ー奇談ー學校へ行こう7

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

神姫「んっ…」

悠「どした、色っぽい声出して」

神姫「チッ」

悠「なんかスンマセン……」

亘理『どしたの?』

神姫「唇がキレたわ」

悠「乾燥してるからなぁ」

千世子「はーい、じゅぎょーの続きをしますなのだ。民族におけるバーバ・ヤーガの役どころはほとんどが悪役だが、一部の民話では、正しいものを幸せに導くという意外な一面を見せることがあるなのだ。」

摩耶「唇とかって切れちゃうとつい舌でなぞってピリッてしちゃうよね」

悠「口内炎とかつっいちゃうよな」

神姫「マゾ」

悠「ちがうもん!」

亘理『悠ちゃんてかさぶたとかすぐ剥いじゃう人でしょ』

悠「イエス・マム」

雨「バイ菌が入るわよ」

悠「舐めときゃ平気だ」

神姫「腐っちゃうわねソレ」

悠「おれの唾液は腐食液か」

千世子「「バーバ・ヤーガ」という民話では、意地の悪い継母にいじめられる娘がバーバ・ヤーガの元に預けられるのだ。バーバ・ヤーガにひとりでは不可能な量の家事を娘に押し付けられて娘は困り果てるが、腹をすかせたねずみにご飯をあげたお礼として、家事の助言を、聞けたため、仕事を終わらせることが出来たのだ。」

悠「あぁ、なら白巳に舐めさせたらいい。めちゃくちゃ傷の治り早いぞ」

摩耶「幼女になにさせてるの」

悠「やらせてねーよ!」

亘理『そんなんで治るわけ無いでしょ!』

悠「白巳の唾液なら治るんだよ。特異体質っていうのかは知らんけど」

摩耶「真桜ちゃんがやたら寒いところに行きたがるのも特異体質?」

悠「たぶん、血液と一緒に不凍液かなんかも流れてるんだよきっと」

千世子「帰ってきたバーバヤーガは娘の働きぶりに、気を良くして、彼女にたくさんの美しい着物を与えて大金持ちとするのだったのだ。後日いじめていた娘が大金持ちになったことを知った継母は、実の娘をバーバ・ヤーガに預けるが、実の娘は仕事をさぼったためバーバ・ヤーガは彼女を丸焼きにして食べてしまうのだ。」

亘理『なにそれ怖い』

摩耶「そんこといったら悠君の血は紫色だよ」

悠「だれがピッコロさんだ」

神姫「蜘蛛の血の色って緑?紫?タンパク質?」

雨「私の血は赤色よ!アレと一緒にするな!」

悠「なんでおれを指差してんだこの蜘蛛っ娘」

千世子「このように、結局性悪な娘が食べられているが、「鷹のフィニストの羽根」のバーバ・ヤーガ3姉妹は純粋な善人で、恋人を探す少女を助けているのだ。」

神姫「っ……」

悠「リップ持ってないのか?」

神姫「持ってないわね。今切れたんだもの」

摩耶「僕、べっ甲飴なら持ってるよ」

悠「それでいいんじゃないか?」

亘理『どうするの?』

悠「舐めとかして傷口に塗っとく」

亘理『悠ちゃんがするの?!』

悠「なんでおれがわざわざ舐めとかして神姫の唇をねぶるんだよ」

神姫「黙りなさい」

ひゅっ……ビッ!!
悠「いっで!?唇裂けた!?」

摩耶「爪がもはや武器だね」

亘理『ガタガタ、ぶるぶる』

千世子「旅の途中で少女が三姉妹の三女の家にたどり着くと、女ひとりで靴を何足も履きつぶすほど長く険しい旅をしてきた少女の境遇に同情した三女は、彼女に貴重な道具と糸の玉を与え、糸玉を転がしてそのあとについて行くように教えるのだ。少女がいわれた通りにすると、途中で出会ったバーバヤーガの次女と長女からも魔法の道具をプレゼントされ、それらを活用して恋人と再会。無事に故郷へ戻ることができたというのだ。以上、バーバ・ヤーガのじゅぎょーだったのだ。」
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