ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「わりと台風呆気なかったな」

摩耶「過ぎちゃったらすぐに晴れたよね」

神姫「よくここ無事だったわね」

亘理『私の部屋雨漏った……』

雨「だから糸じゃ沁み込んでくるって言ったのに」

悠「雨に雨防御させたのか雨だけに」

雨「黙れ再起不能にするぞ」

悠「ストーンフリー?!」

【龐統】
本名:龐統
生没年:179~214

千世子「はい、みんな元気そうなのでじゅぎょーしますなのだ。龐統は中国南部、荊州の出身で学問に優れたが、鈍そうな外見のせいで正当に評価されていなかったのだ。ところが諸葛亮を見いだした人物鑑定家「水鏡先生」こと司馬徽(しばき)の発言で有名になったのだ。」

摩耶「悠君ところは平気だった?」

悠「あぁ、家は平気だが菜園が少々ダメージ受けた。神姫のところは?」

神姫「雨の中も鍛錬しに行くって言いだした京に説教してたわ」

悠「乙」

千世子「司馬徽は、諸葛亮を地に伏して未だ眠る龍「伏龍」、龐統をいずれ鳳凰となる雛「鳳雛」とよんで高く評価したのだ」

亘理『悠ちゃんはまさか外出てないよね』

悠「夜中に屋根の上には立ってた」

摩耶「変態仮面」

悠「それは私のおいなりさんだ」

揺光【では、いただこうかのぅ♪】

悠「ひっ……!?たべないで、たべないで……」

神姫「どっら沸いたのよ」

千世子「『正史』では諸葛亮は政治に優れた優秀な官僚で、一般的にいうところの軍師のイメージは無いのだ。むしろ龐統のほうが「軍師」という単語にふさわしく、外交や戦略など戦争を得意としたのだ。内政の諸葛亮と外征の龐統がタッグを組むことで、劉備の陣営は完璧な知恵を手に入れるはずだったのだ。」

亘理『やっぱりいなりずし好きですか』

揺光【悠のいなりはどっちも好きじゃがな】

悠「ごほん、ごほん!」

摩耶「うん、もう大体わかるから誤魔化さなくていいよ」

悠「真顔で言わんといて……」

千世子「ところが龐統は、はじめての大きな戦いとなる益州攻略戦ですぐれた策をいくつも進言しながら、敵の伏兵に矢を射られて戦死してしまうのだ。このとき龐統はまだ36歳。本人にとっても劉備にとっても、早すぎる死であっったのだ。」

神姫「節操がないというか……引くわね」

悠「……」

揺光【こんこん♪なにごとも経験じゃぞ】

亘理『え、なに何の話?ねぇ?』

悠「なんでおれに迫る……」

摩耶「つまりね……」

悠「摩耶も説明しようとしないで!」

千世子「『正史』『演義』とも龐統はまず呉に仕え、そのあと蜀に移籍するのだが、どちらの国でも上役を試すような言動を繰り返しているのだ。龐統が地方の小役人として劉備に仕え始めた時、まったく仕事をせず、一か月分の仕事を溜めこんでしまったのだ。しかしそれを告発しにきた張飛の前で、わずか半日で一か月分の仕事を片付けてみせたのだ。これ以降龐統は大きな才能の持ち主として重要されるようになったのだ。」

揺光【しかし、湿度があるのぅ。毛がしなってしまう】

雨「わっぷ……こっちに尻尾伸ばすな!」

悠「あぁ、魅惑のもふもふへヴン」

摩耶「ハマったら出て来れなさそうだね」

神姫「一本でマフラーは余裕で出来るわね」

揺光【やろうか?】

亘理『着脱可能?!』

千世子「益州戦では、同族の劉璋から国を奪いたくない劉備に三つの選択肢を迫ったのだ。急行して益州の首都を突き、一気に蜀を奪うのが「上系」関所を守る劉璋の武将をあざむき、兵を奪ってから攻める「中計」いったん益州の入り口まで退却してからあらためて攻める「下計」上中下がしめすとおり龐統のお勧めは上計と思われるが、劉備は中計を採用。その結果劉璋は劉備への防衛をはじめ、龐統が射殺される結果となったのだ。結果論だが、劉備が龐統を全面的に信じて上計をとれば、龐統が死ぬこともなかっただろうなのだ。以上、龐統のじゅぎょーだったのだ」
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