ー奇談ー學校へ行こう7
ー教室ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
摩耶「豪霙だね」
悠「車のワイパー振ったら端に氷が溜まってたしな……あー、寒さで震えじぬ」
神姫「ひと思いに楽になれば?」
悠「遠回しに死ねっていわれた?!」
亘理『わりとストレートだったよ』
【ビディー・アーリー】
英字表記:BiddyEarly
生没年:1798-1874
出身地:ファハ・リッジ(アイルランド)
千世子「じゅぎょーしますなのだ。キリスト社会における魔女狩りは、18世紀ごろにはほぼ行われなくなったが、完全に絶滅したわけではないのだ。イギリスの西に浮かぶ島アイルランドでは、19世紀なかば、ビディー・アーリーという女性が魔女として告発されているのだ。」
悠「寒さで死にそうだけど「寒さ」に負けて死ぬってのが癪だから死んでやんない」
亘理『なんか色々おかしいよね』
摩耶「悠君の頭がおかしいのは……ずっと前からだよ」
悠「どれだけ遡ろうかと迷っただろ今」
摩耶「てへ」
悠「可愛いから許す!」
千世子「ビディー・アーリーは、アイルランド南西の端にあるファハ・リッジという地方の、薬草を用いる民間治療師の女性なのだ。幼いころから妖精と会話をするなどの独特な行動が目立ち、民間治療師だった母親のエレンから手ほどきを受けて治療師として成長したのだ。彼女は貧しい農民の生活を救うため、決まった治療費をもうけず、生活に余裕のある人だけに、何らかの対価を自主的に支払うことを求めたのだ。」
亘理『……』
むぎゅー
悠「なんでおれはつねられてるんだ?」
亘理『別に』
むぎゅー
悠「別になのにやめてはもらえない」
神姫「私もしていい?」
がちゃん、がちゃん!
悠「どっからそんなやっとこ出した?!」
千世子「ビディーの治療を受けた農民たちは、代価として自家製のウィスキーの樽を支払うことが多かったので、ビディーの家には大量の酒が集まり、彼女の家は大人たちが酒を飲みながらカード遊びに興じる居酒屋のような場所になっていたというのだ。」
亘理『やっとこってなに?』
摩耶「釘や板金、熱した鉄なんかをつかむための鉄製の工具だよ。やっとこばさみとかってもいうね」
悠「どっちにしろ人をつねるものじゃない」
神姫「虫歯くらいならひっこ抜けるわよ」
悠「想像しただけで顎が震える」
千世子「ビディー・アーリーのおもな治療法は、青いガラス瓶の中に入れた暗褐色の治療薬を患部に塗ることで、病気やけがを治すものだったのだ。伝説によれば、この青いボトルは、彼女が若い頃に妖精から与えられた魔法の品で、治療の薬が湧き出してくる力を持っていたというのだ。」
神姫「私、一度でいいから抜歯ってしてみたいのよね。」
悠「ごめん、神姫さんは歯医者さんじゃないよね」
神姫「当たり前じゃない」
悠「なのに抜歯したいと」
神姫「どんな感じになるか見てみたいじゃない」
千世子「人間の治療以外にも、家畜の治療やバター生産のアドバイスなどを行い、多くの民衆に尊敬されていたビディーだったが、1865年、彼女はキリスト教の教会に活動内容に問題視され、魔女術の使い手として告発されてしまうのだ。」
悠「マジな話し、激痛にのたうち回っるか、失神するかの二択だと思う。血を吹きだしながら」
神姫「あと、縫合もしてみたいのよね」
悠「ドSっていうか……もはやマッドドクターだな」
神姫「私の知的好奇心をそこらの歪んだ性癖者と一緒にしないで」
悠「ちてきこうきしん?」
千世子「自分の家族や家畜を助けてくれた人が、偉そうな教会関係者に犯罪者扱いされたらどうするか?ファハ・リッジの農民たちは、その想像通りの行動を取ったのだ。裁判で教会側の証人として呼ばれた人々は、一切の発言を拒否。裁判は証拠不十分で無罪となり、ビディーは晴れて解放されたのだ。」
摩耶「ボクは圧力なべにパチンコ玉入れて……」
悠「テルミットはおれもやってみたい」
雨「危ない奴らばっかりね」
神姫「ホントにね」
雨「た、他人事……」
千世子「こうしてビディー・アーリーは名実とともに、人々に愛され、権力も許された善良な魔女と認められたのだ。教会に罪人扱いされたにもかまわらず、ビディーは人々に「司祭様の言葉に耳を傾けなさい」と説き続けたというのだ。以上、ビディー・アーリーのじゅぎょーだったのだ。」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
