ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(1/11/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

摩耶「花描くんてさ何歳なの?」

花描「皆より歳上なのは確かかな。っか、摩耶くんこそ何歳だ?」

摩耶「金剛くんと同じだよ」

神姫「摩耶君て、社交性凄いわね」

悠「摩耶は天性の癒しオーラがあるからな」

千世子「みんな、今日もきてるなー。じゃ、さっそくじゅぎょーをするのだ」

「「「はーい」」」

千世子「醜くて巨大な竜として生まれた、リントヴルム王子は、いつも王妃のベッドの下で寝そべっていたのだ。だがあるとき王子は「2、3日中に自分の妻を用意しなければ、あなたを丸のみにする」と、父である国王を脅し、嫁候補を集めさせるのだ。」

摩耶「悠くんはしちゃだめだよ?」

悠「誰を丸のみにするんだよ…」

千世子「そして、気に入った女性を城の地下である自分の館に連れていくと、相手の女性が自分を愛していないといって食べてしまったのだ。」

悠「これが僕の望んでいた狂気のナイトだな」

花描「ヴノム公じゃん」

千世子「その後もおそろしい竜を愛そうという女性は現れず、そのたび王子が女性を食べるので、嫁探しはどんどん難しくなっていったのだ。」

神姫「わがままな奴ね。」

悠「ほんと、竜はわがままだな」

神姫「あとで、校舎裏まできてね」

悠「今日も!?」

千世子「次に竜に目をつけられたのは、美しい羊飼いの娘だったのだ。すでに民衆は王の息子が竜だと知っていたので、羊飼いの娘も人生の終わりを覚悟していたのだ。」

悠「おれも覚悟しちゃったよ…。」

摩耶「大丈夫昨日も生きてたし」

千世子「ところが、竜の館に向かう途中、娘は謎の老女と出会うのだ。この老女から竜を本来の姿に戻す方法を教わった羊飼いの娘は、みごとに竜を人間の王子に戻してみせたのだ。羊飼いの娘が竜を人間に戻したまじないは、こんな風に伝わっているのだ」

・あらかじめ服を七枚重ね着しておく

・竜が「脱げよ、皮」といってきたら、自分も「脱げよ、皮」ということを繰り返し、、竜を七回脱皮させる

・皮がなくなった竜を、木の枝で力の続く限り叩く

・竜を塩水の入った桶→ミルクの入った桶の順番にいれる

・亜麻布にくるみ、ベッドに一晩寝かせれば出来上がり

摩耶「クッキング?」

花描「儀式だな」

千世子「老女と羊飼いの娘のおかげで人間に戻った王子は、王の後をついで「竜王」と呼ばれるようになったのだ。二人は子宝も授かり、なんどかの苦難を乗り越えて幸せに暮らしたと伝えられているのだ。はい、以上でリントヴルムのじゅぎょーは終わりなのだ。」

悠「お疲れさ…」

神姫「逃がさないから」

悠「ぎにゃ~…」
58/100ページ
スキ