ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なぁ、メフィのおっさん何かあったのか?」

義鷹「なんでだ?」

悠「なんか、めっちゃご機嫌に廊下をスキップしてたから」

義鷹「……まぁた余計なものを買ってきたんじゃね?」

悠「げー……」

亘理『そういえばこの前、人造人間がどうのこうの言ってたよ』

悠「……聞かなかった事にしよう」

千世子「じゃ、じゅぎょーしますなのだ。メタトロンには祈りの仲介者という役目もあるのだ。ユダヤ教徒が神に祈ると、その祈りはメタトロンの手で神の元に届けられるのだ。もちろんメタトロンは人間の言葉を伝えるために神と直接会うことを許されており、「御前の七天使」の有力なひとりだと考えられているのだ。」

晶「腎臓がどうかした?」
ずるり

悠「その腎臓じゃないから取り出すな」

晶「やだ、そんなに見つめてエッチ!」

悠「お前が取り出したんだし!羞恥のキャパが分からねぇ!」

摩耶「腎臓より肝臓を打った方がのちのちのダメージは引きずれるよ」

悠「あっ、なんか肝臓のあたりがズキズキした」

千世子「メタトロンが神の言葉を人間に伝える実例が、旧約聖書にあるのだ。「十戒」で有名なモーせの物語で、旧約聖書に収録された「出エジプト記」には、神の御使いが炎の柱になってモーセに予言を与えるシーンが描かれているのだ。この炎の柱は、ユダヤ教徒の間では「メタトロンが変身した姿だ」と考えられているのだ。彼はモーセに対して他民族の虐殺や掠奪など、天使とは思えないほど残忍な指示を出しているのだ。そのためメタトロンは、悪魔サタンと同一存在だと主張する意見まであるのだ。」

神姫「上から下まで全身にダメージを与えたらいいのよ」

摩耶「いやいや、確実に弱点にドスっといかないと」

悠「広域攻撃型と一撃必殺型……」

摩耶「僕はそんな一撃必殺系じゃないけどね。むしろ蚊?」

亘理『か?』

摩耶「火力は低いけどまとわりつかれるとウザい」

千世子「ユダヤ教の伝承では、メタトロンはユダヤ人の預言者「エノク」が天使に変身した姿だと信じられているのだ。その根拠は旧約聖書に収録された天地創造物語「創世記」にあるのだ。その5章24節にはエノクの最期を「神に取られたのでいなくなった」と記述しているのだ。つまりエノクが死んだとは書かれていないのだ。人々はエノクは死んでおらず、神によって天使にかえられたのだと考えたのだ。」

雨「ずいぶんと悲観的ね……」

悠「スパイアーメの言う通りだぞ」

雨「だれがスパイアーメよ!」

亘理『スパイアーメ?』

神姫「スパイダーマンをどうこう言いたかったんでしょ、たぶん」

悠「っていうか、摩耶の攻撃は蚊どころか重くて深いぞ」

千世子「エノクが死んで天使になった経緯は、旧約聖書の偽典であり、エノク自身が書いたという予言書「エノク書」に書かれているのだ。予言者エノクは「ノアの箱舟」で有名なノアの祖父で、書記として活躍していたのだ。エノクは非常に立派な人物だったので神はエノクが死ぬことを惜しみ、肉体を作り変えて天使にしたというのだ。メタトロンが書記の天使なのは、もともとエノクが優秀な書記だったからなのだ。」

摩耶「まぁ、最終的には金剛君の腹筋を普通に貫けるようになりたい」

悠「おれもなってみたいはそれ……」

亘理『スパイアーメか……いいね!』

雨「なんでアンタが気にいってるのよ」

亘理『冥ちゃんに覆面作っておいてもらうね』

雨「要らないし、着物に覆面て何よ…」

千世子「ちなみにメタトロンには双子の天使「サンダルフォン」が存在するのだ。サンダルフォンもまた、人間の予言者が天使になった存在だといわれているのだ。以上、メタトロンのじゅぎょーだったのだ。」
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