ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「おぉぉーーベストだ!」

摩耶「ドンと来てるの?」

悠「ドンとこーい!」

神姫「ドンと」
ピッ……ドーン!

悠「ぐあっぱっ!!」

亘理『ドーンっと……いったね。』

【ワシリーナ】
英字表記:Vasiiisa
出身地:ロシア
出典:ロシア民話「蛙の女王」など

千世子「ドンドンいっちゃってるから千世子もドンドンじゅぎょーするのだ。日本民話における「太郎と花子」のように、各国の民話では、民話の登場人物につけるお決まりの名前があるのだ。ロシアの民話の場合は、男性はイワン、女性はワシリーサと呼ばれることが多いのだ。今回じゅぎょーするワシリーサは、ロシアの民話「蛙の王女」のヒロインとして登場する魔女なのだ。」

悠「ちょ……おれ、怪我人だぞ!」

亘理『確かに今のはやり過ぎなんじゃ……』

神姫「……」

ガシッ!
悠「……あっ。」

神姫「しっかり左腕握ってみたけど痛くなさそう、ねっ。」

ぐっ!
悠「痛い痛い!普通に痛い!」

摩耶「結構治ってきてるんだね」

千世子「ある国の三人の王子が、弓矢を放って、その矢が刺さった屋敷の娘を妻に迎えることにしたのだ。ふたりの兄の放った矢は、若い娘のいる貴族と商人の家に刺さったが、末の弟であるイワン王子が放った矢は沼に落ち、蛙がその矢を咥えていたのだ。」

悠「快復はしてきてる……けど、痛いのは痛い。特に頬骨はまだまだ、な」

摩耶「それにしてもギプス当てれないようなとこばっかり痛めるんだからマゾいよね」

悠「好きで痛めてないっての。けど、餃子像みたいにバラバラにならなくてホント良かった」

雨「ギョ?」

悠「餃子像!」

千世子「そのためイワン王子は、蛙を妻に迎えることになってしまったのだ。この蛙こそ、のちに「賢女ワシリーナ」とたたえられることになる魔女だったのだ。」

悠「合言葉は貧と乳だ」

神姫「……」

亘理『……』

摩耶「少なくとも巨か豊だね」

悠「……」

雨「私を見るな!!」

千世子「ただの蛙になにができるかとあなどられていた彼女だったが、この蛙は夜中に皆が寝静まると蛙の皮を脱いで美しい姫となり、魔法を使って兄嫁たちができないような大仕事をやってのけるのだ。貴族たちが集まる舞踏会では美しい姫の姿で現れ、ワインと鳥の骨をドレスの袖口に入れてから袖を振り、宮殿の庭に白鳥が泳ぐ湖を作りだすという魔法で出席者を驚かせたのだ。」

亘理『がじがじ』

悠「なんでおれは頭齧られてるんだろ。けっこうマジ噛みで痛いし」

雨「私も噛みたいわ」

神姫「蜘蛛って毒を注入してドロドロに中身を溶かしてから捕食するのよね」

悠「知ってるけどそれを今解説しないで」

千世子「妻の正体が蛙の皮をかぶった魔女だと知ったイワン王子は、ワシリーサが蛙の姿に戻らないよう、ワシリーサが脱いだ蛙の皮を焼いてしまうのだ。ワシリーサはこれを嘆き、白鳥に変身してどこかへ飛び去ってしまったのだ。」

悠「ちなみにおれの個人的目測で測った感じだと神姫のが亘理より大きいと見てるんだが答えは?」

亘理『はい?』

悠「胸のサイズ」

亘理『なっ///!!』

神姫「私の方が大きいんじゃないかしら」

ピッ……ドーン!
悠「どん゛どごい゛っ!」

摩耶「あいたー、顔から落ちたね。」

雨「本望でしょ色々と」

千世子「ワシリーサによれば、王子が彼女の皮を焼いてしまったため、ワシリーサは完全な人間になることができなくなってしまったのだというのだ。このことから賢女ワシリーサの正体は、魔術によって人間に変わろうとしていた蛙だったと推測できるのだ。以上、ワシリーサのじゅぎょーだったのだ」
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