ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「十一月十一日はポッキーの日、ならショートケーキの日はいつだ?」

亘理『ショートケーキの日?そんなのあるの?』

悠「あるぞ」

亘理『ケーキだからいちごで15日?』

悠「あ、いいとこ突いてる」

神姫「22日よ」

亘理『えっ、なんで?』

神姫「22日の上は15日でいちごが乗ってるからだそうよ」

【ヴィヴァーナ】
英字表記:Viviana
出身地:チロル地方
出典:イタリア北部の民間伝承

千世子「じゅぎょーしますなのだ。イタリア北部、アルプス山脈にほど近いドロミーティ山地には、おまじないや呪いなどの特別な力を持った、精霊とも人間ともつかない善良な女性の伝承が今でも生きているのだ。北イタリアの民間伝承を紹介している「イタリア異界物語」(増山暁子著、東洋書林)では、彼女たちのことを仙女と総称しているのだ。」

亘理『えっ?えっ?どういうこと?』

摩耶「毎月15日のしたが22日なんだよ。カレンダー見ると」

亘理『あぁー!なるほど』

悠「神姫、よく知ってたな」

神姫「前に何かでみたのよ」

千世子「ヴィウィーナはドロミーティ山地の南西部にあるファッサ谷における仙女の呼び名なのだ。彼女達はみな美しく礼儀正しく、踊りを好み、美しい声で歌う。雪の山頂や洞窟、湖の近くなどに住み、魔術から生活の知恵まで多彩な知識と力を身につけているのだ。」

なのは「でも、そういうのを考えられる人って素敵ですよね」

悠「ありがとう」

雨「なんでお前が礼言うのよ」

悠「えっ、おれが素敵って?」

神姫「ポジティブっていうか迷惑耳ね」

悠「迷惑耳?!」

千世子「彼女たちの代表的な能力は、土地を祝福して作物の実りを増やしたり、種まきや刈り入れの時期を教えたり、山や森で働く人間と家畜を災害から守ることなのだ。さらには洗濯物を真っ白に洗いあげる灰汁の作り方、女性の髪を美しく手入れする方法も知っているのだ。」

雨「亘理は耳年増だけどね」

亘理『失礼な!』

悠「いや、耳年増だろ」

神姫「耳年増ね」

亘理『そんなー』

摩耶「迷惑耳よりは全然マシだし」

悠「そこでおれが比較対象……」

千世子「これらの知識と力を活用して、人間の暮らしを助けてくれるヴィヴァーナだが、、一度怒らせるとその人間に呪いをかけて報復する危険な存在でもあるのだ。かもこの呪いはヴィヴァーナ自身が解除することが出来ないので、呪いを解除するには、ときに数年間かかる困難な儀式を行わなければならないというのだ。」

摩耶「悠君は落ち担当だし」

悠「ボケ担当だよ」

神姫「ボケね」

悠「おかしいなただの悪口に聞こえた」

神姫「悪口だもの」

悠「おぉう……。」

千世子「そのためドロミーティ山地の古い家には、屋外に差し出すための小窓があるのだ。ヴィヴァーナは裕福な農民が食べ物の提供を拒むと怒るので、ヴィヴァーナらしき誰かが食べ物を求めに来たとき、強盗に部屋に押し入られる心配をせずに食べ物を提供するためにこのような設備がつけられているのだ。」

亘理『安定の悠ちゃん落ちだね』

悠「ほんとになぁ」

摩耶「便利だよね」

悠「へへっ!」

神姫「そこで笑う所が……」

悠「最後までいってよ?!」

摩耶「ムカつく」

雨「うざい」

悠「うぉい!」

千世子「イタリアの山にいるのは、ヴィヴァーナのような善良な魔女がいるわけではないのだ。人間や動物を騙したり、子供をさらう魔女はストリアやアストリアーナと呼ばれるのだ。ただしストリアーナは、ヴィヴァーナと同様にさまざまな知識にたけ、山の掟を犯すものを罰する役割も持ち、必ずしも邪悪な存在というわけではないのだ。ヴィヴァーナのじゅぎょーだったのだ。」
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