ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「……なんでずっとついてきてる?」

揺光【主を好いておるのじゃこんこん♪】

亘理『なっ!!』

悠「わぁ……気持ちゼロ」

摩耶「本心だからこそすんなり言えるんじゃない?」

揺光【そうじゃそうじゃ、こんこん♪】

悠「この女狐め……」

神姫「天邪鬼がかどわかされてるのは見ものね」

悠「アレは別格だ。」

【孟獲】
本名:不明
生没年:―

千世子「じゅぎょーしますなのだ。三国志の舞台になった中国は、古くから少数民族が暮らす国なのだ。中国南部に住む少数民族「い族」の首領だと言われている孟獲は、中国南西部を統治していた蜀の国に反乱をおこしたことで有名になった人物なのだ。」

亘理『……』

揺光【妾の顔になにかついとるか?】

亘理『イ、イエ……』

揺光【……あぁ、そんなに妾が魅力的かえ?善し善し、主のような活発な女子も……】

しゅるるるっ……
亘理『なっ、しっ尻尾に捕まって……に゛ゃ゛ーー、悠ちゃん助けて!食べられる!性的に食べられちゃうぅぅ!!』

悠「おい、やめてやれて」

揺光【混ざるか?】

悠「やめれっての」

千世子「孟獲という人物がどのような武将だったかは正確には解らないのだ。これは『正史』の本文中に「孟獲」という名前が全く登場しないからなのだ。」

亘理『はぁはぁ……こわかった』

神姫「……なんで私の影に隠れるの」

亘理『神姫さんなら対処できそうだし』

神姫「差し出すことも可能よ」

揺光【喜んで受け取ろう】

亘理『ひぃぃ』

悠「やめれって」

千世子「孟獲の名前は、『正史』の内容を解説するため後世の歴史家が書き加えた注釈の部分に二回登場するだけなのだ。この注釈で孟獲は、南方異民族(南蛮)反乱軍の首領として登場。蜀の軍師諸葛亮率いる討伐軍と戦い、諸葛亮に生け捕りにされるたびに解放され、合計七回捕えられたところでついに降伏するという「七縱七禽」の逸話が書かれているのだ。」

摩耶「揺光さん、絶好調だね」

悠「なんか知らんがほんとにな……」

神姫「迷惑」

悠「まだ実害は出てないから大目に見てやってくれ」

摩耶「実害が出たらアウトだけどね」

悠「おれは一回害したけどな…」

千世子「諸葛亮がこのように面倒なことをしたのには理由があるのだ。孟獲たち南方の異民族は、漢民族とは違う文化や社会を持っているため、漢民族から独立しようとする意識が強かったのだ。力でねじ伏せるだけでは反乱が再発することを考えた諸葛亮は馬蜀と相談し、異民族を心から屈服させるためにこのような策を使ったのだ。」

亘理『なんか悠ちゃん揺光さんに甘くね?』

悠「甘いんじゃなく怖いんだよおれも」

摩耶「それは嘘っぽい」

悠「おれも数多く怖いのが居るが揺光は普通に怖い側だ」

揺光【いつかその恐怖が病みつきになる】

千世子「小説『三国演義』では、諸葛亮と孟獲の戦いが、全120話のうち4話というかなりの文量を使って描かれているのだ。異民族の武将はみな思慮が浅く愛嬌のある人柄で書かれており、物語終盤の重々しい空気を打ち消すコミカルな物語となっているのだ。『演義』の孟獲はいかにも蛮族らしい、誇り高く勇猛な武将であり、「悪知恵」が働く策士、でもあるのだ。孟獲は猛獣集団、毒の泉の罠、水に浮く鎧を着た特殊部隊など、フィクションならではの奇想天外な武器を使って諸葛亮の軍団にも戦いを挑むのだ。以上、孟獲のじゅぎょーだったのだ。」
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