ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「あんちんは少し遊び過ぎてると思うのだ」

摩耶「少しじゃなく全力でだよ」

悠「そんなに褒めてくれるな」

神姫「……」

悠「心臓ブチ抜かれそう眼力でガン飛ばされてる」

摩耶「たぶんそれ裂けちゃうね」

悠「えっ、眼力で刺殺?!」

神姫「本当に心臓殴ろうか?」

悠「ごめんなさい。本気でごめんなさい」

千世子「あんちんの土下座は安いのだ」

神姫「そして私は土下座程度では許さない」

悠「ぴぃっ!!」

千世子「あんちんはおいといてじゅぎょーしますなのだ。14世紀ごろから「悪の魔女」として描かれるようになったモルガンは、アーサー王やその部下たちの目的を妨害する悪女として、さまざまな悪事を働いているのだ。」

悠「蜂蜜水をあげるから勘弁してくれ」

神姫「意味が分からない」

悠「じゃあ、メンマをあげよう」

神姫「……」
ピッ…ドッ……ドドン!

摩耶「おー、イチぱちんで多重打」

神姫「今日は調子がいいわ」

千世子「14世紀後半の作品「ガウェン卿と緑の騎士」は、自分の恋路を妨害されたことからアーサー王の妻グィネヴィアを憎むようになったモルガンが、自分の魔法の力で不死の肉体を与えた「緑の騎士」を送り込み、グィネヴィアを恐怖で震えあがらせるとともに、円卓の騎士たちの勇気と度量を試すという物語なのだ。」

悠「頭か肩甲骨のあたりまでがすこぶる痛い」

亘理『起きあがれないの?』

悠「今、ヘタに動いたら骨とかバキリそうで怖いんだ」

亘理『そこまで……』

神姫「っで、蜂蜜水とメンマって何?」

摩耶「エロゲでそういうのが好きなキャラが居るんだよ」

神姫「へぇ」
ぴっ……ドドドドンッ!

千世子「この傾向がもっとも強いのが、アーサー王伝説の集大成「アーサー王の死」なのだ。この作品はアーサー王が聖剣を岩から引き抜いて王になってから、アーサー王の円卓の騎士団が内部分裂で崩壊し、アーサー自身も内乱で命を落とすまでが描かれているのだ。この物語でモルガンは、騎士たちの冒険を邪悪な意思で妨害するほか、アーサー王の不死身の力を奪い、アーサー王が命を落とす「間接的なきっかけ」になっているのだ。」

悠「……」

亘理『悠ちゃんがサイバイマンに自爆されたヤムチャみたいになってる』

雨「それ死んでるって事じゃない?」

神姫「ちなみに似てるの?」

摩耶「んーん、似てないよ。」

神姫「そう、それじゃあさらにもう一撃」

悠「やめて、ホントにヤムチャるから!」

千世子「アーサー王が人生の後半で使った2本目のエクスカリバーは、剣の本体だけでなく鞘にも特別な力があり、所有者が絶対に血を流さないという魔力を持っていたのだ。異父弟であるアーサーを陰で憎んでいたモルガンは、幻覚の間シュッと策略を用いてエクスカリバーを盗み出し、紆余曲折のすえに剣の鞘を湖に投げ捨ててしまったのだ。このため、後に起きた内戦で、アーサー王は本拠地を任せた騎士モルドレッドに裏切られ、彼との一騎打ちに相討ちとなってしまったのだ。」

神姫「じゃあ、頭を重点的に狙ったけるわ」

悠「そんなマミりそうなのもイヤだ」

摩耶「全身まんべんなくのがいいよね」

悠「肉の焼き方じゃないんだからな」

亘理『ロースト状態?』

悠「叩かれ過ぎで熱を帯びるのはヤダ。あれは痛みで寝られなくなるし」

千世子「だが不思議なことに「アーサー王の死」では、モルドレッドと相討ちになって瀕死のアーサーを、彼を憎んでいたはずのモルガンら4人の王女が迎えて来て、異界の楽園アヴァロン島に連れていく描写があるのだ。これは以前じゅぎょーした「マーリンの生涯」など初期のアーサー王伝説で、傷ついたアーサーをモルガンらが「林檎の島」で治療したという物語にもとづく描写と思われるが、直前までアーサーと敵対していたはずのモルガンの真意は、作中では明らかになっていないのだ。以上、モルガンのじゅぎょーだったのだ。」
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