ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「しとしと雨か、あぁお前のことじゃ……


雨「分かってるよ!しつこいよ!」

摩耶「毎回いってるよね」

悠「ここでのネタのひとつだ」

フェイト「頭噛まれることもですか?」

悠「それは……違うと思いたい」

摩耶「神姫さんに打たれることがネタだよね」

悠「あれも違うと言いたい。ところでフェイトトマト食う?tomato」

フェイト「えっ、あ、はい…ありがとうございます」

千世子「なんでトマトが出てきたのだ?」

悠「ウチでとれたtomatoだ。」

神姫「ネイティブな発音ウザいわね」

【ケリドウェン】
英字表記:Ceridwen
出身地:ウェールズ
出典:タリシエンの書

千世子「じゅぎょーしますなのだ。魔女に欠かせないアイテムとして「大釜」があるのだ。魔女はこの大釜にさまざまな材料を入れ、煮込むことで魔法の薬を造り上げるのだ。イギリスを構成する国のひとつであり、ブリテン島の西部を占める国ウェールズの伝説に登場する魔女「ケリドウェン」は、この大釜で、無限の知恵を得る薬を作った魔女なのだ。」

悠「おれも大釜で飯炊いてみたいときがある」

摩耶「薬じゃなくてお焦げができて美味しそうだね」

悠「秋野菜のカレーも作るぞ。ただしキノコテメーは入れてやらねぇ」

亘理『好き嫌い良くないよ』

悠「大丈夫だ問題ない」

千世子「魔女ケリドウェンには数人の息子がいたが、末の息子アヴァグズーはこの世で一番と思えるほど醜い子供だったのだ。ケリドウェンは末っ子が醜くても尊敬を受けられるよう、魔法の薬を作って息子に飲ませることにしたのだ。この薬は何度も呪文を唱えながら大釜で薬草を一年と一日に込むと、わずか三滴だけ出来上がるもので、一滴ごとに知識、霊感、学問が身につく効果があるのだ。」

なのは「好き嫌いしたら大きくなれないって……」

悠「……」

フェイト「大きい……ね。」

悠「むしろおれの知り合いのデカイのは好きな物を好きなように食っててでかい奴らばっかりだぞ」

摩耶(黒)「しっかりバランス良く栄養とって運動もして大きくならない人の気持ちも考えろよゴミが……」

悠「ごめんね。ごめん、ごめんね」

亘理『黒摩耶モード……怖い』

千世子「ケリドウェンはこの大釜をかきまぜる役目をグウィオン・ハバという青年に任せ、盲目のモルダに火の番をさせたのだ。完成が近付いたある日、釜の中から三滴のしずくが飛びだし、釜を混ぜていたグウィオンの指にかかったのだ。余りの熱さに指を口に含んだグウィオンは、魔法のしずくの力で知恵を手に入れてしまったのだ。」

悠「えーと、神姫はどうだ?」

神姫「これといって嫌いなものはないけどとてつもなく臭いとかまずいものは食べたくないわ」

悠「それは誰でもそうだろ……」

摩耶「でね、味はいいけど見た目が悪いものとかあるよね。サソリとか」

悠「虫料理全般な」

雨「虫を食うな!」

千世子「魔術の失敗に怒ったケリドウェンは、知恵を横取りして逃げたグウィオンを追いかけるのだ。お互いに変身魔法を駆使した追いかけっこののち、麦の粒に変身して穀物の山に紛れ込み、追跡をやり過ごそうとしたグウィオンは、黒い雌鳥に変身したケリドウェンに食べられてしまったというのだ。」

悠「そういうお前の主食だって元は虫だろ」

雨「うっさい」

亘理『私……虫は食べたくないや』

摩耶「蛙、蝙蝠、蛇は?」

亘理『……』

悠「蛙はセーフだな」

なのは「嫌ですよ?!」

千世子「おとぎ話や中世ヨーロッパの魔女の持つ大釜は、ウェールズなどに住んでいたケルト人の神話に登場する大釜が原型だとする説があるのだ。ケルト神話では、大窯には魔法的な力があると考えられており『マビノギオン』というウェールズの神話集には「死んだ兵士を放りこむと、翌日によみがえる」という大釜が紹介されているのだ。以上ケリドウェンのじゅぎょーだったのだ。」
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