ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「昨日さ」

摩耶「ん?」

悠「ゲームで麻雀したんだけど……」

亘理『うんうん』

悠「天和、地和、人和しか狙わない自分がいたんだよ。しかも明らかに無理って牌の並びでも無理くり狙う……なんでだろうか。こんな癖なかったのに」

摩耶「役万しすたぁーずが好きなだけじゃない?」

悠「それだっ?!」

神姫「ただの病気ね」

【ストリガ】
英字表記:Striga
出身地:イタリア、東欧
出典:イタリア、東欧の民間伝承

千世子「じゅぎょーしますなのだ。ストリガとは、イタリア半島や東ヨーロッパの民間伝承に登場する魔女の種族名なのだ。呪術を駆使し、空を飛ぶことからフクロウと結び付けられているのだ。」

悠「キャラ愛と言ってくれ」

亘理『悠ちゃんの愛は細かすぎ』

悠「細かいが全体にまんべんなくいきわたらせてる」

神姫「今度京の前でその台詞言ってみなさい」

悠「申し訳ございません」

千世子「もともとストリガは、今から2000年ほど前のイタリア半島(古代ローマ)における、人間の血を呑む女性の幽霊の呼び名だったのだ。このストリガは複数の顔と猛禽類(ワシなどの肉食の鳥)に変身する能力を持ち、眠っている男性と性行為を行ったうえで血を吸ったり、赤ん坊に毒入りの母乳を飲ませて殺すという特徴があったのだ。そのためストリガは吸血鬼の一種としても紹介されることがあるのだ。」

悠「毒母乳はシャレにならんな。性行為でちょっとくらいの吸血ならいいけど」

亘理『とりゃっ!』

ゴッ!
悠「ごばぁっ!?」

摩耶「おぉー、天井下り流空中停止長し蹴り」

神姫「空中停止って言うか天井にぶら下がってるだけよね」

悠「な、なんさらすんじゃい!」

亘理『今のはダメでしょ!せせせ、性行為なんて!』

千世子「古代ローマの詩人であるオウィディウスは、吸血幽霊たるストリガの起源について、「最初からそのような存在だった」「魔法で異変した女性」「呪われたハッグ(鬼婆)」だという三つの説を提示しているのだ。ローマ帝国の滅亡後、ストリガはキリスト教の内部で悪魔崇拝に結び付けられ、悪魔の使いである女性の魔女だと考えられるようになったのだ」

摩耶「亘理ちゃん顔真っ赤」

神姫「エロい身体してるのに初心よねあの娘」

雨「ダイレクトにいうわね。」

神姫「ナイスバディとでもいえば良かったかしら?」

悠「それよりおれの首の心配して……」

神姫「くっついてるわよ」

悠「そりゃ、くっついてるよ!」

千世子「古代ローマやキリスト教では悪の存在とされていたストリガだが、民間伝承には、自然の守護者として悪人を懲らしめるストリガが「ストリオーナ」という名前で登場するのだ。イタリア最北端のドローミティ山地に残る伝承『曙の呪文』によると、病弱な城主の娘が森の女(魔女)から曙の呪文を教えてもらい、光の力を体に受けることで健康体となったのだ。」

摩耶「僕もその呪文覚えたいもんだ」

悠「栄養のある料理ならごちそうするから!」

摩耶「うん、まぁ、そこまで本気じゃないからそこまで食いつかなくてもいいよ」

神姫「悠は少しくらい病気になった方がいいのにね」

悠「それは酷い」

雨「もう病気みたいなもんでしょ」

悠「さらに酷い」

千世子「だが、光の力で自分がどんどん美しくなっていくことに味をしめた娘は、魔女の忠告を無視して曙の呪文を使い続ける。コレに怒った森の女は、山の大魔女ストオーナに、呪文を悪用する娘がいると訴えたのだ。するとストオーナは人の訪れない山の中腹にある岩に、彼女を貼り付けてしまったというのだ。以上、ストリガのじゅぎょーだったのだ。」
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