ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

摩耶「しってるエジプトで122年ぶりに雪が降ったんだって」

悠「地球終わるなコレ」

亘理『地球っていうか悠ちゃんの顔色が終わってる』

悠「ファンデーション貸してくれ」

神姫「気色悪い」

【メリッサ】
英字表記:Melissa
出身地:不明
出典:「狂えるオルランド」(著:ルドヴィーコ・アリオスト16世紀)

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。16世紀にイタリアで発表された、騎士と恋の物語「狂えるオルドランド」には、主人公である騎士オルドランドや騎士ルッジェーロらの敵役として、何人もの魔女が登場しているのだ。ただし今回じゅぎょーするメリッサという魔女は、その中でも数少ない、主人公たちを陰ながら支援する、心優しい魔女なのだ。」

悠「摩耶は最近おれの心を揺さぶるような情報持ってくるよな」

摩耶「喜ぶかと思って」

悠「どんどん絶望していくよ」

摩耶「あはっ♪」

雨「めちゃくちゃにこやかに笑ってるわよ」

悠「ドキッとするわぁ。」

亘理『悠ちゃん?』

ぎゅーっ!
悠「耳引っ張らないで、痛い。痛いです。」

千世子「「狂えるオルドランド」には主人公格の登場人物が複数登場し、それぞれの活躍が複雑に絡み合って壮大な物語となっているのだ。魔女メリッサが登場するのは」アフリカ出身の騎士ルッジェーロを主人公とする物語で、彼女はルッジェーロと、キリスト教徒の女騎士ブラダマンテによる禁断の恋の物語なのだ。」

神姫「これ、読んだことあるわ」

摩耶「へー、面白かった?」

神姫「まぁまぁね。」

悠「禁断の恋って響きがいいな」

亘理『したいの?』

悠「……微妙だな」

千世子「物語の序盤で、ブラダマンテは仲間の裏切りにあい、穴の中に落とされてしまうのだ。なんとかたすかったブラダマンテの前に「裸足で髪を乱し、しどけない(しまりのない)服装」をしたメリッサが現れたのだ。彼女はブラダマンテの子孫がイタリアの有力な家系になると予言し、彼女の子孫の幻影を見せたのだ。」

摩耶「禁断の愛……って、別に悠君は揺光さんが居るしねぇ」

悠「あはは、笑えない冗談だな」

摩耶「え?」

雨「冗談がなんのことって顔ね」

神姫「ほんと動く生殖器ね」

悠「そんなことない少なくともこの中で寝た人いないし」

神姫「……」

ピッ……ドゴッ!!
悠「ぐぼろ!!」

千世子「このあとメリッサはブラダマンテを見守り、彼女に日々魔力を注ぎこんだのだ。そのほかにもルッジェーロが悪の魔女アルチーナにかけられた魅了の魔法を解除したりブラダマンテの兄とルッジェーロの死をかけた決闘を、国王に変身してやめさせるなど、ふたりの中を全力で取り持っているのだ。最終的にルッジェーロはキリスト教に改宗して、ブラダマンテと幸せな結婚をするのであったのだ。」

亘理『悠ちゃんは本当に反省っていうか学習しないよね』

悠「ぐっ……学習しないんじゃなくて、それを乗り越えてでも言いたいんだよ」

雨「本気になるべき個所が間違ってる」

摩耶「悠君がズレてるのはいつものことだよ。今までも、そしてこれからも」

神姫「哀れね」

悠「変わらぬことはいいことじゃないか」

雨「自分でいうこっちゃないし、お前は変われよ少しは」

千世子「物語の終盤で語られる「10年前の出来事」で、メリッサは一組の夫婦を引き裂いているのだ。彼女は騎士を誘惑し、その騎士に不倫をしていると疑わさせたのだ。このメリッサと、心優しき魔女のメリッサが同一人物だとは断言されていないが、もし同一人物ならば、彼女は物語の本編とは正反対の行動をしていたことになるのだ。以上、メリッサのじゅぎょーだったのだ。」
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