ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

摩耶「東日本は雪の可能性ありってニュースしてたね」

悠「あぁ、ついにおれが死ぬ時が来たのか」

神姫「その程度で死ぬほど繊細じゃないでしょ」

悠「砂でできた薔薇細工のように繊細だよ」

神姫「あ、つめ切らないと伸びてきてるわ」

悠「いただきました。興味なし!」

【パンフィレエ】
英字表記:Pamphile
出身地:テッサリア(ギリシャ)
出典:小説「黄金のろば」(著:アプレティウス二世イタリア)

千世子「じゅぎょーしますなのだ。古代ローマの小説「黄金のろば」は、正式な題名を「変容」といい、魔女パンフィレエの薬でろばに変わってしまったルキウスという青年が、さまざまな苦労をしながら人間に戻るまでを描いた作品なのだ。この小説は、俳句の五・七・五のような決まった形式を持たない文章で書かれた創作物語の中ではヨーロッパ最古のもので、そのため本作は「ヨーロッパ最古の小説」とも呼ばれるのだ。」

悠「爪といえばおれもきらないと」

神姫「剥いであげようか?」

悠「切らないとっていってるのに根こそぎいこうとかやめてください。」

亘理『ひぇぇ……』

摩耶「悠君、ガンバッ!」

悠「応援はおかしい!なんのケジメだよ!!」

千世子「パンフィエレは、あらゆる種類の香草や生物の骨、人間の死体、酒、動物の内臓などを使って儀式を行い、呼び寄せたい男の髪の毛を燃やすことで好みの男を引き寄せるのだ。この儀式は人間以外にも有効で、山羊の革袋に生えていた毛を燃やすと、人間に化けたヤギの革袋がやってくるのだ。パンフィレエは既婚者でもあるのにもかかわらず、こうして呼び寄せた好みの男と情事をかわす、淫らな魔女なのだ。」

悠「おれも呼び寄せられたい」

摩耶「そういうこというから爪剥ぐことになるんだよ」

悠「ばんなそかな?!」

神姫「…ってか、そんなに伸びてないことない?」

悠「おれは深爪だからな。このくらいになったら切るんだよ」

亘理『深爪って痛そう』

悠「そのかわり女の軟肌を傷つけない」

雨「キモっ」

千世子「主人公の青年ルキウスがロバに変えられた理由は、彼がパンフィレエの夜の相手としてお眼鏡にかなったからではなく、アクシデントによるものだったのだ。」

悠「まぁ、マジレスしたら料理しやすいからなんだけどな」

摩耶「いや、絶対にさっきのが本音でしょ」

悠「そりゃまぁね皮膚の接触面が増えるし傷つけないからAV男優とかは深爪の人が多いのも事実だ」

神姫「そんなに寝る相手が多いと大変でしょ。しばらく生えないようにやっぱり剥ぐ?」

悠「相手多くありませんから剥がないで」

千世子「ルキウスは、魔法の街として有名なテッサリアにやってきて、パンフィレエの夫であるミロオの家に世話になるのだが、その家で、パンフィレエが全裸の身体に軟膏を塗ってミミズクに変身し、家を飛び去る姿を見てしまったのだ。魔法に強い憧れを持っていたルキウスは、自分を真似をして軟膏を塗るが、使い方を間違えてロバに変わってしまったのだ。」

亘理『悠ちゃん、ドン引き』

悠「へへっ」

雨「笑ってやがるわ」

摩耶「悠君は繊細じゃなくてふてぇ野郎だからね。」

悠「蜘蛛糸のような神経だよ」

雨「蜘蛛の糸は頑丈よ」

悠「だからいったんだよ」

千世子「パンフィレエの変身魔法を解除する方法は簡単で、薔薇の花を食べるだけで解除できるのだが、ロバになってしまったルキウスは、盗賊に家畜として売り飛ばされてしまい、なかなか薔薇を食べるチャンスがやって来ないのだ。ルキウスは人間に戻る機会をうかがいながら、ロバの姿で人間世界の悲喜こもごもをながめつづけるのだ。以上、パンフィレエのじゅぎょーだったのだ。」
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