ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「うーむ……やっぱり右腕のが太いな」

摩耶「だねっ。右腕使いすぎてるんじゃない?」

悠「確かにシェイクハン……」

神姫「絞ればいいんじゃない?」

ミヂヂヂ!
悠「裂ける裂ける裂けるぅぅぅ!!」

神姫「……」

ミヂヂヂヂ!
悠「やめてくれる様子がない件?!」

【ウリエル】

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。ウリエルは、キリスト教の四大天使でただひとり、聖書の正典に名前が登場しない天使なのだ。そのため、ウリエルは他の三人に比べて地味に見られがちだが、かわりに他の三人にはまったく縁がない特別な経験をした天使でもあるのだ。」

悠「お゛お゛お゛ぉ゛っ……」

摩耶「何ということでしょう。悠君の右腕に波打ったような筋肉が……」

亘理『絞り後が戻ってなくて痛々しい……。』

神姫「コツは例え治った後でも内出血で後引く痛みが残るところよ」

悠「拷問の域だよこれ」

千世子「ウリエルの名前は「神の炎」または「神の光」という意味を持ち炎や太陽の天使としても知られているのだ。彼は様々な特徴や役目を持っているが、そのなかでもっとも重要なのは「監視」「予言」「解釈」の三要素なのだ。」

亘理『だ、大丈夫?冷やす?』

悠「おっぱいに挟んでくれたら治ると思うんだけど」

神姫「左腕もサイズ補正してあげるわ」

ミヂヂヂヂ!
悠「やめてやめて!痛いです痛だだだだだっ!!」

神姫「……」

ミヂヂヂヂ!
悠「真顔で、やめて、くれないぃぃ!」

千世子「ウリエルは天使の中で最も鋭敏な目を持つと言われ、地上や天界の異変にいち早く気付く。そしてウリエルは察知した異変を「予言」の形で人間達に伝え、秘密の知識について「解釈」つまり説明するのだ。箱舟伝説で有名な「ノア」に洪水の到来を伝えたのはウリエルだし、旧約聖書に収録された歴史書「エズラ記」では、予言者エズラが見た神から予言が何を意味しているか解説しているのだ。ウリエルは人間達の生活を見守り知恵を与える、いたせりつくせりな天使なのだ。」

摩耶「神姫さんはやると言ったらやってやりきるところが素敵だよね。」

亘理『度が過ぎてると思うのはあたしだけかな……』

雨「私もそう思う」

晶「何事にも一生懸命ってカッコいいよね」

悠「人の腕を絞りあげることに一生懸命ってなんじゃい!」

晶「ぼ、僕にいわれても!!」

千世子「だが勘違いしてはいけないのだ。ウリエルは決してやさしい天使ではないのだ……むしろ、無慈悲で厳格な管理者という評価こそふさわしいのだ。その性格は、新約聖書の外典で、世界の終わりについて書かれた文書「ペテロの黙示録」で詳しく知ることが出来るのだ。この文章によればウリエルは地獄の管理者であり、神を冒涜するものの舌を縛ってつり下げ、永遠の炎で火あぶりの刑にするのだ。ウリエルは地獄での仕事にけっして妥協せず、無慈悲かつ厳格に仕事を進めているというのだ。」

悠「神姫はウリエルの血筋があるのかもな?」

神姫「舌縛ってつり下げて欲しいの?」

悠「フルフルフルフルフル!」

亘理『人間ってあんなに早く首を振れるんだね』

摩耶「髪の毛がふぁんふぁんしてうっとうし過ぎるね」

千世子「また別の資料によれば、ウリエルは「最初の人間」アダムとエヴァが暮らしていた楽園「エデンの園」の門番であり、炎の剣を持って警護にあたっているらしいのだ。」

神姫「髪の動きに合わせてちょっといい匂いがするのがさらにイラつかせるわね」

悠「フローラルな香り~」

亘理『きゅん///』

雨「キュンはねーよ。今のでキュンはねーよ」

晶「雨ちゃんてときどきヤンキーみたいな喋り方になるね。」

雨「誰がヤンキーだ」

千世子「さらにウリエルは太陽の支配者であり、地震、嵐、火山の噴火、落雷といった天変地異を司る天使でもあるのだ。古代ヨーロッパでは雷は厳格さと裁きの特徴であり、その性格にぴったりの属性だといえるだろうなのだ。また、ウリエルは「神の炎」という意味の名を持つが、地震や火山を司ることから、中世の神学者には「大地の天使」という属性が与えられているのだ。」

悠「着物を着てる奴は完全にお淑やかか、お淑やかで内面を誤魔化そうとしてる奴かだからな」

雨「別にそーいう意味で着てるわけでもないし」

悠「じゃあ特攻服でも着てろ」

雨「意味が分からん」

Q子『ラバースーツとかどうかしら』

雨「黙れ変態」

千世子「ウリエルの象徴物は巻き物と本、または炎の剣なのだ。巻物と本は「解釈の天使」としての側面を、炎の剣は地獄または天国の管理人の一面を現しているのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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