ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(1/17/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「ん~はぁ…肩が凝ってるなぁ」

神姫「……なんで、私見るのよ」

悠「揉んでくれたりとか…」

神姫「ギロっ」

悠「いぇ、なんでもないっす」

千世子「あんちん、かっこ悪いのだ」

摩耶「あれがね、悠君魅力なんだよ」

花描「どんな、魅力だよ」

千世子「よくわからないのだ。」

摩耶「わかっちゃうと悠君が好きすぎになっちゃうから注意しないとダメだよ」

花描「なら、摩耶君はそうなんだ」

摩耶「そうだよ♪」

花描「はは…普通に返してきたな」

千世子「千世子はみんな大好きだぞ。」

摩耶「あはは。ありがと」

千世子「じゃあ、じゅぎょーするのだ。今日はこれなのだ」

【エチオピアのドラゴン】
生息地域:アフリカ
出典:プリニウス『博物誌』

悠「うー…マジで肩痛いな」

神姫「踏んであげようか」

悠「揉む選択肢は無しかよ…」

千世子「洋の東西、時代の新旧とわず、人間は不思議な生き物には不思議な力が宿っていると考え、それを利用しようと知恵をしぼっていきたのだ。」

花描「欲に溺れるとロクなことねぇのにな」

千世子「たとえば中国では、恐竜の化石を龍の骨「竜骨」だと考え、漢方薬として利用していたのだ。中世ヨーロッパでは、錬金術師たちがドラゴンに目をつけたのだ。ここで紹介する「エチオピアのドラゴン」は、錬金術の秘石「ドラゴンティア」を得るために狙われたドラゴンなのだ。」

摩耶「ドラゴンってあるいみ可哀想だよね。紅玉とか出るまで狩られるし」

悠「申し訳ない…」

千世子「現代イギリスの心理学者キャロル・ローズの「世界の怪物・神獣辞典」によれば、エチオピアのドラゴンは長さ20キュビット(10m)ほどの巨大な蛇で、2枚もしくは4枚の翼を生やしているのだ。中世ヨーロッパの伝説によれば、このドラゴンの主食はゾウだというのだ」

悠「ゾウは食ったこと無いな。ワニ肉ならあるけど」

神姫「…引くわ。」

千世子「しかし、乾期になるとエチオピアでは像が減るので、対岸のアラビア半島へ向かうために複数のドラゴンが体を絡み付かせて筏のようになり、海を渡ると書かれているのだ。」

摩耶「はーい。ドラゴンティアってなんですか?」

千世子「このドラゴンの脳の中には宝石があって、それがドラゴンティアなのだ。錬金術の素材として珍重されたのだ。」

悠「宝石ドラゴンティアの由来は古い。はじめて文献に登場するのは、古代ローマの博物学者プリニウスが今から2000年前に書いた「博物誌」の記述なんだ」

千世子「もー、あんちんは静かに!コホン、この本の第37巻には、蛇の脳から得られる無色透明の宝石「ドラゴニティス」、別名「ドラゴンティアス」についての話が書かれているのだ。じゃ今日のじゅぎょーはここまでなのだ」
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