ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ちぇきっす。ほい、土産」

千世子「わーい、なになのだ?」

悠「スイートポテト」

摩耶「あぁ、物産展?」

悠「そうそう。適当に切り分けて喰ってくれ。」

神姫「悠にしてはまともね。」

悠「おれに「しては」っていうのが凄く気になる。」

【ラファエル】

千世子「じゃ、食べながらじゅぎょーしますなのだ。キリスト教やユダヤ教の天使から偉大な天使を上から順番にあげるとすれば、一番目と二番目をミカエルとガブリエルが分け合うことは間違いないのだ。このふたりの次、三番目に重要な天使とされているのが、大天使ラファエルなのだ。」

摩耶「スイートポテトってめちゃ甘だね。」

神姫「でも、悪くは無い甘さね。」

亘理『いいね、たまにはこういうのも』

Q子『玉?!誰か玉っていった!』

悠「超反応だな……。」

千世子「ラファエルはキリスト教の四大天使のひとりであり、おもに癒しの天使として知られているのだ。それを裏付るかのように、ラファエルの名はずばり、ヘブライ語で医者を意味する単語「rapha」がもとになっているのだ。つまり彼の名前は「神の薬」という意味を持っていることになるのだ。また、ラファエルの象徴物も、ユダヤ教が生まれた中東地方で癒しのシンボルである蛇なのだ。そればかりか、非常に穏やかな性格の持ち主で「天使たちの中で最良の友」とも記されているのだ。性格まで「癒し系」だというのだから徹底しているのだ。」

神姫「反応するワードがどういうワードなのか考えたくないわね。」

Q子『もちろんいやらしいワード!』

悠「そして臆面もせずに言い切ったな」

摩耶「ある意味、究極の正直なんだろうね。」

神姫「ただのドスケベでしょ」

千世子「天使は9つの階級に分けられているが、四大天使の例にもれず、ラファエルがどの階級の天使であるかは完全に確定していないのだ。ラファエルの階級として明記されているのは、9段階の8番目に位置する「大天使」だが、ものによって第一位の熾天使、第二位の智天使、第四位の主天使、第六位の能天使だという資料も有り、なんと9階級中5階級がラファエルと関係のある階級だということになるのだ。」

Q子『イエス!アイアムスケベ!』

悠「救いようがないな」

神姫「悠もね」

悠「……」

亘理『えと、その……ドンマイ!』

千世子「ヨーロッパの絵画などでは、ラファエルの姿は六枚羽根の天使として描かれてるのだ。その近くには、彼のシンボルである蛇が添えられることも多いのだ。また天使の姿としていないときは、ラファエルの巡礼者の杖を持ち、魚もしくは水筒をぶらさげた旅人として描かれることも有るのだ。」

摩耶「まぁ、仕方ないよ」

悠「どういう意味で?ねぇ?」

雨「救いようがないって意味ででしょ」

悠「蜘蛛ってゴキブリとかも平気で喰うらしいな」

雨「吊るしてやろうかお前」

悠「分かりやすくキレるなよ」

千世子「ラファエルは癒しの天使として、ユダヤ人の祖先であるアブラハムが、陰茎の包皮を切り取る「割礼」の儀式をしたときに痛みを和らげたり、アブラハムの孫イサクが天使と相撲勝負をしたときに脱臼した股関節を元に戻してあげているのだ。ラファエルの癒しを描いた物語は、数をあげればきりがないほどなのだ。」

悠「今、股間がヒュンってした。かぶってないけどヒュンとした」

神姫「……」

ピッ……ドゴォッ!
悠「ぐべらっ!」

摩耶「おー、久々に超一撃が落ちたね」

悠「ぐぉぉ……おもに全身が痛い……」

亘理『悠ちゃん、のたうつ芋虫みたいだよ』

千世子「ところがラファエルの役目は癒しだけではないのだ。彼はそのほかにも、旅の保護者、人間たちの教師、風の天使、光と愛の天使など、多くの役割を持っているのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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