ー奇談ー學校へ行こう

ー教室ー

ミカン箱の前にパイプ椅子を並べた教室で幼女と男二人が集まっていた。

千世子「それじゃあ点呼をとります。悠のあんちん」

悠「ちぇき。」

千世子「摩耶くん」


摩耶「はーい。」

千世子「全員出席してますね。では…授業を始める前に……なんで、ミカン箱のままやねん!」

摩耶「予算不足です。」

悠「パイプ椅子がわりと高くてな。教卓がわりになるものはミカン箱くらいしかなかったんだ。」

千世子「む…それは仕方ないね。」

悠「ヒソヒソ(適当いったら信じた。)」

摩耶「ボソボソ(悠くんダメだよ。いたいけない幼女に嘘ついたら。)」

悠「ヒソヒソ(俺のせいかよ!?)」

千世子「けど、千世子おこづかいないしなー」

摩耶「チョコちゃん、悠くんにおねだりしたらいいよ」

悠「摩耶くん!?」

千世子「悠のあんちん…いいの?」

千世子は上目使いで悠を見上げた。
悠の心に二千のダメージ。悠の甘さがにじみ出た。

悠「き、教卓だな。出来るだけ速くなんとかする」

摩耶「幼女に甘いね。よ、このペド野郎。」

悠「お前、実は最近おれのこと嫌いなんだろ。嫌いなんだな。このやろー!」

摩耶「だからぁ、僕は悠くんのこと大好きだよ。それ以外をうまく排除したいだけで」

悠「訳がわからん。」

千世子「悠のあんちん。ペドってなぁに?」

悠「それは知らなくていい知識だ。摩耶も変なこといわない。」

摩耶「はーい」

千世子「じゃあ、今日は前回に引き続いて吸血鬼の授業。世界一有名な女吸血鬼カーミラ。吸血鬼のなかには、男性ばかりではなく女性もいるのだ。」

摩耶「女性のが多くない?」

悠「漫画とかだとそうだな。」

千世子「彼女たちは若い男を性的に誘惑し、ベッドや暗がりに誘い込んで、血液を吸います。そんな女吸血鬼のなかでもっとも有名なのが、カーミラ。ただし、カーミラは一般的な女性吸血鬼と大きく違う特徴がある。彼女は、男性ではなく、美少女を専門に襲う、レズビアン的な性質をもつ吸血鬼なのだ。」

悠「……」

摩耶「結構あれな単語出てるね。」

千世子「カーミラは金髪まじりの茶褐色の髪を肩までのばし、美しい黒の瞳をもつ少女で、また吸血鬼らしく、歯の一部が針やキリのように尖っている。」

摩耶「悠くんやっぱり吸血鬼?」

悠「美少女を専門にか?それとも針やキリのように尖っているところか?」

摩耶「両方♪」

千世子「カーミラの吸血鬼としての特徴があるかは正確には知ることはできないけど、日記の記述によるとカーミラには以下のような特徴が見られます。」

・正体不明……名前がカーミラであることと、家柄がよいということ以外、その素性をけっして明かそうとしない。

・少女愛……主人公の少女ローラには度を越えた愛情を示し、抱き寄せての頬ずりからキス、性的な愛撫とも思える行為など、過剰なスキンシップをとる。同時に愛の囁きをするが、その内容にはなぜか死を暗示する言い回しがある。

・朝の活動……起きて来るのはかならず午後一時過ぎ。食事はチョコレートドリンク一杯だけであきらかに栄養不足だが、気だるさは見せても不健康な様子はない。

夜の活動……鍵をかけて一人きりにならないと寝られないと言い張る。

・宗教への対応……キリスト教の賛美歌が苦手で、聞くだけで激怒する。

・変身能力……猫に変身する

千世子「以上が特徴なのだ。」

摩耶「はい、質問」

千世子「どうぞ。」

摩耶「ペドって意味知ってるよね?」

千世子「もちろん…あっ。」

悠「俺はペドじゃねぇからな!」
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