ー奇談ー學校へ行こう
ー教室(1/13/夜)ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。
摩耶「悠くんて睡眠時間ってどのくらいなの?」
悠「あー?なんだよ藪から棒に、いいえ壁から釘です」
摩耶「ボケを自己完結しないで欲しいな」
悠「睡眠時間なぁ…最近は疎らだな。一時間だったり、三時間だったり…けど、総合計したらかなり寝てると思うけど」
花描「夜中に帰ってすぐでてくしな。」
悠「あ、帰ってるの気づいてたのか」
花描「気づくよ…ピエロ君ドタドタって結構うるさいし」
神姫「普段からうるさいしね」
悠「え~…」
千世子「あんちんは居るだけでザワザワするんだな。」
悠「ザワザワって…」
千世子「ま、それよりじゅぎょーにうつるのだ。」
千世子は悠の膝から飛び降りて、教卓の前に移動して黒板に書き始める。
【バクナワ】
生息地域:セブ島(フィリピン)
出典:フィリピンの民間伝承
摩耶「じゃあ、悠くん。なにかフィリピンの小ネタをお願いします」
悠「東南アジアの国フィリピンは、大小あわせて7109もの島から構成された国だ。」
花描「へぇ」
千世子「コホン、セブ島の伝承によれば、空に浮かぶ月は1つじゃなく、7つあったそうなのだ。ではなぜ、月はひとつだけになってしまったのか?それは、バクナワというドラゴンが月を飲み込んでしまったからなのだ。」
悠「ドラゴンボールだと亀仙人が壊すけどな」
神姫「……」
悠「無視はやめたって」
千世子「バクナワは海に住むいわゆる海竜なのだ、同時に闇をつかさどる神でもあったのだ。月を飲み込んでしまったということから、バクナワは非常に巨大な体をしており、空も飛べたものと思われるのだ。このバクナワについて民話を紹介している絵本「お月さまを飲み込んだドラゴン」では、バクナワを、前足2本と一対の翼を生やしたヘビのようなドラゴンとして描いているのだ。」
摩耶「僕はバグナクが好きだけどね」
悠「虎の爪か…」
千世子「あるときバクナワは、空に浮かぶ月を見て「あめ玉のようでおいしそうだ」と思い、ためしに月のひとつを呑み込んでお腹の中で転がして遊び始めたのだ。ところが、月はあめ玉のようにだんだん溶けてなくなってしまうのだ。」
神姫「悪食ね」
悠「いや、月をも消化する消化力に乾杯だろ」
千世子「するとバクナワは、2つ目の月をのみ込んでまた同じようにお腹の中で転がし、つきが溶けるとまた次の月を飲み込むといった具合に、7つあった月のうち6つまで呑み込んでしまうのだ。最後の月を飲み込もうとしたとき、人々は笛や太鼓をらなし、バクナワに月を飲み込まないように大声で頼んだのだ。神である自分の姿が人間に見られていることに気づいたバクナワは、月を飲み込まず海へ帰ったのだ。」
悠「月は美味かったのかな」
摩耶「かもね」
千世子「そして神々は、今後バクナワが月を飲み込むことがないように、月に竹やぶを植えて暗くすることにしたのだ。月の表面にある暗い部分は、神様が植えたら竹藪なのだというのだ。じゃあ、今日のじゅぎょーはここまでなのだ。」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。
摩耶「悠くんて睡眠時間ってどのくらいなの?」
悠「あー?なんだよ藪から棒に、いいえ壁から釘です」
摩耶「ボケを自己完結しないで欲しいな」
悠「睡眠時間なぁ…最近は疎らだな。一時間だったり、三時間だったり…けど、総合計したらかなり寝てると思うけど」
花描「夜中に帰ってすぐでてくしな。」
悠「あ、帰ってるの気づいてたのか」
花描「気づくよ…ピエロ君ドタドタって結構うるさいし」
神姫「普段からうるさいしね」
悠「え~…」
千世子「あんちんは居るだけでザワザワするんだな。」
悠「ザワザワって…」
千世子「ま、それよりじゅぎょーにうつるのだ。」
千世子は悠の膝から飛び降りて、教卓の前に移動して黒板に書き始める。
【バクナワ】
生息地域:セブ島(フィリピン)
出典:フィリピンの民間伝承
摩耶「じゃあ、悠くん。なにかフィリピンの小ネタをお願いします」
悠「東南アジアの国フィリピンは、大小あわせて7109もの島から構成された国だ。」
花描「へぇ」
千世子「コホン、セブ島の伝承によれば、空に浮かぶ月は1つじゃなく、7つあったそうなのだ。ではなぜ、月はひとつだけになってしまったのか?それは、バクナワというドラゴンが月を飲み込んでしまったからなのだ。」
悠「ドラゴンボールだと亀仙人が壊すけどな」
神姫「……」
悠「無視はやめたって」
千世子「バクナワは海に住むいわゆる海竜なのだ、同時に闇をつかさどる神でもあったのだ。月を飲み込んでしまったということから、バクナワは非常に巨大な体をしており、空も飛べたものと思われるのだ。このバクナワについて民話を紹介している絵本「お月さまを飲み込んだドラゴン」では、バクナワを、前足2本と一対の翼を生やしたヘビのようなドラゴンとして描いているのだ。」
摩耶「僕はバグナクが好きだけどね」
悠「虎の爪か…」
千世子「あるときバクナワは、空に浮かぶ月を見て「あめ玉のようでおいしそうだ」と思い、ためしに月のひとつを呑み込んでお腹の中で転がして遊び始めたのだ。ところが、月はあめ玉のようにだんだん溶けてなくなってしまうのだ。」
神姫「悪食ね」
悠「いや、月をも消化する消化力に乾杯だろ」
千世子「するとバクナワは、2つ目の月をのみ込んでまた同じようにお腹の中で転がし、つきが溶けるとまた次の月を飲み込むといった具合に、7つあった月のうち6つまで呑み込んでしまうのだ。最後の月を飲み込もうとしたとき、人々は笛や太鼓をらなし、バクナワに月を飲み込まないように大声で頼んだのだ。神である自分の姿が人間に見られていることに気づいたバクナワは、月を飲み込まず海へ帰ったのだ。」
悠「月は美味かったのかな」
摩耶「かもね」
千世子「そして神々は、今後バクナワが月を飲み込むことがないように、月に竹やぶを植えて暗くすることにしたのだ。月の表面にある暗い部分は、神様が植えたら竹藪なのだというのだ。じゃあ、今日のじゅぎょーはここまでなのだ。」