摩耶「豪霙だね」
悠「車のワイパー振ったら端に氷が溜まってたしな……あー、寒さで震えじぬ」
神姫「ひと思いに楽になれば?」
悠「遠回しに死ねっていわれた?!」
亘理『わりとストレートだったよ』
【ビディー・アーリー】
英字表記:BiddyEarly
生没年:1798-1874
出身地:ファハ・リッジ(アイルランド)
千世子「じゅぎょーしますなのだ。キリスト社会における魔女狩りは、18世紀ごろにはほぼ行われなくなったが、完全に絶滅したわけではないのだ。イギリスの西に浮かぶ島アイルランドでは、19世紀なかば、ビディー・アーリーという女性が魔女として告発されているのだ。」
悠「寒さで死にそうだけど「寒さ」に負けて死ぬってのが癪だから死んでやんない」
亘理『なんか色々おかしいよね』
摩耶「悠君の頭がおかしいのは……ずっと前からだよ」
悠「どれだけ遡ろうかと迷っただろ今」
摩耶「てへ」
悠「可愛いから許す!」
千世子「ビディー・アーリーは、アイルランド南西の端にあるファハ・リッジという地方の、薬草を用いる民間治療師の女性なのだ。幼いころから妖精と会話をするなどの独特な行動が目立ち、民間治療師だった母親のエレンから手ほどきを受けて治療師として成長したのだ。彼女は貧しい農民の生活を救うため、決まった治療費をもうけず、生活に余裕のある人だけに、何らかの対価を自主的に支払うことを求めたのだ。」
亘理『……』
むぎゅー
悠「なんでおれはつねられてるんだ?」
亘理『別に』
むぎゅー
悠「別になのにやめてはもらえない」
神姫「私もしていい?」
がちゃん、がちゃん!
悠「どっからそんなやっとこ出した?!」
千世子「ビディーの治療を受けた農民たちは、代価として自家製のウィスキーの樽を支払うことが多かったので、ビディーの家には大量の酒が集まり、彼女の家は大人たちが酒を飲みながらカード遊びに興じる居酒屋のような場所になっていたというのだ。」
亘理『やっとこってなに?』
摩耶「釘や板金、熱した鉄なんかをつかむための鉄製の工具だよ。やっとこばさみとかってもいうね」
悠「どっちにしろ人をつねるものじゃない」
神姫「虫歯くらいならひっこ抜けるわよ」
悠「想像しただけで顎が震える」
千世子「ビディー・アーリーのおもな治療法は、青いガラス瓶の中に入れた暗褐色の治療薬を患部に塗ることで、病気やけがを治すものだったのだ。伝説によれば、この青いボトルは、彼女が若い頃に妖精から与えられた魔法の品で、治療の薬が湧き出してくる力を持っていたというのだ。」
神姫「私、一度でいいから抜歯ってしてみたいのよね。」
悠「ごめん、神姫さんは歯医者さんじゃないよね」
神姫「当たり前じゃない」
悠「なのに抜歯したいと」
神姫「どんな感じになるか見てみたいじゃない」
千世子「人間の治療以外にも、家畜の治療やバター生産のアドバイスなどを行い、多くの民衆に尊敬されていたビディーだったが、1865年、彼女はキリスト教の教会に活動内容に問題視され、魔女術の使い手として告発されてしまうのだ。」
悠「マジな話し、激痛にのたうち回っるか、失神するかの二択だと思う。血を吹きだしながら」
神姫「あと、縫合もしてみたいのよね」
悠「ドSっていうか……もはやマッドドクターだな」
神姫「私の知的好奇心をそこらの歪んだ性癖者と一緒にしないで」
悠「ちてきこうきしん?」
千世子「自分の家族や家畜を助けてくれた人が、偉そうな教会関係者に犯罪者扱いされたらどうするか?ファハ・リッジの農民たちは、その想像通りの行動を取ったのだ。裁判で教会側の証人として呼ばれた人々は、一切の発言を拒否。裁判は証拠不十分で無罪となり、ビディーは晴れて解放されたのだ。」
摩耶「ボクは圧力なべにパチンコ玉入れて……」
悠「テルミットはおれもやってみたい」
雨「危ない奴らばっかりね」
神姫「ホントにね」
雨「た、他人事……」
千世子「こうしてビディー・アーリーは名実とともに、人々に愛され、権力も許された善良な魔女と認められたのだ。教会に罪人扱いされたにもかまわらず、ビディーは人々に「司祭様の言葉に耳を傾けなさい」と説き続けたというのだ。以上、ビディー・アーリーのじゅぎょーだったのだ。」