ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(1/19/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「ぴよこは海たちと同じ学校だったんだな…」

千世子「そうなのだ。けど、アホ海とはできが違うのだ」

悠「おいおい…」

花描「でもまぁ、千世子ちゃんは確かに頭は良さそうだよな」

千世子「えっへんなのだ!」

悠「体力的には海のが上手だろ」

千世子「う…た、体力バカとはちがうのー!」

神姫「それじゃダメよ。文武両道。パーフェクトじゃなくちゃね」

悠「神姫は自信満々だな」

神姫「当たり前じゃない私は完璧だもの」

千世子「それよりじゅぎょーなのだ。」

摩耶「はーい」

千世子「ヴィーヴルの目、もしくは額にある宝石は、ヴィーヴルの目の代わりになるものなのだ。」

花描「昨日いってたな」

千世子「もしもこの宝石がなくなってしまいと、ヴィーヴルは何も見えなくなってしまい、最終的には絶望のあまり死んでしまうのだ」

摩耶「文字道理ショック死だね」

悠「そりゃ目見えなくなる上に宝石とられたらな」

千世子「もちろん、ヴィーヴルの事情などおかまいなしに、この宝石を狙うものも多かったのだ。ヴィーヴルの宝石はもちろん単なる宝石として価値の高いものだが、この宝石を手に入れれば大金持ちになれるという伝承もあるのだ」

摩耶「紅玉、龍玉、逆鱗…」

悠「やめろー。おれを責めないでくれー。」

花描「なにコントだよ」

千世子「どうやらヴィーヴルの宝石には、単なる宝石を越えた魔術的な力があると考えられていたようなのだ。」

神姫「ドラゴンが持つくらいだしね。それなりに何かしらの付加はあるでしょう」

千世子「民話にはヴィーヴルから宝石を奪おうと狙って成功した話が多く残っているのだ。」

摩耶「ドラゴン相手に?」

千世子「じつはヴィーヴルから宝石を盗むこと自体は、それほど難しいことじゃないのだ。ヴィーヴルは井戸や湖などで水を飲むとき、宝石を濡らさないために、額や目から宝石を外すのだ」

花描「取り外し可能なのか…」

千世子「このときが宝石を盗み出すチャンスとなるのだ。また、ヴィーヴルが寝ている隙に宝石を盗み出したという伝承もあるのだ。むしろヴィーヴルから宝石を盗もうとして失敗した話を見つける方が難しいのだ。」

神姫「哀れね…。」

千世子「宝石を盗まれたヴィーヴルが絶望して死んでくれれば盗人にとっては楽なのだが、逆上して襲いかかられることもあるのだ。」

摩耶「普段ヴィーヴルが人目に付かないところにすんでるのは、自分の宝石が盗まれないようにしてるのかな」

悠「あー、ありそうだな」

千世子「それじゃあ、今日はここまで、続きはあしたなのだ。」
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