ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「寒い!」

神姫「次から寒いって単語使ったら一回……」

悠「……」

神姫「……」

悠「どうなるか言ってよ?!」

摩耶「寒いっていってみたらいいんじゃない?」

悠「寒い」

神姫「しっ!」

ドスっ!
悠「カハッ!」

摩耶「そっか、地獄突きが繰り出されるんだね」

千世子「今、あんちんの喉に結構深く突き立ってたように見えたのだ」

摩耶「「突き立ってたよう」じゃなく「突き立った」だよ」

【グルヴェイグ】
英字表記:Gullveig
別名:フレイヤ?
出典:北欧神話「巫女の予言」など

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。北欧神話を題材にした詩の中でもっとも有名で、重要な物語が含まれている「巫女の予言」という神話詩に、グルヴェイグという魔女が登場するのだ。」

悠「ゲッ、ゲッ……!」

亘理『悠ちゃん、生きてる?』

悠「ぎ、ギリ……」

摩耶「寒いって言ってみる?」

悠「言ったら次は無理だから!」

千世子「グルヴェイグはすべての北欧神話を通じて、この「巫女の予言」のただ1箇所にしか登場しないが、非常に印象な活動を見せ、その正体が神話学者の論議対象にもなっている重要な人物なのだ。」

なのは「凄い突きだったの」

神姫「あなたもできるわよ。狙うのは喉の真ん中じゃなくて少し下の部分に狙いを定めて……」

悠「やめて、なのなのに怖いこと教えないで」

なのは「な、なのなの……」

摩耶「僕ならまやまやかな」

フェイト「私なら……」

悠「テステス」

フェイト「まさかテスタロッサのほうで?!」

千世子「「巫女の予言」によれば、グルヴェイグは魔法を使って人々の心をたぶらかし、みだらな娘たちをよろこばせたというのだ。そのため怒った神々は、最高神オーディンの館にて槍でグルヴェイグを突き、三回にわたってその身を焼いたのだが、グルヴェイグはそのたびに蘇り、ついに殺すことが出来なかったというのだ。」

摩耶「悠君と同じで本体を潰さないと死なないのかな」

悠「おれは心の臓腑を潰されたら死ぬから」

亘理『最近悠ちゃんが人間とは思えなくなってきてるんだけど』

悠「こんなキュートな妖怪がいるかよ」

神姫「……」
ガスッ!

悠「踵でつま先踏まないで?!」

千世子「グルヴェイグという名前には「黄金の飲み物」または「黄金の戦い」などの意味があるとされ、彼女は黄金の持つ、人を惹きつけたり堕落させる魅力を人格化した存在だと考えられているのだ。」

摩耶「そういうけど……妖怪のほうが可愛い子いるんじゃない?」

悠「あー、管理人ちゃんとかそうだな」

亘理『がぶっ!』

悠「なんで噛まれてるんだろ」

摩耶「なんでだろうね」

悠「フェイト達は人間でもかなり可愛い方だけどな」

亘理『ガジガジ!』

なのは「だ、大丈夫ですか?頭……」

神姫「中も外も手遅れよ」

千世子「また「巫女の予言」とは違う神話によると、最高神オーディンたち「アース神族」の神々に魔術を教えたのは、アース神族のライバルであるヴァン神族出身の、愛と美と黄金の女神フレイヤであることから、「巫女の予言」で初めてアース神族の前で魔法を使ってみせたグルヴェイグの正体は、女神フレイヤであるというのが、北欧神話のの研究者のあいだで有力な説になっているようなのだ。続きは次回なのだ!」
89/100ページ
スキ