかし、19世紀のオルカティスト「メイザース」がまとめた魔道書「ソロモンの大きな鍵」によると、彼は「契約の箱の左側に立つ女性の天使」であるというのだ。」

亘理『えっ、どういうこと?』

摩耶「蜘蛛の呼吸器官はお腹に有るんだよ」

亘理『えぇっ!』

神姫「生物の授業で習うでしょ」

亘理『習ったような……無いような』

悠「よくあるよくある」

千世子「サンダルフォンは、さまざまな職能を持つ天使なのだ。ひとつめの役割は、信者の祈りを直接神に届けるという「祈りの天使」なのだ。サンダルフォンは信者の祈りを集めて花輪を作るのだ。その花輪を神の頭にかぶせることで祈りを届けるのだ。」

神姫「だから、殺虫剤をかけるときは腹を狙った方が効果的よ。まぁ、わざわざそんなことしなくても全身にふりかかるでしょうけど」

雨「わたしを見ながらいうのはなんで?ねぇ、なんで?」

悠「可愛いからじゃね?」

雨「絶対違うでしょ!!」

亘理『がるるっ!』

悠「なんでお前はおれを見て唸ってるの……」

千世子「悪魔と闘うのも、サンダルフォンの大事な役割なのだ。彼は、大天使ミカエルとともに、悪魔たちの親玉である「サタン」と闘うのだ。天使と悪魔の戦いは世界が終わるまで続くとされたため、サンダルフォンはその日が来るまで、悪魔サタンと終わりなき戦いを続けるのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ」
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