ー奇談ー學校へ行こう7
ー校舎前:出入り口付近ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
レベルアップ、RPGなどではモンスターを倒したりクエストをクリアする事によって経験値を規定数溜めることによって強くなることだが、現実ではレベルアップするには長い時間をかけて何度も反復行動の末にようやく技術や力を手にしてレベルがあがったと言えるだろう。
しかし、ソレはもうレベルアップという次元ではなかった。おれより頭ひとつ分低かった身長は今や同じ高さに……。腕や足は太く固く筋肉がはち切れんばかりに膨らみ、虚ろだった目はハッキリと殺意を持ち眼光を輝かせている。
「ふっ……はっ……!」
おれは息をもらしながら人造人間(?)デモンの攻撃を捌いた。まだまだ大振りで力任せな攻撃ではあるが直撃は貰えない。ジャストガードでも当たれば手足に痺れが残るほど力が増している。
そしてなにより……
「うおおおぉぉぉ!!」
「っ……!」
咆哮が耳を劈く。まるで猿吼のような酷い音に身体が気おされてしまう。拳が頭上から落ちてきた数コンマ遅れておれは後ろに飛ぶ、鼻っ先スレッスレで落ちていき地面を叩いた。
「うぐぐるぅぅっ!」
デモンはおれを睨みつけながら、落した拳を地面から引きあげる。普通なら拳が砕けてるだろうはずの無茶苦茶な攻撃に加え、厄介なのはヤツの体質。体積を部分的に増やせるのか拳はバレーボールほどに膨れているのだ。
「グローブつけてないのにグローブな拳とか……笑えないな」
既に頭の中で切り替えていた。敵は人間の形をしたナニカだと……。そして、倒しきれないかもしれない相手をどう相手取ろうかと……。
目と鼻の先の距離で繰り広げられる戦いを見つめながら亘理は不機嫌に言った。
『メフィ先生、嘘つき。全然倒れないじゃん!死なないとか卑怯だし!』
その声に応えたのは屈伸したり軽く身体を動かしている摩耶だった。
「嘘はついてないんじゃないかな」
『え?』
「亘理ちゃん、メフィストさんが言ったこと覚えてる?」
『え、えーと、うん?』
首を傾げる亘理の代わりに、膝に座っている千世子が答えた。
「「倒しきれば倒せるって」いったのだ!」
「正解。つまりはそういうこと」
『ど、どういうこと?』
悠とデモンとの闘いに飽きたのか文庫本に目を向けていた神姫が言った。
「体力を0にしたら倒れるってことでしょ。あのデモンとかいうのは心臓が止まったりとか首の骨が折れたり程度では削りきれない。まぁ死なないって言うのは間違いではないのかもしれないわね。ある意味」
『んん?』
亘理はさらに首を傾げて唸った。
「はぁ……だからね。悠の攻撃が100ダメージ与えてるとしましょう、それでデモンの体力が10000だとして、たとえどれだけの攻撃をしても10000を削りきらないと倒れないってこと。」
『えー……そんなのあり?』
「私に言われても困るわ。アレを作ったそちらの悪魔さんにでもいえば?」
いいたいことを言い終わると神姫は口をつぐんで、すぐに手元の本へと目を向ける。亘理はジッとメフィストをみた。
「ンフフフ。ンフフフフ」
文字通り悪魔的な笑みを浮かべてただ、ただ楽しげ楽しげに悠とデモンを見つめていた。
おれは機会を待った。このまま立ち技で並びあってても終わりが見えない。なら、やることはただ一つひっくり返す。もう一度地面に寝転ばせて四肢を砕いて再起不能にする。
シンプルかつ直撃的な作戦。しか、ネタはシンプルでも敵は堅牢。すでにただの足払いやローキックでは崩せない。さて……どう攻めてとるかな。
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
レベルアップ、RPGなどではモンスターを倒したりクエストをクリアする事によって経験値を規定数溜めることによって強くなることだが、現実ではレベルアップするには長い時間をかけて何度も反復行動の末にようやく技術や力を手にしてレベルがあがったと言えるだろう。
しかし、ソレはもうレベルアップという次元ではなかった。おれより頭ひとつ分低かった身長は今や同じ高さに……。腕や足は太く固く筋肉がはち切れんばかりに膨らみ、虚ろだった目はハッキリと殺意を持ち眼光を輝かせている。
「ふっ……はっ……!」
おれは息をもらしながら人造人間(?)デモンの攻撃を捌いた。まだまだ大振りで力任せな攻撃ではあるが直撃は貰えない。ジャストガードでも当たれば手足に痺れが残るほど力が増している。
そしてなにより……
「うおおおぉぉぉ!!」
「っ……!」
咆哮が耳を劈く。まるで猿吼のような酷い音に身体が気おされてしまう。拳が頭上から落ちてきた数コンマ遅れておれは後ろに飛ぶ、鼻っ先スレッスレで落ちていき地面を叩いた。
「うぐぐるぅぅっ!」
デモンはおれを睨みつけながら、落した拳を地面から引きあげる。普通なら拳が砕けてるだろうはずの無茶苦茶な攻撃に加え、厄介なのはヤツの体質。体積を部分的に増やせるのか拳はバレーボールほどに膨れているのだ。
「グローブつけてないのにグローブな拳とか……笑えないな」
既に頭の中で切り替えていた。敵は人間の形をしたナニカだと……。そして、倒しきれないかもしれない相手をどう相手取ろうかと……。
目と鼻の先の距離で繰り広げられる戦いを見つめながら亘理は不機嫌に言った。
『メフィ先生、嘘つき。全然倒れないじゃん!死なないとか卑怯だし!』
その声に応えたのは屈伸したり軽く身体を動かしている摩耶だった。
「嘘はついてないんじゃないかな」
『え?』
「亘理ちゃん、メフィストさんが言ったこと覚えてる?」
『え、えーと、うん?』
首を傾げる亘理の代わりに、膝に座っている千世子が答えた。
「「倒しきれば倒せるって」いったのだ!」
「正解。つまりはそういうこと」
『ど、どういうこと?』
悠とデモンとの闘いに飽きたのか文庫本に目を向けていた神姫が言った。
「体力を0にしたら倒れるってことでしょ。あのデモンとかいうのは心臓が止まったりとか首の骨が折れたり程度では削りきれない。まぁ死なないって言うのは間違いではないのかもしれないわね。ある意味」
『んん?』
亘理はさらに首を傾げて唸った。
「はぁ……だからね。悠の攻撃が100ダメージ与えてるとしましょう、それでデモンの体力が10000だとして、たとえどれだけの攻撃をしても10000を削りきらないと倒れないってこと。」
『えー……そんなのあり?』
「私に言われても困るわ。アレを作ったそちらの悪魔さんにでもいえば?」
いいたいことを言い終わると神姫は口をつぐんで、すぐに手元の本へと目を向ける。亘理はジッとメフィストをみた。
「ンフフフ。ンフフフフ」
文字通り悪魔的な笑みを浮かべてただ、ただ楽しげ楽しげに悠とデモンを見つめていた。
おれは機会を待った。このまま立ち技で並びあってても終わりが見えない。なら、やることはただ一つひっくり返す。もう一度地面に寝転ばせて四肢を砕いて再起不能にする。
シンプルかつ直撃的な作戦。しか、ネタはシンプルでも敵は堅牢。すでにただの足払いやローキックでは崩せない。さて……どう攻めてとるかな。