ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「電気ストーブより、やっぱり石油ストーブだよな」

亘理『悠ちゃん、あんまり近づきすぎたら焼けるよ?』

悠「誰かがおさなきゃ平気平気…」

晶「とう」

ツン!
悠「どわっしゃぃっ!!」

摩耶「おおー、ものすっごく気持ち悪い動きでストーブ避けた!」

悠「ゴラぁー!何すんじゃゴラぁー!内臓引きずりだしてモツ焼きにしてやろうかゴラぁー!」

晶「だって今の振りでしょ?!」

悠「違うわボケー!」

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。現在、神の本名は「ヤハウェ」または「ヤーウェ」と呼ばれることが多いのだ。しかしこの名前はあくまで研究による推論にしか過ぎないのだ。」

悠「ったく、あのボケ人体模型!」

晶「僕はよかれと思ってやったのに……」

摩耶「タイミングが悪かったね」

悠「タイミングの問題じゃねーよ!!」

千世子「神の名前が失われた理由は、ユダヤ人が使っていたヘブライ語という言語の性質にあるのだ。ヘブライ語は、単語の発音を決める「母音」を持たない言語なのだ。」

神姫「押し付ければよかったの?」

悠「そんなにおれの悲鳴が聞きたかったのか?」

神姫「そんな雑音聞きたいわけ無いでしょ。何いってるの?」

悠「どうしよう流石に泣きたくなってきた」

Q子『そういう時は目をつぶって二の腕を揉みながらおっぱいおっぱいって呟くといいわよ』

悠「世界が終わってもそれはしないと誓う」


千世子「例えばローマ字で天使と書くと「tenchi」となるのだ。ここから母音を抜くと「tnsh」となるわけなのだ。「tnsh」とだけ書いてあっても文字を見ただけではどんな発音をすればいいのか分からないのだ。これと同じように、文献に残されている神の名前を知っても、正確な発音が何であったか推測するしかないのだ。」

摩耶「それでもストーブの横を陣取るのが悠君だよね」

悠「焼けるのは怖いけど、寒いのはもっと怖い」

Q子『私も寒いわ』

神姫「だったら脱ぐな」

悠「ここまでありがたくない裸も珍しい」

亘理『しかも、不自然に局部は何かしらで隠れてる。浮遊霊とかで』

千世子「神の本名はヘブライ語で「YHWH」に相当するアルファベットで表現されているのだ。この四文字は神聖四文字「テトラグラマトン」と呼ばれ、紀元前の文献に何度も登場する重要な文字なのだ。この「YHWH」にどんな母音を当てれば適切な詠みになるのか……これはキリスト教、ユダヤ教の学者を長く悩ませ続けてきたのだ。」

Q子『Q子は全年齢大丈夫なのよ』

神姫「存在が悪影響よ」

Q子『いい子ちゃんなんてつまらないじゃない!ねぇ!』

悠「確かに」

摩耶「わぁ、即答」

神姫「なんで逮捕されないのかしら」

千世子「近年まで日本で主流だった詠み方は「エホバ(Yehowah)」というものだったのだ。この読み方は旧約聖書の翻訳パターンのひとつ「文語訳聖書」で使われているのだ。この文語訳聖書が日本語に翻訳されて広まったので、二本では「エホバ」一般的だったのだ。ソレとはは違って最近研究者のあいだで主流なのが「ヤハウェ」または「ヤーウェ」という読み方なのだ。」

悠「逮捕される理由が無いからだ!」

神姫「叩けばいくらでも埃が出るくせに?」

悠「残るような大きな埃は残さない」

摩耶「証拠隠滅ってやつだよね」

亘理『悠ちゃんは悪いことを悪いと思ってないからダメなんだよね。』

千世子「なおこのヤハウェという表現をキリスト教徒やユダヤ教徒が使うことは非常に少ないのだ。なぜなら旧約聖書に、「神の名前をみみだりに唱えてはならない」という決まりが書かれているからなのだ。この決まりは海を割って海底をあるいた伝説で有名なユダヤ人「モーセ」が神と交わしたとされる10の契約のひとつでこれら十個の契約をまとめて「十戒」と呼んでいるのだ。」

悠「悪いと思ってないわけじゃないが全面的に悪いとも思ってない」

雨「言い切ったわよ。コイツ」

摩耶「悠君だからね」

悠「悪意も善意も受け止めて自分の好きなようにルートを決めるそれがおれさ!」

神姫「ド迷惑ね。反省する気もないっていうのが」

千世子「現在ユダヤ教徒やキリスト教徒は、神の名前を口にしないように、「主」という意味を持つ「アドナイ」、あるいは「エロヒム」という単語を使っているのだ。以上ヤハウェのじゅぎょーだったのだ。」
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