ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

ゲロゲロゲロ!
リーリーリー!
ゲギョギョギョ!

悠「秋の夜は静かだなぁ」

亘理『いやいや、めちゃくちゃ生き物の鳴き声してるよね!』

摩耶「なんか、ゲリョスみたいな声も混じってたけどね」

悠「あれゲリョスなのか?」

摩耶「げりょーって言ってたし」

神姫「ゲギョだったと思うわよ」

【張角】
本名:不明
生没年:?~184

千世子「日本がまだ弥生時代だった後漢時代末期の184年2月、打倒政府を掲げる民衆にょって、大規模な反乱が起こったのだ。この反乱は参加者達が「黄色」をシンボルカラーとし、黄色い頭巾をかぶっていたことから「黄巾の乱」と呼ばるのだ。この反乱を率いていたのが、「大平道」という宗教の指導者、張角なのだ。」

悠「おい、義鷹」

摩耶「……?」

亘理『義鷹?どこ?』

ガララ!
義鷹「なんだ?」

亘理『わっ、窓からはいってくんなよぅ!』

悠「庭で変なの飼ってないだろうな」

義鷹「俺は飼うより狩るか食う方だよ。用がないなら呼ぶな。」

千世子「張角の詳しい経歴は不明で「正史」にも断片的な記述しかないのだ。一説によれば張角は朝廷を追放された官僚だったのではないかと言われているのだ。」

悠「ふむ、じゃあ、あの謎の鳴き声もたぶん大きい何かなだけで害はないと」

神姫「大きい何かってのも何よ」

千世子「一方『演義』では、張角は役人の登用試験に落ちた学生とされているのだ。張角は兄弟とともに山で修業に励み、奇跡を起こせるようになったというのだ。」

亘理『それより、よく義鷹が屋根にいるってわかったね』

悠「ここに来るとき吊してるのが見えたからな。それに耳いいし義鷹は」

千世子「後漢時代の末期は、たび重なる災害や異民族の反乱、さらには政府内の権力争いなどによって混乱を極めていたのだ。農民は、作物を作ることもままならず、財産は権力者たちに絞り取られてしまうという、絶望的な状況に追い込まれていたのだ。自分の土地を捨て、各地をさまよう人々も多かったのだ。」

摩耶「あの井戸って何か釣れるのかな」

悠「しゃれこうべとかは釣れるかもな、あと無縁仏とか」

神姫「どざえもんじゃない?」

亘理『生き物じゃない……』

千世子「このような時代であったから、新興宗教に救いを求める人々も多かったのだ。432年に描かれた中国の歴史書『後漢書』などによると、張角は大平道を起こし、自らを「大賢良師」と称したのだ。張角は魔術めいた力で病人を治療し、民衆から不老長寿だと信じられていたというのだ。」

摩耶「不老長寿はしんどいだろうなのにね」

悠「まぁ、太く短くってのが華だよな」

神姫「そういうこと言う奴ほど長生きするのよ。とくに悠はしぶといし」

悠「あんがい、おれなんかはコロっといっちゃうんだよある日突然」

摩耶「皆泣くだろうね」

悠「そのときは笑ってくれ」

千世子「大平道は中国各地に広まり、信者は数十万人にもなったのだ。大平道の信者達は、もともと朝廷に不満を持っていたこともあって、反政府の考えが強かったのだ。そのため大平道はしだいに革命集団へと変貌していくのだ。そしてついに民衆の怒りが爆発し、黄巾の乱が起こったのだ。」

亘理『不吉なこと言わないでよ』

悠「不吉……か?」

摩耶「死の感覚がマヒし過ぎてるよ」

悠「麻痺はしてないがピンとこないんだよな」

神姫「だったらせいぜい長生きすることね」

悠「長生きは……別にいいかな」

千世子「黄巾の乱は結局失敗に終わったのだ。しかし、ただでさえボロボロだった後漢王朝は崩壊し、戦国の時代への幕が開けるのだ。曹操、孫権、劉備など、のちに有力者としてのし上がった人物は、みな黄巾の乱で有名になっているのだ。黄巾の乱は「三国志」のプロローグ的な事件でもあるのだ。以上、張角のじゅぎょーだったのだ。」
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