ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「ほーい、みんなあつまってるのだ……あっ!」

悠「よーう」

千世子「あんちんが居るのだぁー!」
ぴょん!

抱きッ!
悠「ぎっ?!」

摩耶「思いっきり左腕動かしたね。」

千世子「あんちん……凄い声出したのだ」

悠「あ゛ばばば…」

神姫「降りてあげなさい。その馬鹿から」

千世子「あ、うんなのだ。」

悠「っ…ぉぉ……」

摩耶「はーい、こっちですわってようね。」

【フラウ・ゴーテル】
英字表記:FrauGothel
出典:グリム童話「ラプンツェル」(1812年ドイツ)

千世子「では、じゅぎょーしますなのだ。フラウ・ゴーテルはグリム童話のひとつ「ラプンツェル」に登場する魔女なのだ。この魔女は強力な力を持つとして周囲に恐れられていたのだ。」

悠「おぉぅ……痛い痛いよぅ」

亘理『大丈夫?』

悠「だいじょばない……かも。」

神姫「それだけ余裕ブッこいてるなら平気でしょ」

悠「余裕ってわけでもないんだけど」

千世子「物語のヒロインである美少女ラプンツェルの名前は、魔女が育てていたラプンツェル(レタスに似た葉物野菜)からとられたのだ。あるとき魔女は野菜を盗みにきた夫婦と「好きなだけ野菜をとっていいが、娘ができたら魔女に渡す」という約束をしたのだ。魔女は夫婦から引き取った娘を、箱入り娘として育て始めたのだ。」

摩耶「でも、痛みを越えたらあとは治るだけだよ」

悠「その式はおかしいよな。痛みを越えた先にあるのは死だよな」

雨「蘇るき?」

悠「というか、死ぬことを拒否りたい」

神姫「死んだら此処に埋葬してもらったらいいじゃない。多分妖怪化するだろうし」

悠「ひ、ひでぇ……」

千世子「ラプンツェルが12歳になると、魔女は彼女を出入り口のない塔の最上階に住まわせ、塔に出入りするときはラプンツェルの長い金髪を窓から垂らさせて、それをロープのようによじ登ったのだ。すべてはラプンツェルを外の世界と接触させないためだったのだが、ある王子が塔に住む美女の存在に気付き、夜這いをかけるようになるのだ。ラプンツェルは王子の子を妊娠し、これに怒った魔女はラプンツェルの長い髪を切って、砂漠へ追放してしまったというのだ。」

摩耶「まぁ、死なないからある意味妖怪だよね」

悠「死ぬし、現に今結構きついし」

亘理『そんなにつらいの?』

さわっ……
悠「んぎぃっ?!」

ぐらっ、ぽふん……
神姫「……」

摩耶「おー、横に倒れたのに器用に胸に倒れ込んだ」

神姫「……」
キリキリリリ……

悠「寅のときと同じくらい筋肉が軋む音がしてる!!」

バチィィン!!!

千世子「ちなみに魔女の名前「フラウ・ゴーテル」は、英語や日本語の訳では「ごーてるおばさん」と訳されることが多いが適切ではないのだ。Gothlとはドイツ語の方言で「代母(子供がキリスト教の洗礼を受ける時に立会人を務める女性)」という意味なので、フラウゴーテルは「名付け親のおばさん」という意味になるのだ。」

悠「……」

亘理『悠ちゃん、いきてる?』

悠「……っ」

摩耶「無事だった逆の頬がもの凄く痛いし、折れてる頬骨にも振動が伝わって気絶しそうだって」

神姫「折れてる方を打たないであげただけ感謝なさい」

悠「……」

摩耶「すいませんでしたって」

亘理『よく聞き取れるね……。』

千世子「もともと「ラプンツェル」は、「ペルジネット」というフランスの民話本をドイツ語訳した民話集から収録されたものであり、この原典ではフラウゴールドにあたる人物は魔女ではなく「妖精」だったのだ。グリム童話の初版でも彼女はフェ(妖精)だったが、第二番以降では、魔女に変更され、さっきいったような物語に変えられているのだ。以上、フラウ・ゴーテルのじゅぎょーだったのだ。」
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