ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「んあぁぁ……燃えるほどヒートしてぇなぁ」

神姫「頭からガソリンかぶって着火したら?」

悠「それはただの焼身自殺」

摩耶「窒息とどっちが辛い死にかたかな」

悠「焼けながら死んでいく方が辛いだろ。万が一に生き残ったら全身大やけどだぞ」

摩耶「所詮この世は弱肉強食強ければ生き弱ければ死ぬ」

悠「志々雄真実さん……。」

亘理『ねぇねぇ、今さら何だけど、曹操ってさ』

悠「あー?」

亘理『なんで、皇帝殺さなかったの?』

神姫「大胆なこというわね」

亘理『だってさ、皇帝になりたかったのに回りくどくない?』

摩耶「簡単だよ。曹操は、自分から皇帝になりたいっていって怒られたくなかったんだよ。だから皇帝陛下自身から「曹操が自分に代わって皇帝になってくれ」って言わせたかったんだよ」

亘理『どゆこと?』

千世子「前の皇帝が自分の子孫以外に皇帝を譲ることを「禅譲」というのだ。まぁ、そんなことよりじゅぎょーするのだ。関羽は中国の宗教「道教」において、47番目の神として祭られているのだ。神としての正式な名前は「伽藍神(がらんじん)」というが、「関聖帝君(かんせいていくん)」という通称のほうが有名なのだ。戦いと商売を司る神で、そろばんを発明したのは関羽だという伝承もあるのだ。」

亘理『……禅譲って?』

悠「えーとな、中国の価値観の多くは「儒教」っていう宗教の倫理観に縛られてる。この儒教の理念に従って、国が滅び、新しい国が生まれる過程を「易性革命」。」

摩耶「「易性」って言葉は「性が易る」つまり王朝の支配者がこれまでの皇帝と血縁関係にないものに変わることを意味する言葉ね。」

悠「中国の皇帝は宗教的な存在だ。皇帝は宇宙の神の代理人として地上を支配するが、それは皇帝の「徳」が高い、つまり皇帝が統治者としての能力と人格を備えているからだと考えられてる。皇帝の「徳」が失われると、神は王朝の支配者を交代させる「天命」をくだす。天命に応えた徳あるものが新しい皇帝になって、易性革命は完了する。」

千世子「関羽が神となった詳しい経緯は不明だが、関羽の出身地である河東郡解県は塩の名産地で、塩を扱う商人が多かったのだ。彼らが地元出身の英雄関羽を信仰対象とし、それが商売によって広まったことが関羽信仰のきっかけになった可能性もあるのだ」

亘理『……つまりどういうこと?』

神姫「わかりやすくいうと、皇帝が徳のある部下に、皇帝就任を要請する。」

悠「部下は断る」

神姫「皇帝が再び部下に皇帝就任を要請」

悠「部下は再び断る」

神姫「皇帝が三度皇帝就任を要請。」

摩耶「そこで皇帝以外の者も要請」

悠「部下はしぶしぶ皇帝即位を受け入れる。」

神姫「っていうのが禅譲の手順」

摩耶「盛大な茶番ともいう」

千世子「『正史』では、劉備と関羽、張飛の三人は、兄弟のような間柄だったと書かれているのだ。『演義』ではこの話しを膨らませて、三人は義理の兄弟だったことにしているのだ。」

亘理『ドがつくほどのめんどくささだね』

悠「まぁ、今の日本みたいに万華鏡の速さで総理が切り替わるよりは茶番してでも、よりいいのが選ばれるほうが良いだろ」

摩耶「じゃあ、悠君なって世界を良くして」

悠「おれが大臣になってみろハーレムのために世界を敵に回すぞ」

神姫「塵芥になれ」

悠「これ以上とないほどのゴミ?!」

千世子「黄巾族討伐に出発する前、関羽たち三人は桃の果樹園で宴会を開き、力を合わせて漢王朝のために尽くし、死ぬときは同じように死のうという義兄弟の契り「桃園の誓い」を交わしたのだ。このとき長兄は劉備、次兄は関羽、末弟が張飛と定められたのだ。この三人は『演義』の主役として大活躍するのだ。以上、関羽のじゅぎょーだったのだ。……あんちんはこの後、関羽についてのレポート三枚書いて提出なのだ」

悠「なんでおれだけ?!」

神姫「お疲れ様」

摩耶「それじゃ、またねー」

悠「そして平然と見捨てていったぁー!!」
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